クリフォード・D・シマックのレビュー一覧

  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    寛容が肝要。時代を映した優れた寓話。
    これが書かれた頃は冷戦が更に強まっている時期で、米国は外側ではキューバ危機やらベトナム介入でゴチャゴチャし、内側では公民権運動やらケネディ暗殺やらでゴチャゴチャしていた。そんな中でシマックが何を思い、何を願って本作を書いたのか…大事なのは正義でも愛でもなく寛容なのだ。

    0
    2016年02月10日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    この地球でただ1人、銀河と交流ができる男。
    時間もあり、地球の誰も知らないことを学べる。

    だけど、それは自分だけ。
    誰にも共有できないし、誰にも知られない。

    1人で100年も過ごせるだろうか。

    銀河が一つではないと知ってから、宇宙人はいると思ってる人です。

    なら、なぜ私たちに会いに来ないのか?宇宙人たちも会う手段を生み出せていないからなのか、それとも会うほど価値のない生命体だと思われているのか。

    それはたぶん、イーノックしか知らないかも。

    0
    2025年06月15日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ウィスコンシンの田舎に住む男は140年前生まれ。宇宙から移動する者たちを受け入れるステーションの管理をしている。CIAがそれに気づき・・・

    面白かった。1963年に書かれたとは思えない現代に通じる、哲学的な内容。宇宙に生命体はいるのか、人類は劣っているのか。

    0
    2024年08月06日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    SF。
    初めてのシマック作品。
    SF的な内容よりも、ウィスコンシン州の牧歌的な雰囲気と、作品全体に溢れる優しさが印象的。
    解説によると、これがシマックの作風らしい。好印象。
    新訳版で購入したが、淡い色味と可愛らしいイラストの表紙も、作風に合っていて好き。

    0
    2021年07月04日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    銀河の星々を結ぶ中継ステーションと聞いてイメージするのは、羽田のようなハブ空港。
    行きかう人々。
    雑踏の中で次々に起きるアクシデント。

    などを想像してはいけない。
    アメリカの片田舎のそのまた人里離れた一軒の古ぼけた一軒家。
    そこに何日かに一回の割で訪れる宇宙人たち。
    人型の異星人もいるが、植物型、液体型・・・さまざまな異星人たちと、イーノックはとれる範囲で最善のコミュニケーション、つまりおもてなしをする。
    そんな牧歌的な日々。

    近所づきあいはしない。
    新聞や雑誌を届けてくれる郵便配達人だけが、唯一の友人と言える。
    ライフル銃を小脇に抱えて日に一時間程度の散歩と、自家用のささやかな畑仕事。

    0
    2017年09月03日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    アメリカの片田舎にある何の変哲もない一軒家が、実は銀河の星々を繋ぐ中継ステーションだった!という飛躍がまず素晴らしい。一見するとワンアイデアものにも思えるが、冷戦という時代設定における核の恐怖であるとか人類の進化といったテーマも内包した奥深い作品。

    様々な生態を持つ宇宙人たちが主人公の中継ステーション管理人・イーノックの元に訪れ、コミュニケーションをして去っていくという図式は藤子・F・不二雄の『21エモン』を彷彿とさせるが、あの作品の持つほのぼの感とは対照的に本作に漂うのは圧倒的な孤独と厭世的な雰囲気だ。ほぼ不老不死となったイーノックは老郵便配達夫の他はほとんど話す人もなく、殆どの人には先立

    0
    2016年05月23日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    優しい世界。
    この表紙の絵まんまです。
    中はキッチリSFなんですけど、どこかファンタジック。
    ザンスシリーズの山田さんの手腕なのかしら。

    中盤まではイーノックの静かな生活が中心に
    描かれており、
    (其処で退屈だと切らないで頑張って!)
    後半は急展開。

    映像化されたりしてもおかしく無さそうですが、
    この優しい世界を読んだ人の中だけで
    こっそりひっそりして置いてもいいのかな。

    0
    2016年02月01日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    クリフォード・D・シマックが贈るヒューゴー賞受賞の本書は、やさしさに溢れた作品です。

    アメリカ中西部、ウィスコンシン州の片田舎。農家住まいの元北軍兵士イーノック・ウォレスは齢124にして、外見は30歳にも届かぬ不思議な男。じつは、彼の一軒家は銀河の星々を繋ぐ中継ステーションで、彼はその管理人なのだ。地球でただひとり異星人と接する男。その存在を怪しむCIAが調査を開始し…

    解説でも触れられていますが、銀河を結ぶ中継ステーションが舞台にも関わらず、物語のおおくは、ウィスコンシンの片田舎が誇る緑豊かな自然の描写にあてられます。これは著者自身がウィスコンシン州出身であるように、彼の生まれや育ちが影

    0
    2015年12月27日
  • 中継ステーション〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    アメリカ中西部の片田舎でひっそりと暮らすイーノック・ウォレス。閉鎖的な土地柄に守られて余計な干渉を受けずにただ一人生活するイーノックは、実は齢100歳を超えながらほとんど歳を取らず、銀河の星々を渡る旅人を送り迎える「中継ステーション」の管理人を務めていた。異星の旅人とのひとときの交流を心のよすがに、永遠とも思える孤独の中に生きるイーノックの周辺で、彼の存在を嗅ぎ付けて正体を暴こうとする不穏な動きが見え始める。大切な中継ステーションと自分自身の生活を守るため、イーノックが取った行動とは、そしてその結末とは?

    古き良き、暖かくも寂寥感溢れるSF。
    1963年の作品です。牧歌的で懐古的な舞台設定の

    0
    2016年05月23日