安田隆夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とても面白かったです。ドン・キホーテ、本書の中でも書かれているように我々が目にする情報といえば(大手流通企業から広告料をもらっている)マスコミのかなり偏ったネガティブ報道が多い中で、創業者の目線から見たドン・キホーテ誕生話はとても新鮮でした。新聞や雑誌では、ディスカウント業界はデフレの時流に乗って成長した、とよく言われますが、そうではない、つまりドン・キホーテは他社がターゲットにしていない層(および活動時間帯)に新しい価値提供をしたからここまで成功したのであって、ディスカウント業界でも潰れている企業は山ほどある。ということで、本書にもありますが一言で言えば創業者および各従業員の知恵の勝利ということだと思います。大手企業のやっていることをテーゼとすると、それに対するアンチテーゼをドン・キホーテがやる。ただそれで終わりではなく、テーゼとアンチテーゼの良いところを織り交ぜて次のレベルに昇華させる(ジンテーゼ)、というまさにヘーゲルの弁証法を絵に描いたようなストーリーでした。
一方本書を読んで感じたのは、ドン・キホーテも、もう少し異業種でもいいから「仲間企業」を作ったらいいのにということです。会社としては一匹狼、まるで創業者の若かりし頃と同じで、会社は事業拡大とともに仲間の従業員を信頼してどんどん権限委譲して成功していったのですから、このさい異業種でもいいから仲間企業を作って、仲間企業と共に繁栄するようなビジネスモデルを開拓していったら、更なる高みの領域に入るんじゃないでしょうか。仲間企業が増えればマスコミもそうそう叩けなくなりますしね。
本書いろんな面で「はらおち」できる点が多くとても興味深く読みました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレドン・キホーテ創業者の物語。
慶応大学を卒業しながらも、一時は雀士として生計を立て、苦悩の末に泥棒市場という非正規品を買い取り、販売する店舗を立ち上げる。
深夜も開店することでナイトマーケット感を出し、商品を際立たせるオリジナルPOPを作成するなど、ドン・キホーテにつながる基礎を構築する。
そこから、商品仕入れのノウハウを生かしたジャストという卸商を展開しつつ、ドン・キホーテを立ち上げ、急速な拡大を経て今に至る。途中、有名な放火事件などもあったが、新たなジャンルの小売の王者として君臨している。
著者は、日本の小売発展に寄与した、全国どこでも画一的な店舗を展開し、重要な施策は本部が策定するチェーンストア理論を否定している。ドンキは昔から売り場別に個別採算性を導入し、売り場別に競わせていた。同様に、地域の客層に合わせて、店舗展開を柔軟に変えていくことが現在の小売にも求められているのかもしれない。
巻末の経営哲学にも同意できる部分が多かった。
風変わりなドンキホーテの話かと思ったが、以外にも考えさせられる部分が多く、大変勉強になった。 -
Posted by ブクログ
ゼロからドン・キホーテを立ち上げた安田さんの自叙伝とも言える一冊。何度も出てくる「はらわた」という言葉に代表される、考え抜いて行動する力と仕事をゲームとして楽しむ姿が非常に印象的。
そして読みやすい文章で書いているが仕事と書物を通じて、マーケティングやマクロ経済等ビジネススクールで学ぶような科目の基礎を身につけていることがありありと分かり凄味を感じる。
以下、気に入ったフレーズ。
・考えてもらうは徹底的な権限以上が必要
・信じて頼むことの重要性
・赤字の外食店から譲り受けるソリューション型物件による出店
・プロ経営者をもてはやす風潮への違和感
・62歳で達した、「私欲を捨てて大義に殉じる」という心境
・理路整然としているから正しいということは決してない。人間の心理がそもそも理路整然としていない。
・凡庸は楽だが、即、死を意味する
・はらわた力の重要性。もがき苦しむ力のこと。
・真正直に商売をやることでお客様から信頼を得る。小賢しい工夫をしても必ず見抜かれてしまう。
・売り手と買い手は利益相反があるものだから、その境界線を曖昧にしていく
・OrではなくAndを目指す
・組織のアポトーシス(正常な細胞の自死)が必要
・負けに敏感な人が多いが、勝ちに敏感かつ貪欲な人が少ない
・運をレバレッジするが、ツキがない時は見を決め込む
・仕事のゲームに勝ち得て成果を上げる喜びと満足感は何事にも替えがたい
・人は人のことを分からない。白黒つかないグレーがたくさんいる。その濃淡を見極めて距離感を取る。 -
Posted by ブクログ
ドンキホーテ創業者が、その歩みについて語った本。日本の厳しい時代に大きくなった会社だけあって、その成功体験は異質である。まさに逆張りの連続であり、苦難の連続である。多くの困難を乗り越え成功を続けてきた創業者の体験は、とても興味深い。面白い本であった。
「(ネガティブモード脱出法)一人で自宅に引きこもる。昼間から雨戸やカーテンを閉めきり、じっと何もせずに過ごす。外出は厳禁。食事は買い置きや出前で済ます。テレビやラジオもつけずに外界の情報はすべてシャットアウトする。できれば布団をひっかぶって、陰々滅滅とした環境の中、仕事のこと、人生のこと、将来のことを徹底的に考え抜くのである。ひたすら悶々と、布団の中で落ち込むだけ落ち込むのである。この状態を3日も続ければ、突然、鬱々とした気分が劇的に晴れるときが来る。こうして落ち込みが底を打ったとき、人間は一挙に浮上する」p32
「常識を信じないという体験論的な哲学」p52
「まじめで能力と才能にも恵まれているのに、なぜかビジネスでうまくいかない人がいる。そんな人は私に言わせると「見」ができていない。常に全力疾走でいると、危険を知らせる微妙な変化にも気づかないのだ」p86
「ドンキの仕事には「マニュアル」はない。マニュアルを与えれば、一時的に作業効率は上がるだろう。しかしこれでは、うつろいやすいお客様の心を敏感に読み取り、変化にすばやく対応することはできない」p103
「商売と経営は難しい。十の挑戦、百の挑戦で一つか二つ当たればいい方である。大切なのは、傷を大きくしないうちの見極めと見限りだ」p152
「会社の雰囲気は、そのまま商品やサービスに出てしまうものだ。社員が楽しく仕事をしていない会社の商品は、絶対に売れない。これは断言する」p155
「個人的にいくら優秀でも、部下からの人望がなければ、上司としては失格だ。最近の当社の新入社員は、昔に比べ格段に優秀でリテラシーの高い人材が多い。しかし世間で一流とされる大学を出ている人材には、「部下をその気にさせる」資質を備えた若者が逆に少なくなってきているような気がする」p157
「当社も最近は、ドラフト会議で選ばれるような社員を採用できるようになった。とてつもない人材がいくらでも生まれそうなものだが、意外と期待したほどではない」p159
「人は間違って当たり前、判断を誤って当たり前だ。間違いや失敗を恐れていては、果敢な挑戦などできやしない。ミスをしたと気づいたら、速やかに撤退すればいいだけの話だ」p167
「私の経験上、一見もっともらしい理論がいちばん危ない。理路整然だから正しいということには、けっしてならない」p172
「先発企業には、巨大な資本と人材、圧倒的なシステムとノウハウの蓄積がある。後発企業が先発企業のマネをしても絶対に勝てない」p195
「私の行き着いた結論は、「結局、人は人のことなど分からない」ということである」p223