ジェレミー・リフキンのレビュー一覧
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長かったが、勉強になった。
限界費用とは物やサービスを作る費用がゼロになること。
これによって、資本主義からのパラダイムシフトが発生するかもしれない。
経済は熱力学的の第一第二法則に支配されていることにエコノミストは気づいていない。
■第一部
1400年代ヨーロッパを中心に水車、風車の登場で、封建社会の経済パラダイムシフトが発生。
それと同時期に印刷機が発明され、コミュニケーション革命が起こった。
今日の資本主義は18世紀後期の蒸気の動力が導入されてから。
蒸気という強力な動力を得た資本家は、株式会社を組織(鉄道など)し、限界費用を押し下げていった。
垂直統合型の企業の誕生。
電話と電話の普及てさらに限界費用が下がった。
自動車のフォードも電気の恩恵にあずかっている。
現在、少数の企業が、莫大な経済力をほこっている。
自然の摂理を後ろ盾に経済パラダイムを正当化する傾向がある。むしろそれしかない?
IoTの登場で、垂直統合型の企業ではなく、分散水平型の経済を生み出す。つまり限界費用がほぼゼロの社会を育み、世界観をかえる萌芽期である。
■第二部 限界費用がほぼゼロの社会
IoTは生産性を大幅に高める可能性を秘めているが、プライバシーなどのセキュリティ面ではまだ課題がある。
再生可能エネルギー(太陽、風力、地熱、バイオマスなど)も限界費用ゼロになりつつある。その結果、化石燃料による発電所は採算がとれなくなってきており、駆逐され始めている。
遅くとも2040年よりも前に、再生可能エネルギーによる電力が全エネルギーの八割に達すると予測される。
化石燃料は限界費用ゼロには決して近づかないが、再生可能エネルギーは限界費用がほぼゼロになりつつある。
マイクロインフォファクチャリングとは、3Dプリンタのように、情報による製造のこと。
3Dプリンタは製造業の中央集中型の製造体制を根本的に崩壊させる。物作りを特別な企業のものではなく、個人で、考えられる物は何でも作れる世界が近づいているかもしれない。
ビット(情報)を使ってアトム(原子)を配列するというハッカーのアイデア。
アプロプリエートテクノロジーとは、地元で手に入る資源から作れて、協働型文化でシェアできる道具や機械を生み出すこと。
インドのガンディーは水平型の経済力という考え方を信奉していたが、一方で中央集中化されたものが成功しているのを横目に、ある矛盾に気づけなかった、あるいは気づいてはいたが、迷いがあったか?
資本主義体制を突き詰めて新しいテクノロジーが生まれることによって、ガンディーが思い描いていた水平分散型の経済パラダイムがおこりつつある。
教育においても、学習は個人的な経験、知識も専有するものと考えられていたが、協働の時代においては、学習はクラウドソーシングの過程ととらえられている。
サービスラーニングに参加することによって問題解決技能や認知的な複雑性の理解などの能力が向上した。
スタンフォード大学の教授が人工知能の講座をインターネットで開催したところ16万人の生徒がいた。
大学では年間5万ドルの学費を払っているのに無料で提供された。
moocのキッカケである。
世界で最高の教育が限界費用がほぼゼロになり、オンラインでほぼ無料で配信されるとき、それを単位として認められたとき、大学はどのように考えるか。
製造業もロボットの導入で限界費用がゼロに近づいている。
小売業の実店舗も今後は少なくなっていくだろう。
生産性が上がっても労働者は増えない
第8章まで読み進めているけど、社会主義、共産主義みたいに感じてきたんだけど、、、
(クリーンウェブでの着想、市内の避難所案内をルート案内できないものか?)
