押川春浪のレビュー一覧

  • 押川春浪集 ――明治探偵冒険小説集3

    Posted by ブクログ

    【銀山王】
    『紅海の波と印度洋の波とが合する処に、亜典(アデン)と云う綺麗な港がある。洋々たる亜典湾の波を隔てて遥に阿弗利加(アフリカ)大陸に対し、ここは橄欖(かんらん)の花咲く亜剌比亜(アラビア)の南浜(なんぴん)ではあるが…』
    …というなかなか豪奢な描写で始まる一品。

    この美しいアデンの港町で繰り広げられる三角関係。
    イギリス人令嬢の浪島楓(なみしま かえで)嬢と婚約同然にあった日本人貴族の羽衣(はごろも)男爵を銀山王の一人娘有州緑(ありす みどり)姫が奪い取っていた。
    絶望の底にあった楓嬢は、全財産を叔父の黒蛸(くろだこ)紳士に譲り渡して一人町を出る。
    そんな楓嬢の貢献を申し出たのは、

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    2019年05月17日
  • 海底軍艦(1)

    購入済み

    一世紀前の作品とは思えない

    一世紀以上前の日本のSF小説の嚆矢とも言える作品である。冒険少年小説とも言える。ジュール・ヴェルヌを例に出すまでもなく、SFは現実に先行し現実の方向性を示唆することが多いが、本作品の潜水艦もその例にもれない。今読んでも一世紀前の作品とは思えないところが多々ある。

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    2023年09月03日