愛新覚羅浩のレビュー一覧

  • 流転の王妃の昭和史

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    ネタバレ

    最後の皇帝溥儀の退位式や通化事件の現場の顛末などしれっと歴史的重大事件が出てくる。十数年ぶりに周恩来首相のはからいで中国に「帰国」した折に撮ったとある写真には老舎(満洲族)が写っている。
    ところどころ史実と異なる、恐らく思い違いや記憶違いだと思うこともちらほら散見されるが、当時の関東軍の狼藉や、関東軍→ソ連軍→国民党軍→共産党軍、と目まぐるしく権力者が易るたびに散々な目に遭わされる当時の様子などは読んでいて生々しく手に汗握る。遠藤誉女史の『卡子』が久々にもう一度読みたくなった。
    長女慧生さんの死については相手の男を大久保と書いているが、何故かWikipediaにはOと頭文字で伏せてある。その大

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    2023年01月28日
  • 流転の王妃の昭和史

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    民族を超え、そして関東軍の思惑が絡む政略結婚であるにもかかわらず、こんなにもお互いを思い合える夫婦になれたことを、あとがきで梯さんが「奇跡」と書いていて、まさにそうだと感じた。

    自伝というのは主観が色濃く出てしまうというデメリットがありつつ、歴史上の出来事に関する熱量のある記述を読むことができるのでやはり興味深い。
    敗戦後の日本への帰国、という同じ状況でも、山崎豊子の「大地の子」や藤原ていの「流れる星は生きている」と比べ、満州皇帝の弟と結婚している立場だと、多少扱いが異なるのだなと感じた。

    慧生さんが巻き込まれる事件のことは元々知っていたので、慧生さんが幼い頃どんな風に可愛がられていたかの

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    2022年08月24日
  • 流転の王妃の昭和史

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    関東軍、マジでクソすぎ....

    今日本の植民地運営を評価して「日本が植民地にしなかったら、この国はここまで進んでなかったよね!」というクソみたいな言説があるけど、ほんとに美化以外の何物でもない
    一番キツかったのは溥儀に神道を強制したとこ

    日本人と清朝皇弟妃のあいだで揺らぎ続けた人の体験は重い

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    2022年04月14日
  • 流転の王妃の昭和史

    購入済み

    一読の価値あり

    出版年やその頃の時代背景もあり、書けなかったこともあるのだろうなという前提で読むべき。
    当時、彼女は共産党支配下の中国で暮らしていたわけで、日本批判をしなければ、生きていけなかったのだと思う。そういった事情を顧みても、一読の価値はある。

    公家の旧華族出身ということで、文章の端々に鼻に付く表現もあるが、新華族の人々が書く様な下賤さは見られない。

    この当時の満州関係の証言本や自伝は、関東軍・満州国・日本国、この3者の視点が必要だと常々感じているが、その一翼を担う作品だと思う。
    嘘が書かれているとは言わないが、冒頭で述べた点に留意し、よく読むことで、価値のある作品となっている。

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    2020年12月25日
  • 流転の王妃の昭和史

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    世の中のことを大体知らない僕は、例によってこの愛新覚羅 浩さんのことも存じていなかったわけで、最初は正直「なにこの名前、ラノベのキャラ?」などと思っていたのですが、今となってはその数日前の自分をぶん殴ってやりたいですよ。

    政治の都合によってこんなドラマチックな生き方をせざるを得なかった方が、近世の日本にいたことを僕たちは忘れてはいけないのだと思います。どんな感じだったかというと説明が難しいので、詳しくはWikipediaとか見てください。

    まあそんな浩さんの波乱万丈な生き方は別としても、上流階級スゲーってなることが色々あったので、僕も貴族に生まれたかったです。

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    2013年04月16日