筒井ともみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
食とセックスにまつわる短編集。
食とセックスって、ものすごく関係性が深く思えるし、(壇蜜さんが解説で言っているように)相性が悪いとも言える。
でも、人間の三大欲求のうち記憶が残るのは食と性だけ。様々な場面で関係してくるのは当然かもしれない。
収載されている作品はいずれも食と性に関する短編だが、なぜだが生と死を連想するものが多い。男女の関係だけでなく、人間として欲望にどう向き合うのかを考えさせられた作品だ。と難しく書いてしまったかもしれないが、登場する女性たちの嗜好にニヤニヤしたり、驚かされたり、応援したり…、様々な楽しみ方ができる短編集だと思う。 -
Posted by ブクログ
短編小説なので時間がある時にサクッと読み進められて良かったです。
この本を読んでいて、
あ、意外と思い出と食って繋がっているんだなぁと思いました。そうすると、そこに恋や性も絡んでくるわけで…。
本の内容自体がものすご〜く面白いっていうわけではなかったのですが、人の人生を覗いた楽しさや、自分のことを思い出すきっかけにはなりました。
◎好きな話
・ピクニックの支度をしたが父がこなくて
泣きながら食べた母の話
▶︎そう、母も泣くんですよね。私も、母が泣いてる姿を見て、母も1人の人間なんだ、弱い時だってあるんだ、そう思いました。子どもの前では強くいようとしてくれるものの、母も1人の女性の人生を歩んでいる。かつて、そう気づいた時、自分はちょっと親離れしたというか、心が少し独立したような気持ちになりました。
・ラーメン↔︎ の話
▶︎自分的にラーメンってなんか元気な時に食べたいもので、エネルギッシュの象徴。彼とハシゴ酒して、一晩の…という流れになんだか若い頃を思い出して懐かしいような気持ちになりました(笑)
・函館のカフェの話
▶︎北海道の寒そうな白い景色と、カフェに入った時や彼との関わりで感じられる心身のぬくもりみたいなものが良かった。
・おはぎの話
▶︎物語の最後は、読みながら本当に春の夜の生ぬるい風を感じるようでした。すぐに次の話を読み始める切り替えができなくて、一度本を閉じて、しばらくその先を想像して余韻に浸ってました。
◎この本を読んでて思い出した自分の恋と食の思い出
・まだ恋愛経験が浅い頃は好きな人とご飯に行くと緊張して喉を通らず、全然食べられなくなりました。普段はよく食べるのに。可愛いかった時もあったなぁと思います(笑)
・自分勝手だった年上の元彼は、奢ってやった感を出してきて嫌だったなぁ。当時彼が社会人、私が大学生でした。私が社会人になってから同じお店に1人で行き、自分のお金で食べました。もうあの時のあなたの年齢に追いつきましたけど、そんな恩着せがましくしないのに!って、思いました(笑)
・その後何回か恋をして付き合ったり別れたり片思いのまま終わったりしましたが、失恋するたびに、たくさん泣いて、食事が喉を通らなくなったなぁ…。ある元彼に浮気されて別れた時は、人間不信になり本当に何も食べられなくなりましたが、母が作ってくれた海苔巻きと、父が買ってきてくれたケーキが美味しくて、当時なぜかそれだけは食べられて、今でも思い出します。
・流行りのマッチングアプリなどでも何人かお会いしましたが、酒ばかり飲みたがり(飲ませたがり)誠実なフリして誠実じゃない男。お金を持っていることをチラつかせたり、たくさんの優待チケットを見せてきたり、連れて行ってくれたご飯は美味しかったけど、金や物で釣ろうとしてるのが滑稽だった男。色々でした。
・その後、過去1番(?)の大恋愛だった元彼と別れ話の決着をつける日。私の家に来てもらったのですが、待ってる間、私は唐揚げを揚げました。今思うと、何で?って感じですが、本当に何ででしょう。待ってる間の手持ち無沙汰が辛かったのと、もしかしたら、ワンチャン美味しい手料理に後ろ髪引かれて考え直してくれるとでも思ったんでしょうね。彼は一つつまみ食いして「美味しい」と悲しそうに笑ったのに、話し合いの末、去っていきました。好き同士だったけど、働き盛りの自分達はお互いの仕事が忙しすぎて互いに負担になってしまい、気持ちとしては未練が残る別れだったのです。
しかし私は、閉まっていく玄関で大泣きしてから、割とすぐにキッチンに戻り、冷めた唐揚げを1人もりもり食べました。今までで1番辛い失恋だったのに、今までの失恋は毎回食べられなくなっていたのに、何故かいつも通り食べられて。強くなったのかな?何か自分の中の"気"が、これで良かったんだよ、強く生きろと背中を押してくれているような。そんな夜でした。