アメリカでは、全ての人に無料のWi-Fiをと連邦通信委員会が提言した。これは既存の通信事業者に大打撃を与えそう。
封建制度下のコモンズではなく、ネットワーク化されたコモンズが、IoT社会の統治モデルとなる。
■第三部 協働型コモンズの台頭
コモンズは規約がなければ、荒廃していく可能性が高い。
昨今、遺伝子の特許が出されてきたが、ある営利企業に遺伝子、あるいは生命を生むものに対して独占すべきではない。
これこそコモンズによる統治が必要だと説いた。
コンピュータの性能が上がったことによって、DNAの塩基を解析するコストが急落しており、限界費用がほぼゼロに向かっている。
数年前までは限られたエリート集団にしか許されなかった研究が今や誰でも可能になってきている。
ITと生命科学の一体化。生命情報をどのようにするか最も興味深い情報とビル・ゲイツは述べている。
この考えに近い人々はピアツーピアのコモンズ方式が適していると考えている。
しかし、ビル・ゲイツはソフトウエアをフリーで使用することに窃盗だとも言っている。これに対してGNUやLINUXなどが登場し、フリーソフトやオープンソースソフトウェアが登場した。
一方で、コモンズを囲い込み営利企業が独占する状況も続いていた。
これらのコモンズの再開放を求めてアラブの春を代表とするソーシャルメディアでつながり行動を起こしている。
今後、資本主義体制か協働型体制のどちらが発展していくかは社会インフラにかかっている。
現在のコミュニケーションネットワークはGoogleやFacebookに牛耳られそうになっている。
なぜならユーザーの情報が独占され、囲い込まれてしまうためである。
コミュニケーション媒体の商業的な囲い込みという問題は今後議論されていくだろう。
エネルギーコモンズについても、同様の問題を抱えている。しかしアメリカの1930年代の電力事業にヒントがある。
田園地帯に電力を供給しようと電線の敷設を農村の協同組合で実施し安価にアメリカ全土に拡げた。(結果的にそうなったというのはあるが)今でもこの協同組合による電力供給は続いており、原価で電力を提供している。
次にロジスティクスコモンズに関して、従来の垂直統合型の運送会社だと、社内の最適化は可能だが、グローバルな視点で見ると、積載率は6割というムダな状態であった。
これが倉庫を共有したり、複数のドライバーで積荷を届けるような分散水平型のやり方が出始めている。
■第四部 社会関係資本と共有型経済
カーシェアリングサービスの登場で、自動車が減り、二酸化炭素の排出量も減った。
シェアリングエコノミーは市場機会ではなく、経済パラダイムの変換点か?
ナップスターが登場し、p2pで音楽をシェアリングし音楽業界を一辺させた。
エアビーアンドビーのように個人宅をシェアしたり、庭を農地にシェアするコモンズも生まれてきた。更には、個人情報の最機密である疾病情報のシェアで、希少疾病の患者主導の研究などが始まった。
3Dプリンタで臓器も作成できるようになってきている。しかも限界費用がほぼゼロで。
広告業界においては、人々の受け身の態勢から自ら情報を取得することによって危機的状況になる可能性がある。
2008年のリーマンショックによって、貨幣に対する信用が低くなった。
各地で地域通貨と呼ばれる物が増えてきた、地元で資金を循環させるためのものだ。
分散水平型のインターネットの破壊力も金融の領域には及ばないというのは視野が狭い。
■第五部 潤沢さの経済
潤沢というのは主観がはいる定義である。
2050年には人口が今より35%増加し(25億人)2030年の時点で、今の水準の資源消費は地球2個分が必要。
幸福度はあらゆる研究で、横軸を貧困度に取るとベルカーブを描いて上下する。裕福になっても幸福度は落ちる。物質に所有されるという状態になる。
ミレニアル世代のほうがミラーニューロン(共感ニューロン)が発達している?
お金では幸せは買えない、ベーシックインカムは貧困層をなくすという意味でいい施策なのかも?
