あらすじ
よく知られた“紅茶とマドレーヌ”やヴァントゥイユの小楽節との再会、海辺の乙女たち、祖母の死――。20世紀最高の小説『失われた時を求めて』から、著者が鍾愛してやまない場面を読み解き、この大作へ読者をいざなう。なぜプルーストはかくも多くの人々を魅了するのか。人間を見る際の認識が精細を極めていることはもとより、知覚対象がもつ生命の再創造を小説の言葉によって成し遂げたこと、それが読む者に精神の躍動、つまりは幸福感をもたらすからである。傑出したプルースト学者が、読書の愉悦をあますところなく伝える珠玉のエセー。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本当に素晴らしい文章。ブルーストを愛し、深く理解しようと努めていけば、いずれこのような文章を書けるようになるのであれば、頑張って読んでみようかと思ってくる。
だけど、正直な話、自分には保刈さんの文章は、プルーストの文章をとっくに凌駕しているようにさえ感じられる。美しい文章とはこういうものかと深く感じさせるものがある。
このような文章を書く人は、日頃の会話ではどのような言葉を発するのだろうと考えたくなる。文章の中で用いられる素晴らしい語彙とその組み合わせは、日常会話の中でもするすると出てくるものなのだろうか?それとも案外日常の会話でつく割れる言葉は極めて平凡で、文章を紡ぎあげる際に、推敲に推敲を重ねた結果として、初めてあのような美しい文章が立ち上がってくるのだろうか?