ポール・ヴァレリーのレビュー一覧

  • 精神の危機 他15篇
    「風立ちぬ、いざ生きめやも」により詩人として再注目を浴びているだろうヴァレリーだが、彼の主意はその言葉に対する洞察力やそれを操る能力、即ち知性にある。WW1後に執筆または講演された内容を集めたこの評論集で、ヴァレリーはこれまでヨーロッパこそ世界そのものであったが今は世界の一部となってしまった事実を指...続きを読む
  • 精神の危機 他15篇
     ポール・ヴァレリーの文章はなんとなく読みにくくて、細部で感心する部分はあっても、全体のメッセージが理解しにくいという印象があった。しかしこの本はとても面白かった。
     おおむね第一次大戦後あたりに書かれた文章なのだが、ヨーロッパ「近代」に凄まじい動揺が走った時代であり、社会の価値が急速に変貌していく...続きを読む
  • 精神の危機 他15篇
    二つの大戦をはさんだ20世紀の前半、激動といってよいヨーロッパにおける「知の巨人」による思索。そこに現れてくる諸相は、100年後の我々の問題意識と驚くほどつながりがある。一言で言ってしまえば近代化、今風に言い換えればグローバリゼーションなる暴力に対し、危機にさらされる精神について、その絶望的な現実と...続きを読む
  • ヴァレリー・セレクション 上
    エロスを求めて    -2005.12.18記

    所有するとは、もうそのことは考えないこと。
    反対に、喪失するとは、心のなかで無限に所有することである。
    恋愛感情は所有すると弱まり、喪失したり剥奪されると発展する。
    他人をあるがままの姿で愛することのできる人はいない。
    人は変わることを要求する、なぜ...続きを読む
  • 精神の危機 他15篇
     ハムレットはつぶやく。「そして私は、ヨーロッパの知性であるこの私は、どうなるのか・・・・・・。そして平和とは何か。平和とは、恐らく、人間に自然な人間相互間の争いが、戦争がするように破壊によって翻訳される代わりに、創造によってあらわされるような状態をいうのであろう。創造的競争、生産能闘争の時だ。しか...続きを読む
  • 精神の危機 他15篇


    岩波文庫

    ポール ヴァレリー 「 精神の危機 」精神に関する論文や講演録


    表題「精神の危機」は ヨーロッパの精神が アメリカやアジアに移転することにより、先に 大国化したヨーロッパが 相対的に 衰退することを危惧した論文。

    表題の精神の意味は、技術開発や植民地政策により先に大国化したヨー...続きを読む
  • 精神の危機 他15篇
    ヴァレリーによる文明論的な論考集。要するに急速に近代化されていく社会に警鐘を鳴らしてるわけだけど、1世紀近くも前の著作とは思えないほど現代に通じる。近代化を駆動するのはグローバル化、新興国の成長、科学技術の発展で、この論点整理もそこから見えてくる問題点も驚くほど現代的。もちろん100年前と今とでは個...続きを読む