中平正彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
これまで、(2)が世に出て、ホッとし、テンションが上がった漫画は多い
その中でも、この『アカイケモノ』の(2)を書店で見つけた瞬間の嬉しさと言ったら、もう、言葉に出来んほどだった
もし、拳を突き上げていたら、喜びのパワーで天井どころか屋根までぶち抜けていただろう
まぁ、冗談はさておき、テンションが突破したのは事実
正直なとこ、諦めていた、(2)が出るのは。けど、出た
やっぱり、本当に良い漫画ってのは、見捨てられないものなんだろう。中平先生だけでなく、(2)を世に出せるよう尽力してくれた編集さんにもお礼を言いたい
ただ、漫画読みとして我儘を言わせてもらえりゃ、この『アカイケモノ』、YJに移籍してきてくれないかな。「となりのヤングジャンプ!」でもいい
「となりのヤングジャンプ!」はリアルタイムで読む気はないのだけど、YJに掲載陣が表記されるので、連載が続いているってことが把握できる
ぶっちゃけ、(3)が出るのか、って不安が増してしまった、皮肉なことに
気長に待てるつもりではいるが、可能なら、毎週、YJ本誌で読めりゃ言う事はない
『うらたろう』が最終回を迎えてしまい、実に寂しいっつーか、胸に穴が開いた感じがしてしまっている。才能の質が、中山先生に近い、中平先生なら、そこから吹いてくる、薄い灰色の風を弱めてくれそうな気がするのだ
わざわざ言う事でもないけど、このストーリーは、好き嫌いが別れそうだな
この重苦しい感じが、私は中平先生の持ち味だ、と好感が持てる
化物の個々のデザインも実にストライクだ。特撮モノが好きな人は、確実に昂ぶるだろう
その兇悪な外見の存在に変じようとも、己らしさを喪失しない、失ってたまるか、と必死に足掻く赤矢の、滑稽なまでに人間らしさに拘る姿は、感動すら覚える。戦い、刃向かい、抗い、奪い続けるたびに、その身に負う罪は増え、痛みが増していく。それでも、生きる事は諦めない。それこそが、人間だ
果たして、赤矢は、この狂った世界で、いつまで戦うのか。まぁ、答えは決まっている、無論、死ぬまで、だ
この台詞を引用に選んだのは、赤矢の強さだけでなく、脆さも垣間見えるからだ。死への恐怖に対し、竦みそうにながらも、敢然と立ち向かう、実に美しい -
Posted by ブクログ
素直に面白い、と言える作品
失礼な言い方なのは承知だが、『破壊魔定光』以降は、中平先生の作品を読んでいなかった、と言うより、目にしていなかったので、漫画家として筆をおいてしまったのか、と思っちゃいたのだが、この『アカイケモノ』を読む限り、『破壊魔定光』で私に感じさせてくれた、年齢も経験年数も関係ない、漫画家としてのギラギラは、まだ曇らず、むしろ、強まっているようだ
つくづく思うが、中平先生は、人から人じゃなくなった、人でいられなくなった存在を描くのが巧いな
描写こそ、残酷で過激なのだが、そこが却って、少年の心を捨てきれずに図体だけデカくなってしまった私みたいなタイプの漫画読みをワクワクさせてくれる。背徳感ってのは違うだろうが、血、痛み、そして、死こそがストーリーの深さに適度なコクを与える、それをこれまでの連載で掴んでいるんだろう、先生は
あの震災を経験しただけあって、と言ったら、やっぱり、これも失礼なんだろうけど、人間じゃどうしようもないほど、圧倒的な力で破壊された街が変わり果てて生じたガレキの描き方が、それを見た事がある人間だからこそ描ける、と思わせるリアリティがある
自分はこんな辛い思いをしました、って読み手の同情を誘うような事を漫画に籠めるのでなく、自分の経験を自分の描きたい漫画を創るパーツの一つに昇華しよう、と足掻けるのも、やはり、経験ゆえなんだろう
人を怪物に変貌させる黒い壁は何なのか、何故、出現したのか、どうやったら壊せるのか
デザインがグッと来る怪物は、人の破壊衝動を具現化しているのか、それとも、異なる次元から来た「何か」が人間の体を核にして、その姿を再現しているのか
失敗を二度もした事で、罪を己が見に刻んだ赤矢は怪物を狩り続ける中でも、異常な力と共存し、人らしい心を失わないでいられるのか
赤矢のようなイレギュラーの怪物は、これから登場するのか。それとも、赤矢だけが異分子でしかないのか
そして、救世主を拒む高野さんとの関係はどうなるのか
(1)だってのに、気になり、明かされるのが待ち遠しい事が多すぎである
どれも、アクションシーンや感情の描写がしっかりしていて読み応えがあるが、個人的に、やはり、掴みとしてバッチリな第1話は推しておきたい
この台詞を引用に選んだのは、ズシンと心に響いてきたから。全ての作品に共通するって訳じゃないが、本当にイイ作品ってのは、退場が早い脇役が読み手の共感を得る名言を口にするもんだ。歪んだ勇気は人を無謀に走らせるが、正しい勇気は人に激しい冷静さを与えてくれる