富裕層のエコロジカルフットプリントを減らしても、貧困層の出生率は下がらず、資源が不足する。
貧困層の子供はいわば労働の保険だ。
貧困層の出生率を下げるだめには、電気の安定供給が不可欠だというデータがある。
そうすると出生率2.1以内に収まり、世界の総人口は50億人にまで減少する。
これを実現するための不確定要素として、温室効果ガスによる温暖化である。
2100年には4.5℃以上上昇する可能性がある。
現在でもあらゆるところで異常気象が観測されている。
世界中で旱魃が発生しており、農作物の収穫量が減少している。このため、摂取カロリーも減少しており、栄誉不良の子供が増えると予想されている。
異常気象を乗り越えるためにも再生可能エネルギーに移行すべき。
潤沢さの経済への移行に向けた取り組みの障害になり得る不確定要素の2つ目は、サイバーテロだ。
サイバーテロにより、アメリカの大規模な変圧器が破壊されたら、復旧するまでに甚大な被害が発生するだろう。
日本の状況は化石燃料にいまだ頼っており、ドイツに比べて非常に遅れている。再生可能エネルギーの資源はドイツの9倍あるにも関わらず、生み出しているエネルギーは1/9である
日本は大きな岐路に立たされている。旧来の持続不可能な古いコミュニケーションテクノロジーに固執すれば二流の経済になり下がる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレネット等の台頭により、単位増加に伴う限界費用がゼロに近づき、あらゆるものの価値観が変わろうとしていることを幅広く深く紹介した本。3年前ではありながら名著。
<メモ>
・スマートシティ文脈のIoT。構造的健全性を評価し、修理を判断。自動車や歩行者の最適化を図る。駐車スペースを知らせる。交通情報。保険料率の適正設定。照明の最適調整。ごみ収集ルート最適化。
・IoTは地球の生態系管理の向上のため。急速に自然環境に適用されつつある。
・セキュリテイシステムの高度化。
・第三次産業革命では、IoTにより、生物圏の複雑な構成の中へ人類が自らを再統合し、地球上の生態系を危うくすることなく、劇的に生産性をあげるのを助ける。
・インフラには三つの要素が必要。それぞれが残りの二つと相互作用し、システム全体を稼働させる。コミュニケーション媒体、動力源、輸送の仕組み。コミュニケーションがなければ、経済活動を管理できない。エネルギーがなければ情報を生み出すことも、輸送手段に働力提供もできない。輸送とロジスティックスがないとバリューチェーンに沿って経済活動を進めることはできない。
・コモンズは市場も政府も提供しない様々な財とサービスをもたらしてくれる。コモンズは資本主義市場と代議政体のどちらよりも長い歴史を持つ、世界で最も古い制度化された自主管理活動の場。
・利益率の激減に直面している巨大な資本主義企業は限界費用がゼロに向かう激しい勢いに対して、そう長くは持ちこたえられないだろう。協働型コモンズ、経済が台頭する。 -
Posted by ブクログ
なんとなく気になっていた「限界費用ゼロ社会」、詳しく読んで納得。今後の社会の変化の基礎となる、前提条件を学んだ気がする。限界費用ゼロということは希少性を生み出すことができなくなるわけで、購入=所有では利益が出せなくなる。シェアリングエコノミーの勃興はこれがベースになっていると考えると腹落ちする。著者は、エネルギーさえコストゼロに近づくと予想していてその先端がドイツであると評価。日本は建設コスト・維持コスト・管理コストが高い原発にこだわっていて両者の差は広がるだろうと予言している。一方、西洋では当たり前の「共有地の悲劇」が起こらない数少ない地域が日本であるとして期待もしている。
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Posted by ブクログ
ネタバレシェアリングエコノミーの話をこえた未来予測に非常に感銘を受けた。
これまでの第1次、2次産業革命の社会の変容と合わせての現在起こりつつある第3次産業(社会)革命ととらえるアプローチが斬新かつ面白かった。
これらの革命は決して、産業にとどらず社会自体をかえていく、第3次革命がたどり着くところが、1次革命以前のコモンズ(共有地)と言う。ただし、規模はインターネットを基盤とする世界規模の。
そこには、資本主義の次に来る、協働社会。語られている事象をとらえれば、確かにこのまま資本主義が続くというより協働社会の実現を感じずにはいられない。
その原動力は、物欲より共感を重視するミレニアル世代。
ミレニアル世代は、周りに手に届くところにすでにモノやサービスがあふれそれを所有することに価値を見いだせないというのも納得でした。(決して、欲望がないのではなく、欲望の価値観が違う。)
最後の特別章「岐路にたつ日本」も非常に的を得た提言でした。ドイツに比べやはり危機感の足りない日本。日本がたぶん世界でもっとも技術的には、限界費用ゼロ社会の実現がしやすく、かつ必要性があるにかかわらず、相変わらずの垂直統合的資本主義に縛られている、この本が発行されたのが1年前なので、少しは進展しているように感じますが、たぶんさらなる加速が必要ですね。それが日本の将来の姿であればいいと説に願います。それが来年1年でさらに顕著になればいいですね。そして自分がこの時代の変化にどう適用していけるかを考えていかなければならないと感じます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ難しいテーマは丸々1冊だと読み切れないけど、インタビュー形式で読みやすい。
