フィオナ・マクファーレンのレビュー一覧

  • 夜が来ると

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    やや、や。
    家の中に虎がいる…という発端から、これは何か不穏な話?と思う。そこに翌日現れたフリーダに、読者はこれはもうあやしいと思うのだけれど、夫に死なれ1人暮らしの75歳ルースとフリーダの気持ちが時々通い合ってしまうので、ルースも読者もついふらふらと心を許してしまいたくなる。一貫して、美しいけれど足を取られる砂浜を歩いているよう。

    ”明日は我が身”と身につまされながら読んだ。
    どうやったら幸福に死ねるんだろう。

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    2016年03月08日
  • 夜が来ると

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    今も日本のどこかで起こっていてもおかしくなさそうな小説。
    寂しさによって人は騙される。騙されることに救いを求めて騙される。結末が容易に予測できる中で、その予測の通りに静かに進行していく怖さを感じた。
    現実に戻って、認知症は環境によってつくられる病気ではないかと思った。

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    2015年09月29日
  • 夜が来ると

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    オーストラリア、シドニー近郊のリゾート地。夫に先立たれ、海辺の家で一人暮らす75歳のルースは、ある夜、家のなかに虎がいる気配を感じる。それからほどなくして彼女の元に現れたのは、行政から派遣されたヘルパーだという大柄な女性、フリーダだった。精力的に働くフリーダに感化され、活力を取り戻していくルース。だが、二人の関係は徐々に歪み始める。孤独を埋める依存と支配、混濁していく認識能力を巧みな文章で描いたサイコサスペンス。


    二人の関係がどのように崩壊していくかはフリーダ登場の場面からすでに予感されている。結末が見えた上でじわじわ心地良い依存関係が進行していく。内心はおかしいと気が付きながらも、脳のア

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    2024年06月09日
  • 夜が来ると

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    オーストラリア・シドニー郊外の浜辺で一人ぐらいの女性。夫に先立たれ、孤独ではあるが、それなりに満足している生活。

    そんな中、ある夜、“トラ”の気配を感じる。不安になり、遠く離れた息子に電話。

    そして、翌朝、“ヘルパー”の女性がやってくる。

    時には親友のような、時には親娘のような関係。

    物語がすすむにつれ、主人公の女性の記憶も曖昧模糊になっていき…。


    じりじりと迫る、不安と恐怖。そして、密林のもわっとした熱気。
    物語の進行とともに、それらの濃度が増してくる。

    結末もぞわぞわとするもの。

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    2016年09月22日
  • 夜が来ると

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    夜にトラが来た。そのことを息子に話すと、息子の対応から、主人公は少し痴呆の可能性があることがわかる。
    その彼女を巡る物語。
    彼女の視点から、孤独や不安が語られる。思考がまとまりきらず、痴呆の人の世界はこんなものだろうかと感心する。
    母親を独りきりにしていたことを、後悔する息子達には、今介護してる身からも、同情する。自分の家庭や都合が優先しちゃうのはよくあることだし、そばにいないと症状の深刻さは気がつかない。気が付きたくない、という心理もあるだろうし。

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    2016年05月08日
  • 夜が来ると

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    海辺で一人穏やかに暮らす老女ルース。
    ある朝目覚めると、家の中にトラがいた、と言う。。。
    トラの出現の直後に突然やってきた、自称ホームヘルパーの女、フリーダ。
    彼女たちに一体何が起ころうとしているのか?
    軽度の痴呆が見られ、現実と幻想の境をさまようルースの心理状態が見事に表現されている。読んでいてホントに危なっかしい。そしてそんな彼女の世話をするフリーダの様子がルースの視線で描かれている。
    二人の女の微妙な人間関係、海辺の静かな風景、トラ。そしてやるせない結末。
    高齢化社会とそれを取り巻く環境と人の絆について改めて考えさせられた。

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    2016年01月27日
  • 夜が来ると

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    結局ルースは幸せなわけで、
    そう思うと不思議な気持ち。
    我がことに置き換えれば息子たちは一番嫌だろうけど
    幸いうちは親いないから

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    2015年11月25日
  • 夜が来ると

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    チェストの上で寛ぐトラの装画と、朝の四時にリビングに漂うトラの気配に、冒頭から期待値が上がる(トラが個人的に好きなのだ)。
    トラの気配と共に生じた切迫感で胸が騒ぐ朝に自治体派遣のヘルパーと名乗る女性が現れる。主人公の視点があやふやになってくるのにつれて不穏さがどんどん増し、現実が溶けていく様がスリリング。ついついページをめくる手が早まる。

    でも、一人の読み手としては、主人公であるルースの視点から見た混沌のクライマックスで物語をぷつんと終わらせて欲しかった。何が事実か分からない不安感の高まりと心理描写が最大の読み応えなので、現実の視点から語られると少しだけ熱が醒めてしまう。
    もちろんエピローグ

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    2023年02月01日
  • 夜が来ると

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    なんだろう、ともかく重い。ページ数のわりに読むのがえらい難儀するのは、言葉が難しいというか、予測不可能な言葉遣いというか。終盤に向けてどうなるか分かってるようにも思うのに、どうにも一気に読ませないという、適当に端折って良いものか、いや、ちゃんと読まないといかんのかも、と思いながら、じんわりと読み進む。
    でもトラは良かった。トラと真剣に格闘するシーンは良かった。トラ可愛いよね。

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    2018年08月22日
  • 夜が来ると

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    夜になるとトラがあらわれる。密林の気配とともに。

    75歳のルースの元にトラと同時期に現れたヘルパーのフリーダ。ユーカリオイルで床をぴかぴかに磨きあげる彼女は…

    老いていく、身体がどんどん思うように動かなくなり、記憶も自信がなくなってくる、
    トラは本当にいるのかしら?
    フリーダは本当は何者なのかしら?

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    2015年11月15日