ダニエル・E・リーバーマンのレビュー一覧
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・600万年前、Last Common Ancester (LCA)から人類の祖先(サヘラントロプス・チャデンシス、アルディピテクス)とチンパンジーが分かれる。人類の祖先は果実食だったが、気候変動に伴い二足歩行で省エネしつつ、遠くまで食べ物を探しに行くようになった。また、栄養的により粗悪な食べ物である葉、茎も食べなければならず臼歯が発達した。
・400~100万年前にアウストラロピテクスが出現。イモ類を掘って食べる。
・190万年前、ホモ・エレクトスが出現。よりカロリーが高くミネラルも豊富に含む肉を食べる。
・旧ホモ属(ホモ・ハイデルベルゲンシス、ホモ・フロレシエンシス、ホモ・ネアンデルターレ -
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本文だけで上下巻合わせて500ページを超える大作だが、著者の言うように、これでもまだ事象の表面をなぞっただけ、もっと深いところまで考察を進めたものを読みたくなる、そんな総論だ。
非常に壮大なテーマを高く掲げ、網羅的かつ論理的に、それでいて平易な言葉で分かりやすく見解を説いているという点では、ジャレド・ダイアモンド氏の「銃・病原菌・鉄」にも匹敵するようなスケールのノンフィクションといってもいいのではないだろうか。
和訳者がいい仕事をしているというのも同じく。
ベアフットランニングやパレオダイエットなどに代表されるように、現代の科学技術や文明の利器による恩恵を受ける前のあるべき人間の姿に戻ろう、と -
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本文だけで上下巻合わせて500ページを超える大作だが、著者の言うように、これでもまだ事象の表面をなぞっただけ、もっと深いところまで考察を進めたものを読みたくなる、そんな総論だ。
非常に壮大なテーマを高く掲げ、網羅的かつ論理的に、それでいて平易な言葉で分かりやすく見解を説いているという点では、ジャレド・ダイアモンド氏の「銃・病原菌・鉄」にも匹敵するようなスケールのノンフィクションといってもいいのではないだろうか。
和訳者がいい仕事をしているというのも同じく。
ベアフットランニングやパレオダイエットなどに代表されるように、現代の科学技術や文明の利器による恩恵を受ける前のあるべき人間の姿に戻ろう、と -
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上下巻読んで評価が難しい。上巻は面白かったと思う。類人猿からホモ・サピエンスまでの進化を時系列でまとめつつ、それぞれの特徴がわかりやすく解説している。ホモ・サピエンスとはなんなのか。狩猟時代から農耕時代への移管など、忘れかけているが、ジャレド・ダイアモンド「サピエンス全史」に近いのかもしれないが、サピエンス全史の方が新しかった。しかし下巻になると主にディスエボリューション、ミスマッチといった言葉で、糖尿病などの病気に焦点がうつる。人類は現代社会に主としてまだ適合できていないため現代病にかかってしまう。そうなのかもしれないが、私の興味フレームからは飛び出てしまい、飛ばし読みしてしまった。
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・人間の身体の進化の物語であり、人は何に適応しているのかを問う
・その問いに対して明快で単一な答えは見いだせないことが人体の神秘的な結論
・人類の身体は現代の食事や運動不足にうまく対応できるように適応できていない
・これまでの人類の生物学的進化に対して、文化的進化により私たちの身体は現代の環境に適応できず、ミスマッチとなる病気が起きる
・「食べたものが人をつくる」というが、進化の論理では、場合によっては「普通なら食べないものが人をつくる」
・チンパンジーは果実中心の食生活だが、アウストラロピテクスは果実の依存をなくし、土を掘って茎を摂取するなど食生活を多様化にした
・なぜ人類は他の動物よりも脳 -
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人間は(すべての生物がそうであるように)子孫をできるだけ多く残す方向に自然選択を受けてはいるものの、座りっぱなしで画面や文字を凝視する時間が長く、加工食品ばかり口にするような先進国の現代的な生活をしながら健康体でいるように自然選択は受けていない。
近視、歯列の悪さ、婦人科系のトラブル…自分が医者にかかったことのある病気・症状の大半が予防可能なミスマッチ病だったことにがっくり。はっきり言って親の責任がかなりあるので、自分は繰り返さないように日々努力したい。
人間が健康でいられるために自己責任でできることを挙げてみると:
