高橋康也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
19世紀イギリス、
数学者にして聖職者、童話作家でもあった
手紙魔ドジソンおじさんが
いたいけな乙女たちに書き送った、
愛と優しさとユーモアと、
ちょっぴりビターな毒を含んだラヴレター集。
但し、あのアリス・リデル宛ての手紙は無し。
至近距離で暮らし、頻繁に顔を合わせていたのだから
当然と言えば当然――と、あとがきにあり。
なるほど。
少女は必ず、いつか少女でなくなるが、
少しずつスライドさせるように相手を変えて
幾人もと交遊を持てば、長いスパンで眺めたとき、
理想的な少女の結晶と言うべきものを
叙述の空間に留め置くことが出来るに違いない、と
内気な作家は考えたのではあるまいか……
そんな訳 -
Posted by ブクログ
ネタバレ生涯に書いた手紙の総数は十万弱…
すごい!すごすぎる!!と思ったけど今の時代のラインや
メール好きな人ならこれぐらい書くかな?
キャロルのすごいところはこれらの手紙の詳細をすべて記録していたところ
手紙の内容は作品同様ユーモアにあふれている上に
最後の本名の前に書かれた一言がとてもしゃれている
「きみゆえに苦しむ」とか「遠くから君を愛する友」とか
「まちがいなく君を愛する」とか、こんなことばが書かれた手紙
人生に一度くらい欲しかったかも…と思ったけど少女時代に
年齢が離れた男性からもらうのは無理。きっと封を切らずにお返しするでしょう。 -
Posted by ブクログ
几帳面すぎるキャロルがナンバリングした十万近い手紙の中から、少女に宛てた手紙をさらに厳選した一冊です。とにかくユーモアに富んだその手紙の内容に、思わずくすりと笑みがこぼれます。小難しいことは考えずに、「少女を楽しませるためにだけに」書かれた数多の手紙を、私たちもまた楽しむのが吉でしょう。
一番いいなぁと思ったのはビアトリス・アールへの手紙。やさしかったビアトリスにこわくなってしまったキャロルの筆跡が、ふるふるとふるえている…! なんてかわいらしいのでしょう。あと、晩年の「ひどく老いさらばえた老人」のキャロルが書いた手紙の謙虚さ、温かさにも胸を衝くものがありました。
『ためになるのは「愛」で