上巻の約8割は、サルから新人類に至るまでの進化の過程、とくに身体的特徴について焦点をあてて説明されている。
サル→原人→旧人→新人という過程の中で、身体的にどこが変わったのか、そしてその進化は自然淘汰上、何に優れていたのか。
知っている人にはかなり退屈かもしれない。
上巻の最後の2割は下巻のイント
...続きを読むロである。それがサブタイトルにもなっているように、健康と疾病である。
新人類が登場して数千年がたつが、そこから劇的な身体的な特徴の変化はなくなっている(ように見える)。
細かく見ると、身長や皮膚の色などは地域ごとに差が出ており、自然淘汰の結果だそうだ。
しかしその代わりに、文化的な側面で劇的な変化を経験しており、それによりある問題を引き起こしたという。
それは、本来人間の環境には適合しないはずが、文化(道具)によってそれを克服しているように見えていながら身体に影響を与えるという問題であり、本書ではミスマッチ病と呼んでいる。
稲作技術や食物の保管方法が確立される前は、その日の食料を取ることが中心的な課題であり、それ故にその日に摂取した食物を長く保持できるように、脂肪を効率よく蓄えられるように進化した。
しかし、現代の過剰ともいえるような食生活によって引き起これる糖尿病は、現代の環境と身体の進化のミスマッチによって引き起こされる病気の代表例ともいえる。
下巻はこれらについて詳細な考察がなされるのだと思う。