・骨に負荷をかけるような運動を頻繁にすること。特に成長期にそうすることは -
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人類と類人猿の最終共通祖先(last common ancestor=LCA)=約600万年前。
サヘロントロプス・チャデンシス(約720~600万年前/チャド)
オロリン・トゥゲネンシス(約600万前/ケニア)
アウストラロピテクス(約400~150万年前)
ホモ・エレクトス(約190~20万年前)
ホモ・ネアンデルターレンシス(約35万~2万年前)
ホモ・サピエンス(現生人類/約20万年前~)
第一の変化:二足歩行(LCA)
第二の変化:主食(果実)以外の食物適応(アウストラロピテクス)
第三の変化:脳の進化と狩猟の開始(ホモ・エレクトス)
第四の変化:更なる脳の進化と体の巨大化(ホモ・ -
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表題の通りの大作。上巻は人体の起こりと進化が詳細に書かれており、環境変化に適応した人体の輝かしい軌跡が描かれる。下巻は打って変わって"ディスエボリューション"と作者が呼ぶ、農耕とその後の産業化に伴う人体と生活環境とのミスマッチ病の原理と予防法(その多くは現代人の怠惰さによって予防できないのだが、、)とがこれでもか、これでもかと繰り返しかかれ、自分の普段の生活を振り返るにかなり憂鬱な気分にさせられる。。
生物の進化のほとんどは環境変化への適用と繁殖の最大化にあり、その特徴は非常に長い年月をかけて少しずつ適応していくことにある。ちょうどその長い期間の間、ホモサピエンスはずっと -
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表紙を一見して、人体の進化の歴史を上下巻で延々と説明した本、にも見えるが、副題にもある通り、進化の観点から、現代の人類を悩ます病気とその対策について考察した本である。
筆者はハーバード大学の人類進化生物学者という肩書きであるが、人類の進化の歴史に目を向けるのみならず、進化が現代の私達の体をどう作り上げ、それが文化的な発展と相まって、どういった健康上の問題を起こしているのか、そして、それを解決するにはどういった個人的、社会的な取り組みが必要なのか、といったテーマについて研究をしているらしい。(あとがきによると、進化医学というとか。)
現代に存在する病気は全て、体の進化が文化の進化に追いつかない -
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下巻では、「過剰」と「快適」が問題となっている。今では、少なくとも日本やアメリカのような24時間営業の店が、住んでいる地域にある人にとって、手軽に好きな食べ物や飲み物が手に入り、便利だ。しかし、摂取するものによっては過剰摂取になり、脂肪という余分なポイントをため込むことになり、臨界点を超えると様々な病気を抱えることになる。
第13章で、「本当の適者生存」として、いくつかの方法を提案している。
1.問題解決を自然選択のふるいわけに任せる
2.生物医学による研究と治療にもっと投資する
3.教育して力をつけさせる
4.環境を変え
5.後ろを向きながら前へ進もう
人体の歴史を踏まえて、どう -
Posted by ブクログ
後半は人類進化を踏まえた人間の健康に関する内容。
中東では、新石器時代が始まってから身長が4cmほど高くなったが、7500年前から低くなり始めた。中国や日本でも、稲作が発達するにつれて8cm低くなり、メソアメリカでも農業が確立するにつれて5.5~8cm低くなった。感染症との闘い、断続的に起こる食料不足、長時間の農作業にエネルギーを費やしていたためと考えられる。ヨーロッパ人の身長は、1950年頃になって旧石器時代のレベルに戻り、その後上回るようになった。
狩猟採集民の標準的な栄養量は、炭水化物35~40%(日本人の摂取基準50~65%)、脂肪20~35%(同20~30%)、タンパク質15~3 -
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人類のこの1万年の文化的進歩、狩猟採集、農業、産業革命に体がついていっていないためのミスマッチを明らかにする。上巻ではその前提のどういう環境に初期人類から適合し、ホモサピエンスだけが残ったかを考える。
近視、虫歯、腰痛、がん、心臓疾患、アレルギー、糖尿病、親不知はミスマッチ病であり現代では対処療法により自然選択を妨げない形で対応されておりこれからも特に新興国の経済成長とともに増えるだろう。これら快適とのトレードオフを防ぐ方が対処療法より経済合理的であるが予算は割かれていない。
昔に戻る必要はないが、運動とバランスのとれた食事は重要である。