川島良彰のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ読みたかった一冊
近著。
ブルーボトルコーヒ〜1号店が話題になっていたのは
最近のことなので、記憶にある方も多いでしょう。
アメリカでは、「何を今更日本人がさわぐのか?」と。
アメリカの映画やドラマでもご承知の通り、
コーヒーメーカーに、作られたコーヒーは保温のまま
何時間にも渡ってそのまま、、、が普通。
美味しいコーヒーとは程遠いのが普通でした。
日本では、コーヒー豆が不足し、原料がなかなか
輸入できない時代に、コーヒー好きの
専門店オーナーや焙煎家が、原料を選べない時代
創意工夫をして以下の美味しいコーヒーを提供するか?に
日本人らしい探究心で、海外のコーヒーを淹れる技術を
はるかに押し上げた時代がありました。
焙煎や、淹れ方で、コーヒーはうまさが変わるんだ
と豪語する時代でした。
だから、生産国のコーヒー豆は安ければ安いほどよく
輸入方法などに豆の良し悪しは関係ないという態度でした。
筆者は日本人で初めてコーヒー研究所で
生産から消費まで深い知識を得ました。
「コーヒーはフルーツ」と、川島は言います。
お茶やお米野菜と同じで
より良い製品を生みだすための工夫、
その商品を劣化しないように、輸送する技術。
そういったものに目が向けられていませんでした。
生産する場所一つでも、売れるからこの豆の種類というのではなく
その場所に一番あった良い豆が生産できる種類
生産方法の工夫、同じ農園一つでも陽の当たり方で
収穫時期をかえるなどなど。。。。
コンビニコーヒーが美味しいのは淹れたてだからです。
ホテルのコーヒーが美味しくないのは、
コーヒーをコストでしか見ていないから。
また日本でのコーヒー業の商売の仕方。
コーヒーメーカーを無料にし、長く取引する契約を結ぶ
という古くからの商売の仕方。
これでは、コーヒーメーカーの手入れなどしない
美味しくなるわけがありません。。。。
何も、最高級だけがコーヒーではありません。
低価格のコーヒー豆といえど、品質を守るために
できることをしてもキロあたりの費用は20円高くなるだけ。
美味しいコーヒーはこうしてつくられています。
あぁ、確かに、、、とうなづけることばかり。 -
Posted by ブクログ
ネタバレブルー・ボトル・コーヒーが日本上陸、などのニュースが出ていた頃この本のタイトルと触りを読み、興味があって今般手に取りました。
川島さんのお名前をよく知らず、西洋至上主義を批判するような内容なのかなと思っていましたが
コーヒーに対する愛情、現在の日本のコーヒー業界への疑念など
兎に角コーヒーへの愛情に溢れた本でした。
今までコーヒーに興味がなかったこともあり、
日本は世界第4位の消費量を誇るコーヒー大国だということを知りませんでした。
ミカフェートは知っていたので、プロフィールを見てなるほどと思いましたが、この本を読んで川島さんというのは
本当に凄まじい人だなと感服しました。
自分はコーヒーより紅茶派で、その理由は正に
飲めないほどまずいコーヒーはあるけれど飲めないほどまずい紅茶は無いから。
普段は勿論、お店に行ってもコーヒーを頼むことはありませんでした。
苦くて渋いもの、酸っぱいもの、砂糖やミルクを入れないと味がしないもの、まずいもの、そうしたイメージだったからです。
おわりに に書いてあった通り、この本のお蔭でコーヒーについて知ることができましたし、
自分は恐らく本当においしいコーヒーを飲んだことがないし、
是非とも飲んでみたいと思いました。
コーヒーの抽出の仕方をYoutubeを見て覚えたとか
売れさえすればいいから抽出器具のメーカーも正しいやり方を教えない
というエピソードは驚きでした。
商習慣で、豆の契約をしてくれたら器具を無料貸出というのが普通になっていて、納入される豆は会社任せというのも驚きでしたが
そんな状況ではこれまでコーヒー豆にこだわろうというお店が出てこなかったのも納得です。
抽出後20分以内でないと美味しくないという話は、
確かに以前某ドーナツ屋さんでバイトしていたとき、コーヒーは抽出して30分保温したら全て捨てて新しく入れ直していたことを思い出しました。
コーヒーはフルーツであるという感覚、確かに今までありませんでした。そう聞けば、鮮度や輸送、保管、パッキングの方法など全てが大切になってくること、容易に理解できました。
コーヒーといえば麻袋というイメージ、確かに持っていましたが、まさか軽くて安いから、というだけの理由とは。