人口動態が変わっていわゆる白人中心・優位な時代が終わりつつあり、多極化やトランプ政権など国際政治の状況も様変わりで、価値観や政治が不安定化している、という現状分析が多かったかと。世界がどこにどう向かうのか、帯の「「常識」の時代は終わった。「力が正義」の時代が始まる」は暗澹とするけど、ある程度ニューノーマルとして現実を認識する必要はあるのだろうな。
興味深かったのは、ジョセフ・ヘンリック(人類学者)のパート。
・WEIRD(西洋の、教育水準の高い、工業化された、裕福な、民主主義の)な特性(個人主義、他人への信頼、傾向性主義、分析的思考)は世界的には少数派。
・日本人や韓国人は欧米化著しいかと思いきや、相手との関係性によって態度を変える。
・宗教の中でも西方教会がいとこ婚を禁じたことで、氏族社会が解体。親族ベース制度から一夫一婦制の核家族→人が移動しやすくなったり、血縁以外の共同体が生まれたりして、ヨーロッパの発展・産業革命の基礎となった。
・「子ども時代に引っ越しを繰り返した若者は、友人と初対面の相手をあまり分け隔てしなくなるという」←個人的に思い当たる。
量子コンピュータ(ミチオ・カク)の話は異色、そして難しい…
水が基礎インフラ(ジェレミー・リフキン)、これ最近よく聞くな。 -
Posted by ブクログ
現代は効率を重視し過ぎており、ギリギリの状態で何事も回っている。トヨタ生産方式やリーン生産方式により、在庫を持たずに資本をギリギリまで投入することで経済的優位性を示している。その分、レジリエンス(弾力性)を低下させており、突発的な事象に対して脆弱性が露見するリスクをはらんでいる。そんな状況から脱却するために、筆者は4つの点で提案をしている。
①インフラ自由化によるエネルギー分配システム
②適応能力の強化による問題解決
③共感能力の強化による意識改革
④若い世代によるデジタル活用
正直、内容を深く理解・共感することができず、メッセージ性を受け取ることができなかった。
弾力性を得たいなと思いつつ、もう少し勉強をしなくてはと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレIoTと3Dプリンターと再生可能エネルギーがシェアエコノミーしいては第3次産業革命を起こすということを書いた本(第4次産業革命とも言われているが、正確には第3次らしい)。内容もよく練れておりそれなりに納得感もあるが、最終的に限界費用が限りなくゼロに近くなる社会が訪れるということが俄かには信じがたい。マイケルサンデル張りのpublic societyが最終的な社会形態ということだが、人間は本当に自らの欲望(利己心)を克服して利他的に行動するようになるのだろうか?結局のところ、自分が最も得をするようい行動するという人間の本来の性向を考えると、なかなか実現しにくい社会だと思う。生産性が低すぎて協力しなくては生きていけなかった中世ならいざ知らず。ただし、このまま欲望のままに資本主義を発展させていくと最終的に社会の成長を地球が賄い切れなくなるというのはあるのだろう。まあ、ローマクラブが何十年か前にも同じことを言っていたが。。。
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Posted by ブクログ
2012年頃に書かれた本。
「インターネット広告は、従来の広告より単価が安く、ユーザーはレビューを重視して広告は信用しないので生き残れないだろう」という当時の筆者の予想は今読むと外れています。
この本は、ネクストソサエティのような予言の本ではないけれど、一つ一つの事実を知るにはまとまっていました。
・1995年から2002年にかけて、全体の生産量は3割以上増えたが、製造業の雇用は2200万人分も消失した。
・GDPの上昇と雇用は相関しなくなっている
・トレーラートラックのグローバルな輸送の積載率は1割にも満たない。輸送は効率化の余地が大きい。
・ロジスティクスは分散型インターネットのアーキテクチャを用いて改善すべき。最初から最後まで一つのトラックで運ぶのではなく、輸送拠点を途中にいくつも設けることで輸送を効率化できる。
・生産・ロジスティクス等エネルギー効率の改善、持続可能エネルギーの普及、シェアサービスの普及、で限界費用はゼロに近づき、希少性をもとにした資本主義の次の時代、潤沢さが前提となる時代が訪れるだろう(しかし、食糧問題は未解決)
・20世紀に入って、ヨーロッパやアメリカをはじめとする国々で女性を家事から解放したのは電力だった。地球上の人口を安定させるには、電気へのアクセスが鍵となることが分かり始めている。最貧国において、大家族というのは実質的に保険のようなもので、たとえ子どもの中に若くして命を落とすものがいても、その仕事を引き受けられるほかの担い手を確保できることを意味する。
・ミレニアル世代が家や車を所有したがらず、出世欲も少なく、物質的豊かさよりも人と人との関わりをより重視するのは、世界金融危機の影響が大きい。