デイヴ・エガーズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
光の速さで駆ける犬・ヨハネス。
読み終えた瞬間、その冒険の先に広がる世界を思って、
気づけば涙が流れていた…
『アイとムリ』デイヴ・エガーズ
動物文学って、どうしてこんなに名作が多いんだろう。
『シートン動物記』(アーネスト・T・シートン)
『白い牙』(ジャック・ロンドン)
この2冊を超える破壊力の本、なかなかないと思ってたけど…
お友達に教えてもらった『アイとムリ』。
これは間違いなくお気に入りの動物小説になりました。
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本作はアメリカで最も優れた児童文学に贈られる
ニューベリー賞の受賞作。
主人公は、光速で駆ける犬・ヨハネス。
(表紙からしてすでに躍動感がすごくて、かわいい…)
仲間の動物たちと暮らす広い公園で、
少しうるさい人間に悩まされつつも、
ヒトに飼い慣らされることなく、自由奔放に生きている。
そんなヨハネスの役割は、公園の「目」になること。
隅々まで観察し、異常がないかを
<バランスの守護者>たちに伝えるのだ。
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前半は、動物たちの賑やかな日常にほっこりして
「癒し系の動物小説かな?」と思っていた。
……が、ここからが本番。
ヨハネスたちが “とある計画” を実行した瞬間、
物語がガラッと反転する。
後半はもう、感情がジェットコースター。
胸がぎゅっとして、でも前に進むしかない。
何よりすごいのは、
この本は「物語の先」を想像せずにいられなくなるところ。
まだ見ぬ世界の広がり。
彼らの行く末に待つ未来。
視界が一気にひらけるような、
息をのむほどの美しさに心を持っていかれる。
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そして絵がまた素晴らしい。
本書に使われている風景画の多くは、
すでに亡くなった画家たちの古典的作品。
そこにショーン・ハリスさんが
ヨハネスを描き足しているのだけれど、
その融合が奇跡のように美しい。
特に最後のページの絵の静かな美しさは、反則級。
そっと泣きながら本を閉じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとにかく面白かった。500ページ超の本を一気に読んだ。
実在するIT企業を髣髴をさせる現実的な設定が特に面白かった。
あと10年もすれば全て実現できるのでは?と思わせる
妙にリアルな近未来の世界がぞわぞわと心に迫ってくる。
便利にすること、だれにでも分かりやすくすること、正直で公平であること。
そこから始まったことが段々と常軌を逸していく。
スタートが「善」だと、そこに異議を唱えるのは難しい。
中庸というのは本当に難しいのだと改めて思った。
このシステムは本当に便利だ、だれにでも無料で使えるようにするべきだと思うシステムもあった。けれど、その裏には常に危うさが付きまとう。
オンラインが実生活から切り離せなくなっている以上、この難しいバランスをずっと取り続けなければならないのだ。 -
Posted by ブクログ
現代の1984。舞台はサークルという「C」のロゴを持つIT企業。疑いようもなくモデルはGoogleであり、世界は知らず知らずのうちに情報を管理され、プライバシーはなくなり、監視のもとに晒される。「C」の穴が閉じるとき、サークルは完全な円になる。
ここでは、SNSのニコマークを得るのに中毒になっている人間や、知る権利の正義を信じてハードワークをこなす人間がたくさん出てくるが、それらは全て私たちの生き写しだ。私たち一人ひとりは罪のない一般人だし、影響力もないし、そんなに悪い人でもない。ただその無意識の盲信が集団で持つ力はあまりに大きすぎる。
知る権利は確かにあるところまで正義だろう。性犯罪をなくすこともできるだろうし、介護が必要な親の生活を見届けることもできるだろうし、税金の無駄遣いをなくす効率的な政治をすることもできるだろう。しかし、アカウントを義務化して、人間にマイクロチップを埋め込むのはやりすぎだ。ただ、その境目はどこだろう。その境目ははっきり分かったり急にやってくるものではなく、あまりにグレーで緩やかにやってくるために、我々は変化に気付かず、気付いた時には世界は終わっている。
非常によくできた小説で、デイヴ・エガーズという新進気鋭の作家の実力にも非常に惹かれた。 -
