あらすじ
ホームからは見えない電車の下半分。ここには人の命を預かる車両整備に誇りと夢と人生をかける男たちのドラマがあった。ひきこもりの青年が出会った、一筋縄ではいかない油まみれの武骨な面々。様々な過去を背負いつつ、ひたむきに仕事に打ち込む職人たちを前に、青年は少しずつ殻をはがしていく。そんな彼らを、大規模な脱線事故が襲う。消えゆく旧型車両と運命をともにする男たちのたぎるほどに熱い生き様を描く感動長編!
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著者が京急に勤務していたという経歴から、電車の仕組のやけに詳細な記述に得心がいった。鋼鉄ボディの1000系とアルミ合金の3000系の違いは、最終章の地震被災による脱線事故でも語られるが、私はJR福知山線事故を思い出さずにはいられなかった。題名からして赤城が主人公のはずだが、冒頭に出てくる引きこもりの純一に、今の自分の境遇と重ねて思うことが多かった。手に職を持ち作業に汗水たらす、そんな誇れる職業は素晴らしい。
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引きこもりの青年が出会った無口で人付き合いが悪い電車整備士「赤城」。消えゆく旧型車両を愛する「電車屋」達を通して、誇りと意地を描く。
命を預かる車両整備に人生をかけて向き合う愚直な男たち。20年京急の電車の整備に携わったからこそ描ける感動の物語。
文章は多少拙い?し、出だしは引きこもりの更生物語か、テッチャン向けの本かと思いきや、「赤城」の不器用に人々の人生にさりげなく関っていく姿が心に浸みわたっていく。★5
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「電車屋赤城」山田深夜著、角川文庫刊。個人的に、過去読んだ著者の作品の中で、傑出の作!”◯◯屋”と呼ばれる者達の矜持。不器用でも芯を撃つ思いやり。そしてブルース。...やっぱ泣いた。
ちなみに、電車、こと電路の知識に詳しくなります(笑)。
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黙々と額に汗し機械油にまみれて働く電車整備士を主役にした小説って、今まで目にしたことがなかった。工場を舞台にした小説はいくつもあるが、油と汗の匂いが感じられるほど、電車整備の世界が圧倒的なリアリティでもって描かれている。岡崎武志氏の解説がまた好い。
私としては、直木賞をあげたいぐらい。
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一つ一つの描写は臨場感もあり、非常に巧み。
構成が少し欲張り過ぎに思う。登場人物全てのエピソードが丁寧すぎて、誰が物語の中心なのか分かりづらい。
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電車好きにはたまらない小説だと思います。テツではない私でもとても楽しめました。登場人物のキャラが楽しく、人間模様も楽しい。鉄道会社の下請け零細企業に勤める技術者赤城さん。渋い。近くにいたら好きになっちゃうだろうなぁ…読後感も良かった。
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神奈川を走る鉄道会社の車両整備を舞台にしたドラマ。筆者がかつて働いていたKQがモデルになっているのだろうけど、消えゆく無骨な旧型電車を守りつつ会社側の新しい車両導入によりどんどん立場が危うくなる中で繰り広がれる人間模様。新しい車両は部品を交換するだけ、昔の車両は熟練の技が生きる、そんな話もありつつ基本は人間模様だけど端々に鉄道の専門的な話も入っていて、横須賀の町並みの情景などもあいまってどこにでもありそうなそんな話。各章が分かれているので細切れで読むことができるそんな作品でした。
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男が憧れる男。
そんな登場人物達、そして状況!
かっこいいとつい思ってしまう。女性にはちょっとわかんないかなーw
熱い男たちが描かれています!
