家永真幸のレビュー一覧
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第二次大戦後の台湾について簡潔かつ丁寧に論じた本。台湾の独立は人民共和国からの独立でなく中華民国からの独立である、という話は耳にしていたが、あらためて台湾と中華民国の関係の難しさが分かる。
そして、独立派と日本の関係の難しさも、日本の外交姿勢の難しさと相まって、読んでいても大変。
先日台湾に行ったときに人権博物館は覗いてきたが、そこに至る過程はあらためて勉強したい。あわせて、ワールドマスターズゲームの開催が近付いていることも宣伝されていたが、確かに台湾がこれを実施するというのは歴史的なことだな。
一回読んだだけでは、人名の入って来づらさもあってなかなか厳しい。台湾行きの飛行機内あたりで再読しよ -
Posted by ブクログ
中国との「距離感」によって時代ごとに大きく揺れ動いてきた「台湾のアイデンティティ」の来歴を解きほぐす。
バランスの取れた筆致で、台湾の人々のアイデンティティの模索をめぐる複雑な歴史的背景について理解が深まった。特に、国民党一党支配下の政治的抑圧、人権侵害については、これまであまり知らなかったことであり、その苛烈さに驚愕した。また、入管行政における台湾出身者の強制送還といった形で、日本もその人権侵害に加担していた側面があったということも衝撃だった。
個人的に、台湾には何度も訪れたことがあり、親近感を持っているが、単に台湾の人々は親日的と捉えるのではなく、このような複雑な台湾の歴史的背景も理解し、 -
Posted by ブクログ
カワイイと人気のある動物にパンダがいる。
中国はパンダを外交にうまく利用している。
パンダを「発見」したのは19世紀半ばだった。
1869年3月にフランスの宣教師、ダヴィッド神父が動物収集に訪れた際、見つけた。
その後、パンダに対する欧米の関心が高まっていったが、肝心の中国は関心がなかったようだ。
それが変わったのは、蔣介石率いる中国国民党政権がパンダの重要性に気づいてからだ。
1939年1月にシカゴに渡ったパンダ「メイライ」を最後に、自由に外国に持ち出せなくなった。
日本との戦争で、中国政府はパンダを最大限利用して、米国民の中国寄りにす