金沢泰子のレビュー一覧
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個性と多様性の本。
冒頭にウィリアム・オスラーの「病気について語ること、それは『千夜一夜物語』のようなものだ。」という言葉が載っている通り、(本人や周囲の人には辛いこともあるだろうけど)出来の良い短編を読んでいる様な驚きや発見がある。
身体の一部であったり神経や脳の機能が喪失したり過剰だったりで、こんなにも多様な症状が出ることに人間の身体の不安定さと同時に安定性も感じる。
そして、本当の意味で「感覚」の違う人との相互理解は出来ないからこそ、理解しようとする姿勢と一方の「感覚」での評価の意味のなさがわかる。
p. 91 私が診ていたある患者は、後頭葉への血管の塞栓のために、脳の視覚 -
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何度繰り返し、この本を、読んだ事でしょう。
人間の、精神に、興味がありました。自分が、精神の病を名付けられてからは、作者 オリバー・サックスの、変わった人々に対する温かいまなざしに、すがるような思いで、読みました。
訳者 高見幸郎氏が、あとがきで、こう書いています。
たしかにこれは、筆者の言うとおり、「奇妙」な話を集めたものである。脳神経になにか異常があるとき、奇妙な不思議な症状があらわれ、一般の想像をこえた動作や状態がおこる。ここに語られた二十四篇の話はいずれもそうした例といっていい。しかしわれわれが、これらをただ好奇の目でながめ、興味本位に読むのだったら、それはたいへんな誤りで、筆者の -
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脳神経科医オリヴァー・サックスによる、1985年発表の医学エッセイ。
サックス教授は、自らの患者の脳神経に起因する奇妙で不思議な症例を綴った多数のエッセイ集を発表しているが、本作品は、後に映画化された『レナードの朝』(1973年)に次ぐ代表作のひとつである。
本作品では、症例を大きく「喪失」、「過剰」、「移行」、「純真」の4つに分けて24篇が収められているが、「喪失」の部では、視覚、記憶、身体の認知、空間認知などの障害を示す症例が示した奇妙な現象、チックに伴う暴言、人の間違い、切断された足の幻影など、「過剰」の部では、てんかん発作などに伴う幻覚、夢など、「移行」の部では、知的障害や自閉症の高度 -
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この本に出てくる患者達のほとんどは病気に苦しみながら、完治する見込みがない。
悲しくなってくるが、病気をむしろ見方に付けている例も少し出てくる。
TVでこのような不思議な症状が紹介されているのを見て、生まれつきのものだと思っていたが、過度の飲酒、薬、事故、脳卒中、熱病などによるものが多く、誰にでも起こりうると知り、人間の脳は遺伝情報以上に神秘的に思えた。
しかし精神科医というのは何のために存在するのだろう。
症例を観察し、発表するだけ?
薬を打って一時的に緩和するだけ?
本書には患者の心に寄り添い心の声を聞く事が大事とあったが、それは医者でなくてもできると思う。
本書の中の考察を見ると、哲学 -
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妻を帽子と間違えた男 オリバーサックス
晶文社
オリバーは1933年に生まれた精神科医で
この本は記憶についての臨床的実例と
それに関する考察を書き綴ったモノである
記憶が部分的に消えてしまう症状
多くは事故による脳の障害らしいが
年齢と共に起こる疲労でもあるのだろうか?
老害の一つの症状でもあるらしい
誰でも大なり小なり忘れるということがあるけれど
それがまとまって起こるのが健忘症であり痴呆である
事故で起こるのは悲しいことだが
老衰で起こるのはそれなりに全体的な症状なのでさみしさはあるものの
大きなショックや狂気となることはない
自分に起こる健忘症もさることながら
知人が減り付き合いが遠の