原久一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
30数年ぶりの再読です。
物語の最後は、あやふやな記憶と違ってはいたが、印象深い本であることには変わない。当時友人と感想を語ったと記憶する。
放蕩息子のユリウスは、欲望・野心を満たし成功もするが、どこか満たされない。パンフィリウスの生きるキリスト教の世界に、何度となく惹かれるが、思い切ることができない。
時は流れて現代も、ユリウスのような人はたくさんいる。満たされない思い・悩みも変わらずある。
社会の進歩は目を見張るものがあるが、人の心は・
・・更に複雑になっているのか・・・再読後の感想です。
『ローマほど淫蕩(いんとう)と罪悪とに沈湎(ちんめん)している都会のないことは、これまた万人周 -
Posted by ブクログ
率直な感想としては私はキリスト教徒にはなれないだろうなということだった。
というかパンフィリウスや晩年20年のユリウスの生活の具体的なところが何も書かれていないのがずるいなと思った。
世俗的な生活を送っていたころのユリウスの苦悩や葛藤が詳細に追われているのに、パンフィリウスがあまりに霧に隠れていて、そりゃこれだけならパンフィリウスの生活のほうが素晴らしく見えるわと。
パンフィリウスの人生における苦悩や葛藤がキリスト教の思想によってどのように乗り越えられるのかが知りたい。
トルストイが理想を外から眺めている状態=トルストイはパンフィリウスの仲間達の一員ではないんだろうなという気がした。
なん -
Posted by ブクログ
西暦1世紀のローマ、富裕な家庭に生まれた青年が主人公。
放蕩の結果、金銭的困窮や家族・友人との関係崩壊を招き、生き方を見直す青年。
その彼に、キリスト教徒となった親友が信仰の道を勧め、一方で、旅で行き会った男性が世俗的な個人としての責任を説く。
原始キリスト教時代を舞台に、私欲から解放され、他者愛と労働に生きる、
トルストイが到達した新しいキリスト教世界観が描かれている。
語り部分が多くそれぞれが長いが、特に読みづらくなった。
構成が分かりやすく、二つの思想が彼の中でせめぎあう様子が、躍動的に描かれている。
後半では帰結を予見される片鱗があるものの、いずれの論理にも重みが持たされており、