金沢泰子のレビュー一覧

  • 妻を帽子とまちがえた男

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    個性と多様性の本。

    冒頭にウィリアム・オスラーの「病気について語ること、それは『千夜一夜物語』のようなものだ。」という言葉が載っている通り、(本人や周囲の人には辛いこともあるだろうけど)出来の良い短編を読んでいる様な驚きや発見がある。

    身体の一部であったり神経や脳の機能が喪失したり過剰だったりで、こんなにも多様な症状が出ることに人間の身体の不安定さと同時に安定性も感じる。

    そして、本当の意味で「感覚」の違う人との相互理解は出来ないからこそ、理解しようとする姿勢と一方の「感覚」での評価の意味のなさがわかる。




    p. 91 私が診ていたある患者は、後頭葉への血管の塞栓のために、脳の視覚

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    2022年08月14日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    人間をまず”普通の人間”たらしめている要素とは何なのか、また人間の本質について考えさせられる良著。
    この本はジャンルとして全くSFでもなく、量子力学でもないが、『酔歩する男』の血沼や小竹田のことを考えてしまう。

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    2022年07月24日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    何度繰り返し、この本を、読んだ事でしょう。
    人間の、精神に、興味がありました。自分が、精神の病を名付けられてからは、作者 オリバー・サックスの、変わった人々に対する温かいまなざしに、すがるような思いで、読みました。
     訳者 高見幸郎氏が、あとがきで、こう書いています。
     たしかにこれは、筆者の言うとおり、「奇妙」な話を集めたものである。脳神経になにか異常があるとき、奇妙な不思議な症状があらわれ、一般の想像をこえた動作や状態がおこる。ここに語られた二十四篇の話はいずれもそうした例といっていい。しかしわれわれが、これらをただ好奇の目でながめ、興味本位に読むのだったら、それはたいへんな誤りで、筆者の

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    2021年02月16日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    "ユニークな視点で、様々な症状を抱える患者たちを暖かいまなざしで見つめた本。
    脳への障害は、様々な症状を患者にもたらす。

    突然音楽が鳴りやまなくなったり
    自分の手足を自分のものと思えなくなったり
    即座に素数を答えることができる自閉症患者

    などなど
    人間という生き物、脳機能などの謎を浮き彫りにしてくれている。"

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    2018年11月24日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    脳は物語を紬ぎ、私達はそれを生きる。物語は無数にあり、それらはあくまで主観で語られるから、いつの時代も、どんなに科学が進んだとしても、他人の物語というのはあくまで抽象概念なのだ。だからこそ、魅惑的であり続ける。脳神経科医が彼の患者の症例を物語としてナラティブする、真摯で、そんな人の物語を愛する暖かい気持ちが詰まったエッセイ。

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    2013年10月24日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    自然を見ると心が落ち着く理由がわかった。人は自然に対しては自分を作ったり、着飾ったりする必要がないからだ。このことからわかるように自分を作ることがいかに自然に反したことであるかがわかる。精神障害者の物語からたくさんの大事なことを学ぶことができた。
    また、障害の中には必ずしも外見にあらわれるものばかりではなく、そのために我々は彼らを冷たく扱ってしまうことがあることが、あらためてわかりました。
    本書の精神障害は先天的であったり、事故や病気によるものを扱っていますが、その他に育ちによる障害の例は扱っていませんでした。

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    2012年02月12日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    脳に対して障害がある人の症例を集めたエッセイ集である。原書は1992年に発売されたモノであり、文庫になったのも2009年と割かし古いが、脳の機能について示唆を与える事象が数多く記されており、興味深い内容だった。

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    2025年11月23日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    脳神経科医のサックス博士が出会った奇妙でふしぎな症状を抱える患者たちのお話。

    特に印象的だったのは、双子の兄弟の話。彼らだけにわかるルールでコミュニケーションをする。その描写が双子だけの静かな世界をあらわしていて、引き込まれた。

    考えると、私たちは当然のように「言葉」を使ってコミュニケーションをするけれど、「言葉」にすることが苦手な人もいるし、「言葉」以外のコミュニケーションがあってもいいのでは、と思ったり。

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    2025年06月10日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    普通とは、健常者とは何なのか。
    幸福とは何なのか。
    子どもと一緒に暮らしている人にもおすすめ。

    チョムスキーと合わせて見ると一層考えさせられる。

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    2022年12月19日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    ずっと読みたいと思ってたけど、なかなかページをめくれなかった本。「書店員 波山個間子」さんの漫画に出てきてて、興味をそそられて、ようやく読み始めました。他の人の読み方や感想をきいて、ぐっと本との距離が縮まりました! そうでなかったら、また違った感想だったと思います。

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    2022年03月14日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    「レナードの朝」原作者による様々な神経性疾患の病例の記録。治すということではなく、どうその状態と折り合いをつけていくのかが大変興味深かった。平日は投薬、週末はあえて飲まずにエネルギッシュな演奏をするトゥレット症候群ドラマーの話が印象深い。

