吉川良三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最近著者の吉川さんの講演を聞く機会があり、この本を読んでみた。なぜサムソンの製品が世界で受け入れられるのか、なぜ日本の製品はダメなのか、それを理解するヒントがこの本にあると思う。
グローバル化とは、徹底的に世界のボリュームゾーンに使用を合わせること、そしてその土地にあったニーズを見出して安くカスタマイズすること。サムソンは社員を教育し直して、世界中に散らばった社員たちが判断するボトムアップの組織を作り上げたのだから強いのだ。
日本の製品のガラパゴス化は、経営者、技術者、消費者の傲慢の上にできている。誰に向けた製品なのか、もう一度見直さないと富裕層以外からは相手にされなくなってしまう。製造業にた -
Posted by ブクログ
吉川良三著「サムスンの決定はなぜ世界一早いのか」角川ONEテーマ21(2012)
*まず頭に入れておかなければならないのは、日本がいまだに生産拠点としてしかみていない新興国を「巨大市場」としてかんがえなければならないということ。そしてその市場はすでにそこを狙う世界中の企業によってリーグ戦ではなくトーナメント戦が繰り広げられているという事。
*現地、現材、現人のグローバル企業を目指しているのが韓国企業である。地域と人に密着したものづくりは非常に重要だが、日本企業の多くはまだその重要さには気がついていない。サムスンではR&Dも本社ではなく現地行うのが当然と考えられている。
*マクドナルドで -
Posted by ブクログ
日本のものづくりを「もの」=思い、考え方、アイデア。「つくり」=プロセス。とわけて考えた時、日本の製造業の多くは「つくり」によって市場を席巻した。しかしデジタルに移行したことで、製造方法の大展開がおき、熟練した技術が不要になったことが、現在日本の製造業が弱くなった原因と指摘している。
「経営者は孤独」、「他社がやるから」という横並び思想、設備の減価償却の税制がライフサイクルの現在にあっていない事、「考えたくないことは考えない」と言う雰囲気。を批判している。
TTP,FTAは今後の標準を決める役割を担っている。知らない所でルールが決まることは、現在のグローバル社会では大きなハンデだと言う話は、輸 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・グローバル市場ではまじめに良い製品を作るだけで戦略がない多くの日本企業がある。
・市場が求めている技術の領域はゆっくり上がるが実際の技術は一気に上がる。
・サムスンには記録の文化がなかったが記録の徹底を根付かせるために何でもかんでも書類に残すことが行われた。かつては、相互不信、集団利己主義、日和見、無責任といったことが普通だった。
・日本ではチームで仕事をしているが韓国は個人主義が強い。
・韓国では定期的な異動がないため、上司が替わったときに自分が損をしないように常に考えている人が多い。上司の異動の噂が出るととたんに仕事をしなくなり、その部門の動きが留まってしまうことがよくあった。
・サ -
Posted by ブクログ
『はじめに』
・日本の自動車産業は,すでに1990年代から市場の飽和で国内で稼ぐことが難しくなっていた.そこで国外輸出と生産拠点を海外に移す,いわゆる「グローバル化」で対応するようになった.
・成功は欧米など先進国の市場に限定されていました.新興国を含む,本当の意味でのグローバルな市場で成功している産業は,じつは「皆無である」というのがいまの日本のものづくりでの実態です.
・技術力が高いことを売りにしているはずの日本の製品が,「世界のどこの市場でももっとも選ばれているわけではない」という現実が浮かび上がってくる.
