山田深夜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者は、ホンダ・ワルキューレに長年のり続けるバイク乗りで、これまでもバイクと人を主役にした物語を綴ってきた。この本もバイクに魅せられた人物が登場する5編の中短編集。
一番、印象に残ったのは中編「流儀」。万引き犯の老人を見逃してやったことで警備会社から解雇され無職となった男が北海道へバイクでツーリングに出る。そこで、違法CB無線機を使いながら自分の「流儀」を語る男と知り合い、自分にも「流儀」があることを悟る。無線機や電波法、警備業務の分類など、著者ならではと思える蘊蓄も盛り込まれていた。
冒頭作の「リターンズ」も奇抜でありながら人情も感じさせる面白い話。恋破れ、故郷・郡山から就職先の東京へ高速バ -
Posted by ブクログ
山田深夜『横須賀ブロークンアロー(上)』双葉文庫。
久し振りに読む山田深夜。上下巻で1,400ページを超える大作。
横須賀とその周辺を舞台に描かれる国家最高機密と捻くれた男たちの生き様。警視庁公安部の石渡秋彦が剛の捻くれ男なら、バス整備士の江井徹は軟の捻くれ男。上巻では二人の捻くれ男の背景が各々描かれるが、それが次第に交わり、二人の近辺に危険が迫る。
冗長過ぎて、ページを読み進んだ割りにはストーリーは余り進まない。また、冗長過ぎるが故に、公安の石渡秋彦を引き抜き工作が今一つ納得出来ない、石渡がバイク技術を習得する課程は詳細に描かれているのに対して諜報技術を習得する課程には殆んど触れられ