徳冨蘆花のレビュー一覧

  • 不如帰

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    ネタバレ

    明治を生きる夫婦の悲哀。時代に翻弄された男女の切なく悲しき物語。映画化すると、こんな感じのキャッチコピーになるだろうか。プロットを辿るとそんな感じだ。確かに読んでて涙溢れた。浪さんが自殺しようとするあたりとか小川さんの語りとか。
    深い考察は解説を読んでなるほど、と思った。あんなに深い読解力があれば楽しいだろうな。。

    もうおんななんぞにうまれはしない。。。
    この作品で最も有名な浪子の臨終間際のセリフ。
    自分の不幸が女に生まれてしまったことに起因することを嘆いての言葉。
    明治時代、お家の慣習が根強い男性中心の文化。
    浪子と離縁を薦める母に対して、武男が逆の立場(武男が結核)で向こうから離縁されて

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    2022年12月04日
  • 不如帰

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    浪子さんと同じ歳の時に読んでほろりと涙が出た。蘆花自身が言うように王道かつドラマチックだが、だからこそ後世に残る作品となったと思う。

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    2021年08月23日
  • 不如帰

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    儚い生命が病に手折られる哀しさ、二人の仲が引き裂かれる運命の残酷さ。悲運に悲運が重なる浪子が哀れ。

    いわゆるお涙頂戴もので、全体的にひたすら浪子が可哀想なのですが、論理的な矛盾を指摘したりするのでなく(だって武雄にも情熱の足りなさを感じるし家制度も腹が立つし、何もここまで浪子に辛苦をなめさせなくてもと思う)、絶望に出会った人物達の心の動きや表現を鑑賞するべきです。
    万一この後もし武雄が再婚してもいいんだよ!だって今のこの愛はまぎれもない本物で最高潮だったのだから。

    手紙に「玉章とる手おそしとくりかえしくりかえしくりかえし拝し上げ」る浪子。さびしく微笑し妹の為に派手な着物を選ぶ浪子。

    愛の

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    2016年06月05日
  • 不如帰

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    悲恋の代名詞というか、昼ドラ的ドロドロ感。
    世間体・お家柄重視で結婚に厳しいうえ、戦争まで起こってしまうという時代の波に、不幸にも飲みこまれてしまった悲劇な夫婦のお話。
    文語体で書かれてるのに見事に感情移入してしまう。

    脇役の方は皆様キャラが濃いです。
    そこもまた昼ドラ的。

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    2013年01月16日
  • 不如帰

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    擬古文(文語)のため、古文が全然読めない人には現代語訳版を強くオススメします。

    浪子の人生悲しすぎる。
    当時結核が治らなかったのは知ってるが、そのせいで本人達が望まぬところで離縁(離婚)するというのは驚いた。
    実際あったのかな?

    個人的には、最後浪子と武男が今生の別れをしてほしかった。

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    2024年11月08日
  • 不如帰

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     1900(明治33)年刊。
     明治期の日本文学の名作としてよく知られた作品ながら、地の文が文語調であるために私は敬遠してこれまで読まなかったようだ。
     本作について、たぶん日本的な微妙な情緒のたゆたう芸術性の高いもの、と勝手に予想していたのだが、どうもそのニュアンスとは異なり、むしろ尾崎紅葉に近い、骨太なストーリー性の強い、ドラマチックな物語であった。
     文章はもちろん今風のものと比べれば、文語体なだけに格調は高いようだが、さほど「芸術的」とも思えなかった。当時の読者にとっては平易な文章だったのではないか。完了の助動詞「つ」がやたら出てくるのが気になった。ただの過去形で良さそうなのだが・・・

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    2022年11月20日
  • 不如帰

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    大学の講義のために購入。
    実は最近、初めて恋をして、失恋しちゃったんですよね。そんなセンチメンタルな私が浪子と武男の夫婦生活を見ててると、自由な恋愛を求めることができないことに心苦しさを感じましたね。
    「不如帰」の時代は明治。新たな文化が欧米から入ってくる。それは思想も同じ。自由に恋愛して結婚できることなんて新しい価値観だった。当時は結婚は本人同士だけで決められるものじゃなかった。離婚もそう。こうした新しい価値観と古くからある日本の価値観とのズレが2人の仲を引き裂いてしまった。そして、女性の地位が低かった当時だからこそ最期の浪子の叫びは多くの女性の心を掴んだのではないだろうか。愛に飢えていた浪

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    2019年08月06日
  • 不如帰

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    ネタバレ

    徳富蘆花―不如帰
    学校で習うような小説なんて、説教くさいのかと思いきや、これ、完全に昼ドラマです。

    夫婦仲は、当時としてはびっくりするほどよい。
    ところが、彼ら二人の周囲には敵がたくさんいるのです。

    意地悪なお姑さん、冷たい義理の母ーこれが浪子サイド。
    育ててもらった恩も忘れて逆恨みする従兄弟、娘可愛さに浪子と別れさせようと画策する出入りの商人山木ーこれが武男サイド。
    従兄弟と山木はあくどい商売で繋がってもいる。
    そして、従兄弟の千々岩は浪子に横恋慕してるのざます。

    浪子の父は心から浪子のことを慈しんでいるけれども、しょせん父親。
    しかも戦時中の軍人。
    肝心な時にはいない。
    それは武男も

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    2017年04月28日
  • 不如帰

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    『金色夜叉』よりも読みやすかった  

    「家を守る」ということを重んじる  
    今の感覚ではあまりピンとこないけれど、当時の読者はどうだったのでしょう  
    姑のあまりに強引なやりかたに憤りつつも、矢張り仕方がないと思い、引き裂かれた浪子・武男夫婦の不幸に涙したのでしょうか  
    当時、女性、それも家における子を持たない嫁の立場がどれほど低いものだったのかということ  

