大川周明のレビュー一覧

  • 復興亜細亜の諸問題・新亜細亜小論

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    大川周明は北一輝とともにファシストの理論家として知られるが、戦前の右翼思想を考えるとき、国体論、テロリズム、軍国主義、農本主義、国家社会主義など様々な切り口がある中で、今日的に最もアクチュアルなテーマは「アジア主義」だろう。西郷の「征韓論」や福沢の「脱亜論」以来の近代日本の対外政策ひいては国家理念の根幹に関わる最大の対立軸、即ち、欧米への対抗軸としてアジアとの連携を志向するのか、それとも欧米との協調を優先するのか、という問題を巡るものだ。

    第一次世界大戦後に書かれた『復興亜細亜の諸問題』は若き大川がアジア主義を高らかに宣言した記念碑的著作であり、海外雄飛を夢見る青年達のバイブルとなった。イギ

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    2023年12月29日
  • 日本精神研究

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    日本精神復興と長養の拠り所とした先人の名前が興味深い。全員ではないが尊王にして侍の精神を思想にもつ偉人が名を連ねる。著者が活躍したのは戦前・戦中。政治と軍事の二極といういびつな国家体制のなかで、求められたのは日本古来の精神というのは何となくうなずける。しかし、文民統制で実現した現代の日本を鑑みると、復興すべき精神なのかというところは疑問が残る。

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    2025年10月13日
  • 復興亜細亜の諸問題・新亜細亜小論

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     帝国主義が台頭した時代、アジアの多くが、西欧列強に植民地支配された。そのような状況で、著者大川周明は、中東、中央アジア諸地域に目を向ける。このような被支配地域を分析して、アジアをいかにして植民地支配から解放させて、世界の欧化体制に、終止符を打つのかを考察する。本書の秀逸な点は、中東、中央アジアに根付いている宗教、すなわちイスラム教に注目したことである。大川によると、西欧列強が、アフリカ諸国の植民地政策を難なくこなせたのに対して、中東、中央アジアを完全に支配する、つまり同化政策は困難を極めるのだという。これは、イスラム教徒が持つ団結力、排他的精神のためだと分析する。このように、大川はイスラム教

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    2023年10月25日