『プロローグ サムスンの躍進と日本企業の自信喪失』
・サムスン・グループ.売上 -
Posted by ブクログ
組織と人、プロセス、製品以上3つのイノベーションがサムスンを
どう変えたのか?を10年間サムスン電子常務として働き
内部で見てきた著者が書いた本。
読んだ直後、もっと本質を理解したいから読み返したいと
思う内容。
会社の社費留学制度でアメリカのサンダーバードでMBAを
取得した後輩にも貸したが、
日本のサラリーマンは全員読むべきですよ!と言って
すごいと感動していた。
個人的にはあとがきにあった、
「卵の殻を自ら割れば生命を持った鳥になるが、
他人が割れば目玉焼きにしかならない」
という韓国のことわざを見て、
自分はどっちだ?と考えてしまった。 -
Posted by ブクログ
サムスン成功の整理その2。
1.強いリーダーシップ。強い危機意識による変革。
2.戦略の明確化。成長市場である新興市場をターゲットとし、目標に合わせた戦略の策定。
(無いものは追わない、効率的・戦略的な順位付け)
3.日本企業は1,2ともに後手に回っている。危機意識と「変える」意志、
後追いではなく、それぞれが持つ能力を生かした戦略立案が必要。
・「3PI運動」=パーソナル・イノベーション、プロセス・イノベーション、
プロダクト・イノベーション
驕り、相互不信、個人や集団利己主義、権威主義や他律、日和見、無責任などの弊害の
改革のための3PI運動。当初は機能しなかったが、IMF -
Posted by ブクログ
し失敗学でお馴染みの畑村先生とサムソン成長の功労者でもある吉村先生の共同著書。
技術的に優れたよい物をつくれば売れる時代は、終わった。基礎技術を組み合わせ、顧客のニーズにあったものをつくることが大事と本著は、語っている。
Appleやサムソンのように既存の基礎技術の組み合わせで画期的な商品が作られる。
今の日本企業にそうしたものを生み出す土壌はあるが、問題がある。
日本企業は、組織の問題(意思決定に時間がかかる、決断しない経営者)、制度の問題(税制)、考え方の問題(技術のおごり)がある。
いかにこの問題をクリアして、顧客のニーズに迅速に答える商品、サービスを提供できるかが今後の日本企業の鍵。
-
Posted by ブクログ
サムスンのフランクフルト宣言以降の成功のポイントを書いた本.筆者はサムスンに籍を置き,CADシステムの構築を行ったそう.
的外れかなと思える箇所もあるが,個人的に参考になったのは以下のポイント.
■PDMの導入による開発スピードの向上
PDMの導入によりあらゆる職能で開発の進捗が共有でき,並行作業によるスピード化および手戻りロス削減に繋がるとのこと.自分の専門はSCMなので,あまり開発軸のITには詳しくないが,PDMは開発に閉じた狭いITというイメージがあったため,認識を改めるきっかけになった.
■お客様基点のマーケティングメソッド
お客様が望む価格,デザイン,機能,品質から積み上げて商品企画 -
Posted by ブクログ
つい先日も業績好調だというニュースがあった韓国のサムスン電子の強さの秘訣にせまった一冊。サムスンの強みについてはもう知っている情報がほとんどで、あんまり新鮮味はなかったけど、サムスンと比較した場合の日本企業の弱さについては色々と考えさせられた。
いちばん強烈だったのは「『慎重』といえば日本人の美徳として捉えられますが、言葉を換えればそれは、『意思決定が遅い』ということにほかなりません」(P153)という著者の言葉。すごいスピードで動いているグローバル経済の中では、日本人の美徳は大きな弱みになってしまうのかも知れない。
しかし、調和を重んじる日本人が慎重でなくなることはあり得るんだろうか。 -
Posted by ブクログ
相互不信、個人や集団利己主義、権威主義や他律、日和見、無責任といった弊害に対する改革は、意識革新、全プロセスの革新、革新的製品の創造の三つ。重要なのは、トップの細かいことまで口を出さない姿勢、ライバル企業の戦略に関する情報、プロセスの標準化、インターフェイスの規格の統一化、情報の一元化、広く見える化(セキュリティ確保のうえで)。開発プロセスは、全社、事業部、商品の三層構造とし、段階終了時にデザインレビューを行い、実行、見直し、取りやめを判断。部品表にないものは使ってはいけない。「開発」の早期宣伝によるブランド確立。品質は消費者が決める。