・↑の大失恋の後に出会った男性との初デートで、私の好物の食べ物が有名なお店に連れて行ってくれました。私は、実は来たことがあったのですが、初めてのフリをしました。もりもり食べる私を優しい目で見つめてくれて、不慣れな彼が一生懸命調べてくれた気持ちが嬉しかったので。結婚し、今でも何でも話せる相手ですが、このことだけは話していません。あの時は美味しいお店連れて行ってくれてありがとう〜って言ってます(笑)隠し事したくなくて本当のことを言いたくてウズウズしているけど、夫の"自分が調べた店で喜んでくれた"という体を保つことにします(笑)
そしてまさにこの本を読み終わる頃に突然「唐揚げ食べたい」と言われて、「今夜は唐揚げにしよう」と伝えると、いつもに増して飛んで帰ってきた夫。温かいままの唐揚げを、2人で一緒に食べた瞬間、幸せを感じたと共に、あの時泣きながら唐揚げを食べた私に、別れを選んで大正解だよ!と心の底から思いました。
・・・と振り返って、なんだかんだ恋の数だけ、その相手との食の思い出もあるのかも。なーんて思いました(笑)
今はもう新しい恋はしないけど、人生の節目、節目、辛い時、幸せな時、また違った形で食との思い出が増えて行くのだと思います。最近は人生最大の悲しい出来事があり、気分転換に本を読み耽っていますが、こうして1人カフェでコーヒーを飲みながら過ごす時間も思い出になるのかもなぁ。
-
Posted by ブクログ
個人旅行のコーディネイトを手がけていた集子(あつこ)が死んだ。数日後、旅行を依頼していた4人の女が彼女の部屋に集まる。彼女たちは、生前の集子が書き残した「最後の旅」のことを知って心を動かされる。集子は世界中を旅しながら「私のための樹」を探していたという。4人はキューバ、ポルトガル、南フランス、インドと、集子がそれぞれの旅の為に残した資料を受け取り、各々の生活に戻ってゆく。しかし集子の死、無くなってしまった旅、集子の最後の旅が、4人を新しい人生へと導いていく。
展開が少々無理矢理な感は否めないが、気付かされることが多い本だった。私は見知らぬ土地を歩くのが好きで、連休があればどこへ行こうか妄想ばかりしている。集子も旅行好きが高じて個人旅行のコーディネーターになったわけだが、この物語を読んで“旅”とは何かを改めて考えさせられた。
集子の死により彼女にコーディネートを依頼していた女性達の旅は無くなってしまう訳だが、集子が各々の為に用意していた旅へ思いをはせるうちに、女性達は今の自分、これからの自分と向き合い始める。一般的に“旅”というものは、どこか遠い土地へ出かけて、日常生活とは異なる体験をして、気分転換や新たな気付きを得るものであると思う。しかし遠い土地、言語の異なる国にまで出向かなければ旅の効用は得られないのだろうか。否、とこの物語は伝えている。偶然見つけたレストランへ入ってみる。いつも購入するようなエレガントな靴ではなく、歩くためのズックを買ってみる。日常生活から少しだけ外れて、いつもとは違う風景を見てみる―そこに今までの自分とは違う自分がいれば、その行為はすでに日常から離れた“旅”と言えるのではないか、と感じた。
私は旅に憧れ、「旅がしたい、どこかへ行きたい」とよく思っているが、いつも遠くを見てばかりだった。大切なのは距離や旅行にかけた金額ではなくて、旅の結果自分がどれだけ変われるか、である。その効果が得られさえすれば、自分が住む街であっても“旅”になり得る。そう思うと、日常生活のすぐ近くに楽しいことが隠れているような気がして、わくわくしてくる。“旅”のきっかけを探しながら日々を過ごすと、いつもの景色も少し違ってくるような気がした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人生、一寸先は闇のきらめき
色んな生き方がありますよね
それぞれの旅もあります。
4人の女と集子の生き方…
草太みたいな恋人がほしい!
美味しい料理と美味しいワインを選んでくれる恋人!
『小娘』と『ギャランティ』が気になってしょうがなかった
ケイが小娘みたいって自嘲するのはわかるけど
風が、風の年代の子が自分を小娘っていうかのな?
自分が若いのは当たり前で、
若くない自分は自分じゃないってくらいの年代だと思うけど
空っぽだって自覚してる風だったら、
余計に「若さ」はアイデンティティのひとつだと思うんだけどな
ケイの若さと風の若さについて対比があってもよかったのでは?
なんだか、風のパートはケイの視点から言ってるような印象
それこそ、空っぽ
ケイのところはとてもよかった!