焙煎は料理というのもなるほどと思いました。料理の技ももちろん大切ですが、普通なら素材も吟味するでしょう。
コーヒーの価格が飲食店の格で設定されていて、本当の意味では適性価格ではないのに
それが普通になってしまっているコーヒー業界にも消費者にも問題があったのだと思います。
ホテルやレストランで食後のコーヒーにがっかりしたこと、
確かにあるのですが、そんなものだと思っていましたし、
だから自分はコーヒーは好きではないのだと思ってもいました。
酸味と酸化は違うという言葉に、多分自分はそれを混同していただろうと思います。
欠点豆を取り除くだけで変わるというのは、以前別の本でも読んだことがあります。
知識がないと、袋で買ってきたらそのまま使えるものだと思いがちです。
安い豆を買ってまずいまま飲むか、たくさんの欠点豆を取り除くかと、高いけれど欠点豆が入っていない豆を買って飲むかでは
多分後者の方がいろんな意味でお得なのだと思います。
何品種も同じ畑で育てていては交雑してしまうし、
土地に合わない品種を無理に育てても良いものは育ちません。
知識がなくて「これが◯◯種の苗」と嘘をつかれても信じてしまうというのは
嘘をつく方がもちろん悪いのですが、知識が無いということの問題を感じます。
プロジェクトの話で、
おいしくないコーヒーを可哀想だから買ってあげるというのではなく
本当に美味しいコーヒーを育ててもらうというスタンス、とても尊敬できます。
MUJIcafeが賛同してその豆を使うというのも流石です。
流石と言えば、フレンチの料理長やジャンポールエヴァンが川島さんのコーヒーを認めるというのもすごいエピソード。
やはり本物の味が分かる人には分かるということなのでしょう。
ホテルニューオータニのグランシェフ、パティシエの中島さんが
自分が作ったスイーツを6種持ってきて、一緒に食べてから
合うコーヒーについて話し合うというのも素敵なエピソードでした。
JALのコーヒー開発のエピソードには感動しました。
みんなが本気で向き合ったからこそ、本物は完成するのですね。
それにしても、川島さんのやり方は他の業者のように
無償で機械を提供しないのは良いとしても
こうしてそれぞれのクライアントの為に開発やトレーニングまで
行ってしまうというのが凄いです。
品質の高いコーヒーだから売れると思うなよとコーヒー関係者に言われたとのことですが、
この本の中でもご本人が仰っているとおり
高いコーヒーを売ればいいというのではなくて、
包装の方法や輸送方法などケースバイケースで柔軟に対応し
案件に対してベストな方法、商品をプロデュースしているという
誠実さが実際に認められてきたのだと思います。
本来の美味しさを発揮できない環境、輸送方法、管理方法下の豆を
いくら焙煎や淹れ方に拘って淹れたところで
本来の美味しさにはならないでしょう。
これは根深い問題で、
消費者は「高いのに美味しくない」と思い豆の評価が下がり、
「高くてもおいしくないなら、安いもので十分だ」となって
業界全体の質が低下していくことになるのですが、
その深刻さを業界や消費者が把握していなかったように思います。
川島さんのやり方を最初に認めてくれたのはワイン愛好家、
次がシガー愛好家というのはなんだか面白いです。
逆に言えば、今まではそうした違いがわかる、こだわりがある
コーヒー愛好家が少なかったということなのでしょう。
ボトル詰めコーヒーについて、採算が取れなければ普通はやめてしまうものを、
川島さんは実現したというのがすごいです。
コストがかかるのも詰めにくいのも売る側の都合
そんなことでやめていたらコーヒーの価値を上げることはできない
というコメントも、川島さんの情熱がうかがい知れます。
生産者は自分たちの作った豆がどんなコーヒーになるのか知らない、
飲んだことがないというのは、意外なようでよく考えれば当たり前のことでしょう。
生産者に川島さんが作ったコーヒーを持参するという気遣い、なかなかできることではない気がします。
日本流を押し付けるのはもってのほか、他の産地と同じことをやってもだめ
その土地に古くから伝わってきたやり方や流儀を、尊重しつつ新しい技術を受け入れてもらう
やって見せて納得してもらう、
そうした地道で誠実な努力が実を結ぶのは、傍から見ていても気持ち良いことです。
コーヒーのピラミッドという言葉にあるように
ワインのように様々な場面でそれに見合ったコーヒーを選ぶというのは
