安部敏樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2024年刊行。
社会問題を発信・共有するプラットフォーム「レディラバ」の創業者である著者による、「なぜこんなにも社会に問題が溢れているのか?」を取り扱った本。
DV、発達障害、ホームレス、外国人労働者、物価高などの広範な(主に日本国内の)社会問題について、著者らの現場での経験を踏まえた現状の説明と、その原因が説明される。
現場のリアルを知ることができ、現代の日本における広範な社会課題を考える上で参考になる本だった。
一方で、著者の主張を支えるデータや研究に関する情報は少なく、やや主観的な見方である点には注意が必要。
投げ掛ける課題と論点は比較的フラット。
あくまでも(著者も自覚的なように)問題提起として使う分には良書だと思う。
実際に、私も知らない課題があったし、その対策となり得る考えを新たに知ることができた。
著者は、本書や「レディラバ」の活動を通じて、日本人の無関心を打破したいと考えていると述べる。
「社会問題に関心がないということは、それだけ"生きづらさ"を感じることがない、恵まれた人生だったということ」とした上で、
しかしその「無関心のループ」が社会に階層を作ってしまう、と警鐘を鳴らす。
確かに、太平洋戦争の敗北によって強制的にリセットされた日本の階層が、80年経ち、3-4世代を経て、再び緩やかに格差が広がりつつある。
このままでは、致命的なまでに社会が分断され、治安維持のために膨大なコストを支払うアメリカのように、狂気の国になってしまうかもしれない。
現代における日本人の無関心は、「不勉強」と「視野の狭さ」の産物だと、私は考える。
2023年の文化庁の調査によれば、日本人の成人で「1ヶ月で1冊も本を読まない人」の割合は62%だという。
こんな不勉強な国民がいるだろうか?
欧米諸国で本を読まない人の平均は30%程度なので、比較しても大きく劣っている。
一方で、日本人の識字率は99%と、教育水準は高い。能力的に本が「読めない」のではなく、スタンスとして本を「読まない」のだ。
日本人は勤勉だが、主体性が非常に低い。
普段は自分の仕事、それも発展性のないオペレーショナルな業務、だけに目が向いていて、それを毎日こなすことが自分のすべてだと考えているのだ。
これが先に述べた「視野が狭い」ということだ。
「視野が狭い」から本を読む必要を感じないのであり、本を読まないから「視野が広がらない」のだ。
この二つは密接に連関している。
だから本を読め、というわけではなくて、手段は何でも良いから、意図的にインプットの質と量を高めて、ひとりひとりが改善・改革の責任を負わなくてはならない。
2400年前、アリストテレスは「民主主義が腐敗すると衆愚政治に陥る」と分析した。
正しくその通りだ。
民主主義は、民衆の怠慢によって機能不全になる。現在の日本はそれを体現しているようだ。
本書中で著者は、「ローマ帝国、清、江戸幕府、古今東西の栄華を極めた政権は再分配を増やして国民が豊かになった。しかし、国が稼げなくなった時に身の丈以上の再分配が起きて国家は破綻していく。今の日本は正にこの段階にある。」と持論を展開する。
これは興味深い見解だ。
人口ボーナス期に作った気前の良い制度が、人口オーナスと寿命の延伸を考慮できなかったが故に、将来の世代に負荷を掛ける。
老人の医療費1割負担など、この典型例だ。
この設計をした政治家・官僚が馬鹿というのはその通りだが、今でも遅々として改革を進めようとしないのは、国民が舐められているからだ。
不勉強で視野が狭い国民には「お米券」を配っておけば、それで溜飲が下がるだろうと、舐められているのだ。
日本の聡明な国民はこの事実に憤り、学び、革新しなければならない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ社会課題は、同じような環境に置かれたら、ほとんどの人が自力では解決できない。
現代の社会は
・家庭
・地域
・学校
の3つのコミュニティの共同作業で子どもを育てることが前提だが、それぞれ「核家族化」「周囲の目の希薄化」「教員の多忙化」により衰退した結果、子育ての負担が家庭に偏り、結果として虐待が増加している。
この中で、地域と家庭を結ぶ役割を果たしているのが自治会などの「地区の活動」である。
だから子どもたちを助けるために、行政レベルでは「児相のリソースを増やす」、個人レベルでは「関心」「周囲の目」という社会資源を投入し続けることが求められる。
福祉の世界では「他責」、教育の世界では「自責」なため、二者は対立しやすい。
ホームレスは「ヒト」ではなく、「状態」を指す。
そのため、95%は男性で、平均60歳以上の道で寝ている「ヒト」だけでなく、都内に4000人いるとされるネカフェで生活する状態も含む。
日本の企業は住み込みや寮、社宅など「住居と職場の一体型」が多いため、生活か仕事のどちらかでトラブルがあると、一気に両方を失うリスクがある。
誰もが生きやすいとは、「みんながただ権利を主張する」のではなく、「みんなが権利を主張する代わりに、多少我慢したり、責任をとったりして、なんとかやっていく」ことを指すのではないか。
個々人が主体性を持ち、リスクを取りながら「社会経営」をしていく方法として、「消費」「視聴」「投票」「寄付」がある。 -
Posted by ブクログ
本書の発刊は2015年。2012年から始まった「ソーシャルビジネスのためのチームビルディング」という東大のゼミを書籍化したものである。
著者の安部敏樹は史上最年少の24歳で東大教養学部の講義を行った秀才。最近はテレビのコメンテーターとしても活躍しているので有名になった。
チームビルディングの手法を伝授するために、グループを作り課題を与え発表させる。その過程で具体的な知識も教えていくのだが、このゼミそのものが一つのチームでありそれが成熟していく様子を体験させるところに真骨頂がある。つまり、安部敏樹がゼミ生をまとめ上げる様を見せることが「生きたリーダーシップ論」になっているのだ。
東大では当初、オーナーズプログラムをイメージして、学生にテーマを与えて「自発的に」グループワークを「やらせよう」とした。
・大学のネット環境の改善案
・これからの初年次教育プログラム
・教育棟を有効に活用する方法
というようなテーマを与えて試みたが失敗した。
「自発的に」と「やらせる」は矛盾する訳で、失敗したのは当然かもしれない。目的と手段は一致していると望ましい。因果倶持が望ましい。
※安部敏樹には人を惹きつける魅力がある。自然と人を惹きつけてしまう天賦の才を持っている。 -
Posted by ブクログ
ディスカッション、プレゼン、ブレインストーミングの効果的な実践方法が印象的だった。(後半のビジネスプラン関係の話は、あまり自分とは関係無かった。)それぞれ、重要と思ったのは以下の通り。
①ディスカッション
・議論したい具体的な問いを立てる
・議論で出したい結論は何か(目的意識の共有)
・結論を出したいなら選択肢を用意する
②プレゼン
・出だしを工夫し、聞き手の興味を引く
・背景、目的、課題、目標をはっきりさせる
・聴衆へ投げかけをする(○○についてどう思いますか?)
③ブレインストーミング
・質より量、とにかく数を打つ
・他人のアイデアを利用する