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    2021年05月18日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    専門的な言葉もあるが、知的障害を病的な見方ではなく、個性として捉えた作品。家族では難しい見方かもしれない、第三者だからこそ接し、その才能を発掘できるのかな。人間って、つくづく感覚=具体、現実の中で生きる生物なんだと思った。

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    2021年01月04日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    脳神経科医オリヴァー・サックスによる、1985年発表の医学エッセイ。
    サックス教授は、自らの患者の脳神経に起因する奇妙で不思議な症例を綴った多数のエッセイ集を発表しているが、本作品は、後に映画化された『レナードの朝』(1973年)に次ぐ代表作のひとつである。
    本作品では、症例を大きく「喪失」、「過剰」、「移行」、「純真」の4つに分けて24篇が収められているが、「喪失」の部では、視覚、記憶、身体の認知、空間認知などの障害を示す症例が示した奇妙な現象、チックに伴う暴言、人の間違い、切断された足の幻影など、「過剰」の部では、てんかん発作などに伴う幻覚、夢など、「移行」の部では、知的障害や自閉症の高度

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    2016年01月11日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    この本に出てくる患者達のほとんどは病気に苦しみながら、完治する見込みがない。
    悲しくなってくるが、病気をむしろ見方に付けている例も少し出てくる。
    TVでこのような不思議な症状が紹介されているのを見て、生まれつきのものだと思っていたが、過度の飲酒、薬、事故、脳卒中、熱病などによるものが多く、誰にでも起こりうると知り、人間の脳は遺伝情報以上に神秘的に思えた。

    しかし精神科医というのは何のために存在するのだろう。
    症例を観察し、発表するだけ?
    薬を打って一時的に緩和するだけ?
    本書には患者の心に寄り添い心の声を聞く事が大事とあったが、それは医者でなくてもできると思う。
    本書の中の考察を見ると、哲学

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    2014年10月25日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    小川洋子さんがすすめている本ということで、思わず買ってしまいました。医者のエッセイで、神経とか脳とかに障害のある不思議なものの見方になってまった患者さんがたくさん出てきます。現実にいる患者さんのことなのでなんというか、病院の待合室でどこどこのなんたらさんはこんな病気でさぁみたいなのりで読めます。あまり悲観的ではなくかといってがんばってる感じもなく、生きるってこんなことなのかもなぁと思える作品でした。この本に出てくる患者さんは自分が病気であることにきがついてなかったりするので余計に。

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    2013年10月04日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    症例集。特に惹かれたのが、双子のはなし。知能指数は低くてあまり人ともコミュニケートできない二人の遊びはお互いに8桁の素数を言って微笑みあうこと。あと何年前の何月何日って言うと曜日を教えてくれるという。でも算数とかできない。あと、マッチを111本落としたら、37と三回即座に言った。すごい演算装置。プラグインするなら素数ディテクターだね。他にも人間とは、意識とはなにか?とかについて考察したくなる話がたくさん。

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    2013年07月20日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    名作『レナードの朝』にて名をとどろかせた、オリヴァー・サックス医師によるノンフィクション。
    医師である彼の元にやってきた患者達の、『奇妙』な話が24話収録されている。

    脳内に病を抱えながらも、理性的に生きようとした女性が、
    幻の中でインドに帰っていく話(「インドへの道」)と、
    数学の世界に二人で生き、規則を持った数だけでお互いを理解し合う双子の話(「双子の兄弟」)が個人的に感慨深かった。

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    2013年05月14日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    頭に障害のある人たちの話。
    奇人変人の話としても読めるが、読んでいるうちに著者の優しい眼差しに感化されて、一人ひとりが自分と同じ人間だと思えてくる。
    困難への向き合い方、対処の仕方が人それぞれで、それが人の個性として感じられる。

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    2012年10月29日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    神経科の医師が出会ったさまざまな患者に関して、素人にもわかるように記載されている。
    神経の異常によるからだへの影響と、それを理解できないじぶん。

    喪失、過剰、移行、純真のカテゴリでエピソード(症例)と解説(後記)。
    視覚や嗅覚の変化、ひとがらの変化。具体性。コルサコフ症候群、トゥレット症候群。
    C0347

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    2016年09月26日
  • 妻を帽子とまちがえた男

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    妻を帽子と間違えた男 オリバーサックス
    晶文社
    オリバーは1933年に生まれた精神科医で
    この本は記憶についての臨床的実例と
    それに関する考察を書き綴ったモノである
    記憶が部分的に消えてしまう症状
    多くは事故による脳の障害らしいが
    年齢と共に起こる疲労でもあるのだろうか?
    老害の一つの症状でもあるらしい
    誰でも大なり小なり忘れるということがあるけれど
    それがまとまって起こるのが健忘症であり痴呆である
    事故で起こるのは悲しいことだが
    老衰で起こるのはそれなりに全体的な症状なのでさみしさはあるものの
    大きなショックや狂気となることはない
    自分に起こる健忘症もさることながら
    知人が減り付き合いが遠の

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    2025年11月09日