    いろいろなタイプの女性が出てきて面白かった  

    個人的には千々石が凄く好きだったんですけれど  
    子供時代の不幸な境遇という点では、彼も浪子に劣らずな感じなんですが  
    解りやすい悪人に書かれてたけれど、彼にも同情の余地はある、

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    2013年06月23日
  • 不如帰

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    5/31
    家族制度と夫婦の愛の戦い。
    として両家が断絶するありきたりの結末かと思いきや、ラストシーンは結構よかった。

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    2010年05月31日
  • 不如帰

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    ネタバレ

    片岡中将の娘、浪子は10歳で実母に死に別れ継母のもと辛抱と忍耐の日を送る。川島武男という好青年と縁付き伊香保で蕨摘みを楽しむ。幸せも束の間結核を患い、逗子で療養する。
    戦地に赴き留守がちな夫。義母と武男に横恋慕した山木豊を娘に持つ山木の策略で離縁されてしまう。
    父の深い愛や信心深い婦人の助けの甲斐もなく、失意のうちに儚い生を終えるのであった。

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    2022年12月19日
  • 不如帰

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    ●幸にして純粋な愛情を分かち合った武男と浪子。武男の母親や従兄弟らが勝手に膨らました嫉妬や私利私欲が、時の家族制度と世間体、仕事や戦争などに乗っかり、二人の間は意思とは反対に引き裂かれてしまう。武男は結核を理由に浪子との離縁を推し進めた母親に異議を唱えるも、その行動自体は、親と仕事への忠義を、妻への愛より優先させたことになる。外界なる家・親・仕事と、個人の意思とのパワーバランスが、この小説ではテーマの一つなのだろう。時代は令和となり、明治より多少は個人を優先できる世の中になってきているようだが、まだまだ滅私他者優先が盤石な時代であることは否めない。否、意思を主張する自由と術とは別もので、相変わ

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    2020年07月01日
  • 不如帰

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     嫁姑・結核・戦争・父系社会・その他旧弊など、古い価値観や理不尽な環境で引き離される悲恋譚。かなりの胸糞展開と聞いていたため、感情移入し過ぎるのが怖くて一歩引いた視点で読んでしまったので、少し後悔している。

     新聞連載の開始は1898年、これは現行法である民法が定められた時期(1~3編:1896年、4・5編:1898年)と重なる。明治維新に伴うハード・ソフト両面の西洋化に伴い、新旧の価値観が激突する時代だったことが想像できる。この小説の中でも、今では考えにくいような価値観が随所にみられる。そもそも物語の根幹部分である、結核になった嫁さんを家に帰すとか、姑の執拗ないびりであるとか(これは不幸な

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    2019年03月04日
  • 不如帰

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    伊香保温泉への旅行のときに読みました。
    文語体でも思ったより読みやすかったです。姑の気持ちもわからなくないな、と思います。漱石のこどもが泣いたという映画も見てみたくなりました。

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    2015年09月16日
  • 不如帰

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     典型的なメロドラマです。結核が不治の病だったころの話です。出来すぎてるくらいだけど、戦争による出兵と病気のはかない女性と泣く泣く別れるというシチュエーションは泣かせます。思わぬところで偶然再会する場面は、臭いけど、なんだか心に残る。

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    2011年07月27日
  • 不如帰

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    今から百年前の日本(明治31・32年)で新聞に連載されて

    大反響を呼んだ作品。

    当時の家族中心社会に揺れ動く 2人の純愛を描いてます。

    はかない。

    文章表現は 俳句のようにリズミカルに進むので

    寸劇を間近で楽しませてもらってるような軽快さ。

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    2009年10月04日
  • 不如帰

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     別に取り立てて面白い筋でもないけど、浪子に感情移入できさえすれば結構面白いのかも。千々岩とか、脇の人物をもっと生かせていたらより面白くなったろうになぁ。

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    2009年10月30日
  • 不如帰

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    文体が少し読みにくいけど、今読んでも十分面白かったです。
    現代だったら、親と絶縁しているだろう仕打ちに耐え続けている2人を見ると当時、家や孝養の精神がいかに生活に根付いていたかを感じます。
    「もう婦人なんぞには生まれはしませんよ。」と言った浪子の時代から見て、果たして現代は女性にとって生きやすい時代になったのだろうか?大分自由にはなったけど一長一短な気もするし、考えさせられます。

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    2009年10月07日
  • 不如帰

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    最後、電車の行き帰りで一息に読みました。ほろほろ泣きましたよ。涙腺弱くなっているのかなぁ。こういうお涙頂戴なメロドラマは好き。内容に『文学』的要素は薄いですが、当時の帝国主義時代の日本と日本の家族と、大衆の好みをそこはかと匂わせています。資料としても面白いのでは。

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    2009年10月04日
  • 不如帰

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    「お坊ちゃん小説」とは著者の言です。百花繚乱の近代小説時代から見れば確かにそうでしょう。しかし、この小説は、つい数十年前までの恋愛感を語る上で決して避けて通れなかった問題―家の存続と愛する妻、どちらを取るか―を含んでいます。近代日本を振り返る上での小さな敷石。ここから純愛ブームの原点も見えて来るかもしれません。

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    2009年10月04日