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ひとりの電車工員を軸に、電車整備に関わる人々の夢・人生を垣間見れる物語。時代の波に飲まれ翻弄される人々の熱い生き様に、胸が熱くなりました。
正直自分は電車が嫌いであまり乗らないようにしているのですが、いつも定刻どおりに運行し、事故の無いようにしっかり整備している人々の想いや気概を感じて、電車の乗ること・見ることを改めて考えようと思いました。
と同時に、物語に出てくるような気骨のある職人・社会人・大人として自分の行く末を考えたいとも思いました。
今だけでなく、未来についても考えなければ・・・と想わずにはいられない、自分の背中を見つめなおさせる物語でした。
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電車の整備士の小説。プロというか、熟練者、昔ながらの職人さん!プロと呼べる人が少なくなってきている中で、久々に本物に出合った感がしました。それと人と人の人情あふれるつながり、ホントいいですね。
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とある私鉄の武骨で凄腕のベテラン整備士と、それを取り巻く人々の物語。
超骨太なお仕事小説、とゆう趣が。
最初の章の青年が主人公かと思いきや、次々リレーしていく語り手のひとりだったのですね。
みんな赤城が好きなのだなあ。
クライマックス(事故のところ)が、なんかバタバタと展開してもったいなかった気が。
もうちょっとページを費やしてほしかったデス。
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男子はみんな鉄道好き。っていう前提(仮定)に立たなくても、男子にも恐らく女子にも受ける作品です。
高倉健さんみたいに無口で責任感ありそうな人を中心に、その人に惚れ込む若い女子も、周りで支える大の大人も、師匠と慕う若い人も、全部揃っている神奈電っていう架空の電車会社の物語です。
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電車の整備に誇りを持って仕事をしている男の物語。
廃車となっていく古い型の車両と、昔気質の古い人間とが重なってところどころ目頭が熱くなりました。良かったです。
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タイトルも著者名もなにやらインパクトがあります。
私鉄電車の車両整備の「職人」を主人公に、その周りに集まる様々な人物達の人間模様を描いた物語。なかなか面白い作品でした。
電車の車両整備という目新しい舞台が生きていますが、著者の来歴を見ると「私鉄職員として20年勤務」とありますから、その経験を元に書かれたのでしょう。非常にリアル感が漂います。
文体という程の物は無いし、使われている手法も手垢にまみれたような物ですが、不器用に生きる職人達の心意気が気持ち良く。なにやら高倉健さんの世界のようでした。
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引きこもりの青年が出会った、油まみれの武骨な電車整備士と周囲のできごとの話。
途中、うるんだ部分もあった。
基本、不器用な人ばかりで、そこがまた面白いのかも。
独身中年の不器用だけど、軸があって、人思いな人とかが
描かれてたり
下請けと親会社
内の世界(ひきこもり)と外の世界
古いものと新しいもの
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「電車屋」という言葉がすべてを表しています。
そこに仕事に対する愛情と誇りがあります。
職種はなんであれ、要領よく生きることができない、黙々と誠実に仕事をこなす男達の話、といってもいいでしょう。
解説の岡崎武志さんは「男の美学」と書かれていて、なるほどそのとおりだと思いました。
いつもは隠れている裏方さんをこうした形で知ることができるのも小説の楽しみです。
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作者は元京急電鉄勤務ということで電車の保守作業を担う縁の下の力持ちである男たちを描いた小説。いつもニコニコして不思議に人を引き付ける保守作業下請会社社長の三郎、元電鉄マンで電車の保守なら何でも任せとけという徹底的に無口な赤城、そして他のわき役達と何とも味のあり、かつ電車が好きで好きでたまらない男の職場が舞台。文庫の表紙からテッチャン系の軽い話しと思いきや堂々たる大河小説とも評価される良い小説だ。赤城が出てくる度に「男は黙って」の高倉健を彷彿させる。
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VVVFが出たとき、新しい技術の躍進に心がはずんだものでした。でも、その波に廃車に追いやられていく車両もあり、台車の下で働く技術屋の、本当に鉄道を愛する思いが伝わりました。感動しました。
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企業の残酷な思惑に振り回されつつも、思い入れのある車両にただただ向き合う人達の姿は、とてもカッコいい。
ちょこちょこ出てくる人情エピソードが、ちょっと浅田次郎っぽい感じ。
「仕事のあり方を学べ」
自分の襟を正す良い機会にもなりました。
Posted by ブクログ
電車好きは読まないと。電車に興味の無い私でも楽しめるのは、登場人物の魅力に尽きる。赤城さんに会いたい!読んでる途中からそう思うし、読み終わっても気になる存在。他の登場人物も、嫌な奴だけど、実は憎めない奴だったり…と、ヒューマンドラマを見終えた気分になれた。