保苅瑞穂のレビュー一覧

  • プルースト 読書の喜び ──私の好きな名場面

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    本当に素晴らしい文章。ブルーストを愛し、深く理解しようと努めていけば、いずれこのような文章を書けるようになるのであれば、頑張って読んでみようかと思ってくる。

    だけど、正直な話、自分には保刈さんの文章は、プルーストの文章をとっくに凌駕しているようにさえ感じられる。美しい文章とはこういうものかと深く感じさせるものがある。

    このような文章を書く人は、日頃の会話ではどのような言葉を発するのだろうと考えたくなる。文章の中で用いられる素晴らしい語彙とその組み合わせは、日常会話の中でもするすると出てくるものなのだろうか?それとも案外日常の会話でつく割れる言葉は極めて平凡で、文章を紡ぎあげる際に、推敲に推

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    2025年04月13日
  • モンテーニュの書斎 『エセー』を読む

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    キーン、ツーン、グサッ。言葉、思想が様々な形で沁み、突き刺さる。エセー自体だけではなく作者の解釈も素晴らしい。良書。

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    2017年08月21日
  • ポール・ヴァレリーの遺言 わたしたちはどんな時代を生きているのか?

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    ネタバレ

    ヴァレリーの講演と自身のパリでの生活や男爵夫人の家での下宿生活、ワーズワースの水仙に出会い文学を志したことなど個人の経験を織り交ぜながら、深く広い知識を持って近代フランスの科学、文化と伝統、国民性の成り立ちと世界大戦による荒廃という試練、現代フランス、現代社会・文明が置かれている機械化と物質による支配について綴る。

    ヴォルテールが異端審問を糾弾し言論の自由、人権の意識が上流階級のみならず市民に萌し、革命の素地を育んだ。
    ヴァレリーの講演から、ヨーロッパの科学と知識による優位が20世紀になり失われてゆき大戦により深刻なダメージを受けたという。また現代文明により物質と機械により人が支配され追い立

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    2023年05月19日
  • モンテーニュ よく生き、よく死ぬために

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    『エセー』で知られるモンテーニュの生涯を、『エセー』に見られる記述を中心として描く。自己省察が『エセー』のテーマであるが、それを行うためにモンテーニュは様々な他者を持ち出す。それは人喰い人種であったり、当時の宗教戦争であったり、風景描写であったり…、だから、モンテーニュにおいて、自己を見つめることと世界に目を向けることは何ら矛盾していない。むしろ、世界を考察することが自己省察につながる。『エセー』をただの自己省察の文学だと考えていた者にとって、この指摘は非常に啓蒙的であった。

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    2016年04月07日