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犬のヨハネスは、この公園の「アイ」。アイとは、公園の見張りをして、公園の「バランス」の守護者であるバイソンたちの目となる者のこと。
「バランス」がくずれるようなことが起こると、バイソンたちに報告する。そのために、ヨハネスは走り回っている。とても自由に。でも決して人間たちに捕まらないように。そんなある日、ヨハネスは公園内にできた美術館に惹かれ始めて…。
新しく広大な世界、もっと自由に走り回れる世界に憧れるヨハネスを応援しながら読んでいた。アシスタントアイの個性的な動物とのやり取りも楽しかったなあ。特にカモメのバートランドとヨハネスの間に育まれた絆には感動した。現実でも、こんなふうに種を越えてやり取りしたりすることはあるのかなあ、あったら素敵だなあと想像してみたりした。
バイソンたちを閉じ込められた空間から解放する作戦を立て、アシスタントアイをはじめいろんな動物たちと協力して実行するクライマックスは、いちばんひきこまれた。
初めて読むような設定だったり、途中ヨハネスたちが何をしたいのかいまいち分からなくて、少し読み進めるのに苦しんだけど、最後にはとても感動したし、野生の動物たちの目から見た世界を味わえて楽しかった。 -
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「すごい、ここは天国だ」という書き出しで始まる、現代ディストピア小説。かつてのディストピア小説は共産主義国をモデルにしていたわけだが、この現代ディストピア小説のモデルは言うまでもなく Google で、誰もが内心気がついている恐怖感を具現化した。そして、これが壮大なパロディとなるか、黙示録となるかは、まだ誰にも判らない。
Dave Eggers は現代アメリカを代表する作家で、この "The Circle" も New York Times bestseller #1。本当は原著で読もうと思っていたのだが、面白そうだったので翻訳でサッサと読んでしまった。 -
Posted by ブクログ
ますます進化するIT化、ソーシャル化。
「いいね」押していい気分に。「いいね」押されていい気分に。
会社の資料はすべて共有フォルダへ。メールは全員へ返信で。
CCには知らない部署の人の名前までずらっと並ぶ。
すべてオープン、それが「善」となんとく思うようになり、
すべてを透明化することで社会が一歩前進すると信じていた。(少し前の頃)
透明化によって、貧富・優劣の差はなくなり、手助けし合える“素敵な”社会が生まれても、
なんか居心地の悪さも感じる。個性もいつの間にか失われている気がする。
そんな「違和感」が脳裏をよぎる人もちょいちょい出てきたが、世間の“ムード”には抗えない。(ここが今)
10年後 あの時に感じていた「違和感」は正しかったんだ、と気付いても遅い。
サークルという輪の真ん中は空洞。何もない。
手遅れにならないように、今、多くの人にこの本を読んでもらいたい。
ただ、手遅れにならないようにこの“ムード”に抵抗したいところだが、
抵抗する方法がわからない現実に気付くと恐怖感はさらに倍増する。
この本に書かれてるのは、良かれと思って築き上げた夢のような未来の影に潜む、
取り返しのつかなくなった「奇妙な世界」。
罪のない“ムード”をどうやって軌道修正すればいいのか、考えさせられた。
BGMはゆらゆら帝国「空洞です」の小泉今日子バージョンで。 -
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ネタバレ2017年映画が来るということで先読み。まぁおもしろかったのだが、スピーディーなテンポがまるで映画向き。読書としては少々疲れます。原文がそうなのかどうか未確認とした上で、日本語版はけっこう読みづらかった。古式ゆかしい文学ではなく、そのスタイルでさえ情報の海の中心である“サークル”的な表現なのだとすれば、ふさわしい訳文と言うべきか。
Facebookなどソーシャルメディアとのつきあい方を見直したい人や違和感を明文化しておきたい人(大なり小なりきっと誰もがそうだと思うのだけれど?)は読んでみるといいかも。確かに「嘘やヒミツがなければその場面で争いや憎み合いにならないのに」と思うことはある。でもヒミツ――まだ語られていないということは、人生で必要だとも信じているので、同書で描かれている世界はわたしにとって完全にデストピアでした。
