パトリック・レドモンドのレビュー一覧
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再読だったけど、やっぱりこれはわたしにとって傑作だったな。
心優しいけれど気弱で、自分が虐げられる側であることを受け入れているジョナサン。眉目秀麗で誰とも馴れ合わない、けれども圧倒的なカリスマ性を持つ孤高の青年リチャード。全寮制の男子校という狭い世界でふたりが通じ合ってしまったその瞬間から一気に歯車が狂い始める恐ろしさ!すべてが木っ端微塵になるまで、もう誰にも止められない。
ずば抜けて切れる頭でなんでも思い通りにできてしまうリチャードの冷酷で残忍な容赦のなさが、どうしてかほんとうに魅力的に見えてしまう。読んでいるあいだ、リチャードの敵はわたしの敵だった。あんなに恐ろしい男の子だったのに、リチャ -
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ネタバレ「きみに手出しするやつはだれだって、このぼくが殺してやるからな」
一日一度声に出して読みたい帯文。
もう冒頭から引き込まれまくり。
何より、登場人物の背景がそれぞれ詳述されていて、誰も彼も一筋縄ではいかない。
大人だろうと子供だろうと、容赦なく襲う理不尽と虚無、そして孤独。
そんなそれぞれの心のほころびに、リチャードとジョナサンの結びつきが入り込んでしまった。何たる悲劇。
リチャードがもっと魅力のない少年だったらよかったんだよね!!そうしたらきっと、ジョナサンもジェームズもここまで彼に入れ込まなかったと思うんだ(腐目線の感想)。
もう、リチャードがジョナサンにロックオンしてからの恐ろし -
購入済み
解説がありません!
最高でした。これぞ求めていたものです。2人の結末も私はこれも一つの解だと思いました。
さて、注意として電子書籍には愛溢れる解説部が入っていません。本編だけ読めればいいという方には関係ない部分ですがなかなかおもしろい解説なので読みたい方は文庫版を買うことをおすすめします -
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次から次へと訪れる不幸の嵐に目を背けたくなりながらも、続きが気になりどんどん読み進めてしまった作品でした。
リチャードたちが霊応盤を使うことでたくさんの不幸が訪れますが、一から不幸が作られたのではなく、元々あった人間関係の綻びや昔からの癖などが原因で不幸が起こっていくところが本作の魅力だと思います。
頭の回転が良く、誰も恐れない孤高の美少年という存在は、やはり魅力的です。私もジョナサンの立場だったらリチャードに惹かれてしまっただろうなぁと思います。
ただこの2人には、全寮制男子校が舞台の作品にありがちな、性的結びつきや恋愛関係は一切なく、新鮮でした。 -
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ネタバレ出会ってはいけない二人だった。
寄り添ってはいけない魂だった。
気弱で自信のないジョナサンと一匹狼でいつでも毅然としているリチャードが仲良くなっていじめっこを“めっ”する(滅する)感じのお話でした。
生徒からのいじめも読んでてつらかったが、先生のジョナサンへの当たりの強さも相当ひどい。だから、ざまあみろって思った。
まぁ、最後はジョナサンもリチャードも死ぬわけなのだが……きっとこれで良かったのだと思う、思いたい。片方だけ生き残っても苦しみしか残らない。
でも、二人とも良いキャラだったから霊応盤さえ無ければ違う関係を築けたのかなと思ったりもしたけど、どうなったにせよ破滅へ繋がりそう。
リチャー -
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かなり長いが、絶対に面白い!と思い購入。
読んでみると長さなんて気にならない。寝るのも食べるのも惜しんで一気に読んでしまった。
それくらい面白い。読むのを止められなくさせるような、読者を惹きつけるものがある。
前半のリチャードとジョナサンが友達になっていく過程は安心して楽しんで読めるのに対して後半は漂う狂気、悲劇の予感。これしかなかった。笑
だから読むのを止められなくなるのだけど。
何とか幸福な結末をと願っていたがやはり…といった感じ。
パブリックスクールという閉鎖された空間。少年というまさに自己形成期も相まってと言うのは簡単かもしれない。
それよりも感じられるのは人間の狂気である。「ずっと -
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おススメしてもらった本で、予備知識で読みました。
とても怖いと同時に風景の美しさが感じ取れる物語でした。
主人公二人が理解しあったシーンは本当にきれいで音まで聞こえてくるようでした。
英国パブリックスクール+ホラー。でもそれだけでは済まされない
感情で感情を殴るような激しさや学園ものならではの人間関係のもつれ、最後には大きな謎が残ります。
読みながら登場人物たちと同じ時間を過ごし、最後はぶん殴られ静かに幕が下りる、そんな体験をした気分です。
ストーリーテラーがあのキャラクターだったのか!という気づきがあって大変読みごたえがありました。
あれ説明してくれ!という部分があるので☆4かなぁ。 -
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ネタバレ友人におすすめ頂いた作品。
読み応えもあり面白かった。
一番初めに思ったのは『気弱』の認識の違い。このぐらいなら普通では…?と思ってしまった。
二人が知り合って親密度が上がるにつれ激しさを増すリチャードと困惑しながらも離れられないジョナサンの描写もさることながら、周りの人物の物語もおもしろい。
それぞれの人物が抱えている問題、ずるさ、葛藤、性格…。それぞれで起こる不幸の発動は二人が発端のようだが、その原因はそれぞれの人物にあるという収まりが良い。
オチまで何とか現実的な原因ではないかと推測していたが結局ソッチかーいっ!となった。むしろ好きな部類なのだが、現実的な原因が欲しかったと思って -
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ネタバレ面白かった。でもモヤモヤする。読んだ後の後味は良くない。そこも含めて面白いんだけど…
題名の霊応ゲームは、この物語において重要な鍵になっているはずなんだけど、それについての深い言及がなかった。日本語に訳す前はThe wishing gameで、読んだ後はそっちのほうがしっくりくる。
主役がだれか分からなくなるぐらい、登場人物全員が濃いキャラクターやバックグラウンドを持っていた。みんな、心に秘密や後ろめたい気持ちを隠していて、それを暴かれるのを恐れている。最後のあたり読んでてあれっこれってニコラスが主人公?ってなった。
最後にジョナサンが願ったことって何だろう。
私は2人の友情が偽りや勘違 -
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イギリスの全寮制の男子校を舞台としたホラー。閉塞的な生活の中での鬱屈、不満、いじめ、その中で育まれる友情…この思春期の同性同士の限りなく恋愛感情に近い憧れとか嫉妬は、確かにあると思う。
前半はいじめられっ子のジョナサンに孤高の美少年リチャードが手を差し伸べ、2人の仲が急接近していく。今まで自分がジョナサンの一番の親友だったのに…とやきもきするニコラスの気持ち、すごくわかる。ニコラスは最後の最後まで良い奴だった。リチャードがいじめっ子や意地悪な先生に一泡吹かせるシーンは胸のすく思いでした。しかし、後半になるにつれどんどん雲行きが怪しくなって行き、終盤破滅に向かって突き進んでいくリチャードが痛々し