室井康成のレビュー一覧

  • 日本の戦死塚 増補版 首塚・胴塚・千人塚

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    大化の改新から西南戦争にいたる戦いの歴史の中で生まれた首塚・胴塚・千人塚をめぐることによって「日本人は敗者とどう向きあってきたのか」を探る野心作です。「歴史は勝者によって作られる」事を再認識しました。




    本書は総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。博士(文学)であり、専門は民俗学、近現代東アジア民俗思想史の筆者が大化の改新から西南戦争にいたるまでの戦いの中で殺され、葬られてきた夥しい者達を祀った「首塚」「胴塚」「千人塚」―。全国660カ所以上に確認できるそれらをめぐり、検証することで日本人は「敗者」とどのようにして向き合ってきたのかを検証するものです。

    本書を読みながら僕の頭の

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    2024年12月10日
  • 事大主義―日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」

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     事大主義の成り立ちと変遷、さらに各地における受容の経過をまとめた本書。

     事大主義がその源流においては、ただ外交政策を意味しているだけであるとは初めて知った。「大国に事(つか)える」という状況を「事大」と表す実にシンプルな言葉である。

     それに「主義」をくっつけ、今日における意味となったのは明治時代以降。作成者は福沢諭吉であるという。

     明治時代は列強各国に対抗していかなくてはならない時代。故に背伸びし、先鋭化していた影響がこういう言葉にまで及んでいたと見るべきか。

     明治時代は確かに光の部分も多々あるが、その負の部分も多い。その負の部分が現代まで尾を引き、未だ清算できずにいる。その

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    2019年05月14日
  • 事大主義―日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」

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    会社の中でも上位の役職者に対して意に反しながらも、追従したり、盲目的に指示に従う様な雰囲気が醸成され風土化されている企業は多くある。長いものには巻かれろとばかりに「はいはい」とやっている方が、サラリーマン(今やビジネスパーソンと言うべきだが)にとっては楽な事は多い。従来の制度に大いに疑問を持ち、自分がこの会社を変えてやろうなんて、意気揚々と取り組み発言し続けるのは、せいぜい入社5年以内ぐらいなものだ。私自身もそうして転職を重ねる度に、気力を奮い戦い続けたのは数年、体力も気力も限界に達し、いつの間にか「空気を読む」側の人間に成り下がってきたと感じる。多少のストレスを感じながらも、日々終わりの見え

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    2025年03月02日
  • 事大主義―日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」

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    事大主義という言葉は朝鮮の外交政策や性向の話という認識だったが、この言葉自体は孟子の言葉から福沢諭吉が作ったものであること、朝鮮を併合したことにより日本にこの言葉が向くようになったこと、意味としては空気を読むのに似ていること、沖縄でもこの言葉が言説の中でよく使われていたこと、伊波普猷という人物のこと、現代朝鮮半島でこの言葉の持つ意味など、勉強になった。

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    2019年04月20日
  • 柳田国男の民俗学構想

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    柳田国男が目指していたのは「公民」――新しい時代の良き選挙民を育成する事にあった、という観点から書かれた一冊。その中で「民俗」とは打破すべき旧態であり、「民俗学」とはその現状を把握するための学問だったのではないか。

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    2013年02月16日