予告編で観ただけで判断するなら、メイ役のエマ・ワトソンがおそらくはまり役。完全にイメージ付けられてしまい、読書中も脳内再生はエマ・ワトソンだらけでした(笑)
これは映画が楽しみ。救われる方向の描写があると嬉しいのだけど、どうなるのでしょうか。 -
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ネタバレなんという恐怖小説。グロでもオカルトでもないのに。
訳者はあとがきで「にやりとさせられたり膝を打ちたくなったりするようなエピソード満載」と書いているが、笑えるどころではない。最高に恐ろしくて気持ちが悪かった。
もちろんそれはこの小説が面白くないという意味ではなく、SNS疲れを感じている人や、逆に所謂ツイ廃の自覚がある人に読んだ感想を聞いてみたい。
恐怖と気持ち悪さの要因は2つ。強制コミュニケーションとファシズム的情報管理。
1部では、見聞きした情報や映像を含む自分の全ての情報を同じ「サークル」の社員たちと共有するのが当たり前であり、毎日膨大なメッセージを交わし合うのがコミュニケーションであるという社風が延々描かれる。
何しろポルトガルの話で盛り上がるためのブランチ会のお誘いメッセージをスルーした主人公が上司に呼び出され、メッセージを無視されたことに涙ぐむ会の主催者に謝罪させられ、その経過レポートを全社員が共有するというんだから相当気持ち悪い。
この上司いわく、
「たとえば、この会社が幼稚園のクラスだとして、ひとりの女の子が誕生パーティーを開いたときクラスの半分しか出席しないとすると、誕生日の女の子の気持ちはどうなると思う?」
幼稚園児の集まりかこの会社は。
主人公はこんな社風に疲れ病んでいくのか……と思いきや、2部ではむしろ主人公のほうが気持ち悪さのスターダムにのし上がっていく。
全ての情報が公開され誰もがそれを見られることこそが全世界の幸せだと信じて疑わない主人公は、ただ静かに病気を癒したいと願っている両親のメルアドを無断でネットに公開し、「サークル」に情報管理されたくなくて逃亡した元カレを監視カメラとネット信者の「協力」で追い詰める。
どれもこれも発端は彼女の「善意」であり、何故それを両親や元カレが厭うのかが彼女にはさっぱり分からない。全てをオープンにして全世界と繋がることをどうして拒むのか?
果ては昏睡状態に陥った友人の頭の中を覗けないことにすら苛立ちを覚えて侮辱と感じる。
いよいよ世間で不評のマイナンバー制度が施行されようとしているが、これを読んだらますます不安しか覚えない。 -
Posted by ブクログ
公園で生まれ育った犬のヨハネスは、公園の【バランスの守護者】であるバイソンたちの【アイ(目)】として公園中を観察する役目を担っている。人間に飼われず自由の身であることに誇りを抱くヨハネスは、ある事がきっかけで、柵に囲われて暮らすバイソン達も自由の身になるべきだと考え始める。公園で暮らす動物たちと協力しヨハネスは人間を出し抜くための作戦を練る。擬人化とも動物観察とも違う、動物視点の冒険ファンタジー。
シートン動物記とも違う、けれども、ピーターラビットのように擬人化もされていない動物たちの物語。現実には絶対にあり得ないストーリーなのだけど、ヨハネスのスピードや時間や自然の感じ方が豊かな言葉で語られていて、読んでいて世界観が楽しい。人間の反応などリアリティ溢れる描写の中でのファンタジー要素のバランスが取れていると思った。しかし、時折「そうはならんだろ」と現実が降ってくることがあり、特に最後の終わり方が下手すると死ぬような状況なので、どうしても現実的に考えざるを得ず、ファンタジーに浸りきれないのが残念。 -
Posted by ブクログ
ネタバレSNSをカリカチュアライズしたような小説で、Facebookなどを一生懸命やっているのであれば面白く読めるのかもしれない。
冴えない地方公務員であったメイは知人のつてで人も羨む最先端企業サークル(グーグル?)に転職する。「起こったことは全て知らされるべし」の原則のもと、メイはSNSに没頭して社内でのパーティーランクを上げ、プライベートでも謎の男性カルデンとの関係を深めていく。サークルの新たな社是である透明化(常にカメラを装着してプライベートの全てを公開する)にもいの一番に志願し、世界の全てを透明化し選挙もサークルのSNS機能に統合しようという会社の広告塔になっていく。
カルデンがサークル設立者の一人であることを明かされ、過度の透明化、政治化への危惧を説かれたメイは、一大発表会で透明化への反対を表明するように説得されるが、、、