多分ハレとケを意識してきた日本人としては本来一番しっくり来る
コーヒーの飲み方だと思います。
スペシャルティだけがコーヒーではないのだと、コーヒーの専門家が言うことに意味があると思いました。
今のコーヒー業界では、「こだわりのコーヒー」と謳っていても
そのこだわり時代が間違いだったり思い込みだったりすることもままあるのでしょう。
スタバやコンビニコーヒーを馬鹿にするのではなく
それぞれの良さを認めつつ、それとは別にハレの日のちょっと良いコーヒーを飲もうと思った時
それができる場所を提供してくださるというのは
実はとてもすごいことあり、ありがたいことです。
今まで価格しかコーヒーのものさしがなかったところに、
セブンカフェというものが新たなものさしとして登場しました。
消費者が美味しいコーヒーを意識し、様々なものさしを持つことで
コーヒーの世界がより活発になれば良いなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレコーヒーはフルーツ。酸味を味わうもの。
果実はコーヒーチェリーと呼ばれる。
現在のベンチマークのコンビニコーヒーの原価は12~13%。
コーヒー店のスペシャリティコーヒーも原価差は10円程度。
ホテルのコーヒーは1杯ごとに挽いて淹れていない。
それでいてコンビニの10倍の売価。
品質のための最低限のこだわり
1.単一品種栽培
2.完熟
3.精選
4.空輸または定温コンテナ(温度管理しない場合との差は20円/kg)(麻袋は軽くて安いだけの理由)
5.低湿定温管理
6.焙煎後の密閉保管
ブランドにあぐらをかいて品質を二の次にした結果、ブルーマウンテン、コナは神話が崩壊。 -
Posted by ブクログ
世界的な「コーヒーハンター」がコーヒーの最新事情を説く一冊。
著者の川島良彰氏はエルサルバドルの大学に留学し、エルサルバドル国立コーヒー研究所に入所。その後UCCに入社し、ジャマイカやインドネシアなどでコーヒー農園の開発を行った日本人です。
その川島良彰氏が、昨今話題になっているコンビニコーヒーを解説する。なぜ100円でおいしいコーヒーが提供できるのか。どうしてホテルのコーヒーは1000円もするのにコンビニコーヒーよりもおいしくないのか。おいしいコーヒーはどのようにして栽培され、私達消費者の手元に届くのか。そんな疑問に応える一冊となっています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者の川島氏は、コーヒー農事技師で、コーヒー農園の開発、生産国の栽培技術や栽培種、コーヒー豆の精選方法の調査、農薬の使用状況を調べる仕事をしている人。
この本は、著者が、高校卒業後、エルサルバドルの大学へ留学、エルサルバドル国立コーヒー研究所に移ってコーヒーの栽培を学び、その後、ジャマイカ、ハワイ、スマトラなどでのコーヒー園の開発を経て、絶滅したと言われていたコーヒーの希少品種ブルボン・ポワントゥを旧ブルボン島(現レユニオン島)で探し当ててよみがえらせるまでの手記である。
「コーヒーハンター」とは、最高級のコーヒー豆を目指し、失われた品種、”まだ誰もその価値を見出していないコーヒーを探して世界のコーヒー産地を巡る人のこと。
ブルボン・ポワントゥとは、旧ブルボン島で18世紀にアラビカ種ティピカから起きた突然変異種2種の一つ。著者はエルサルバドルでコーヒーの品種について学んでいるときに、ブルボン・ポワントゥがあまりにも生産性が低いため絶滅したこと、非常に香り高く素晴らしい品質だったことを知る。
よみがえったブルボン・ポワントゥは、日本で100グラム税込7,350円で発売される。何故この値段かはこの本を読むと分かる。価格設定の背景には、希少性、栽培の難しさ、工場製品ではなく農産物であるところからくる天候によるリスクなどがある。コーヒー豆の品質は正当に判断されねばならないという川島氏の考えがあるように思う。
どのワイナリーで作られたものかが評価されるワインのように、コーヒーも生産された農園で評価されるべきだ、普段飲みのワインとは別に特別の日のための高級ワインがあるように、コーヒーにもハレの日のためのコーヒーがあってもよいという考え方だ。
この本を読んでいると、良いコーヒーを目指す著者の情熱が伝わってくる。が、ただ闇雲に夢を追いかけるのではなく、調査に出かける前に徹底的に資料や文献を研究するというところ、また、生産国での持続可能なコーヒー栽培を目指しているところに好感が持てた。