楫西光速のレビュー一覧

  • 日本残酷物語 1

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    難破船を糧としている海辺の人びとがいたことは、現在ではほとんど語られなくなっている。
     福山のそばで日本住血吸虫による被害があったことは現在では場所が特定されないように書かれている。
     からゆくさん、についても書かれているが、これは他書のほうがより詳しい。
     1959年版は、活字が細くて薄く、厚いのが欠点である。

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    2021年08月01日
  • 日本残酷物語 1

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    宮本常一の民俗史作品を読んでから、庶民の文化史に関する本を読んでみようと思って探してたら行き当たったのがこのシリーズ。あとがきが大月隆寛、昔、ナンシー関と「クレア」で対談の連載をしていた民俗学者だ。
    本作は、シリーズのまとめ的な作品集。だから、いろんな時代、階層、職種にまたがった包括的な「圧制と生活苦にあえぐ庶民」の姿を描いている。
    日本の民衆の、なんと貧しいこと・・・貧しいのは普通のことだったのだが、その貧しさもいろいろなのだが、食うためにはそのとき、その場で必要なことはなんでもやる、生き延びるために耐え忍んだという表現がふさわしい。ときには強奪、子殺し、堕胎、捨て子、口減らしのための売り子

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    2012年11月08日
  • 日本残酷物語 2

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    島に生きる人々、というのが一番印象深い。壱岐対馬の部分だけでも読む価値がある。山の騒動では、一揆が資料をもとにして説明している。50ページもあるが、本書の趣旨からは外れているような感じがした。
     文字は大きいのだが、活字が古く、紙が黄色いので、読むのに意外と時間がかかる。

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    2022年06月30日
  • 日本残酷物語 1

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    ネタバレ


    道ばたに倒れ伏すものは数かぎりなく、はじめのうちこそ死体を埋めていたが、まもなくだれ一人としてかえりみるものはなくなった。いたるところに犬やカラスがむらがって、死体を食いちらす光景がながめられた。

    この飢饉のときといえども人間が家畜に近かったのではなく、家畜が人間に近かったのである。

    飢えの記録 より


     明治十二年九月十三日埼玉県北足立郡中尾村の農民はコレラ流行防衛のために、県が避病院に患者を隔離しようとしたのに対し、村民は患者の生肝をとるのだと誤解しこれを妨害した。

    新潟県西蒲原郡では消毒薬をまくのを毒薬を撒布すると誤解して暴動を起こしている。

    そこには、無知の暗黒と、じぶんた

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    2021年08月28日
  • 日本残酷物語 2

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    「忘れられた土地」という副題のとおり、離島、山間部、北海道開拓地の人々の明治から終戦直後の苦労を聞き取ってまとめた話。書かれたのは昭和35年。
    北海道のクマ、蚊、霜、冷害の話は壮絶。

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    2019年11月23日
  • 日本残酷物語 4

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    ほんの少し前の日本の姿。
    気が滅入るような記述が続くが、一昔前、恵まれた環境にあった人もいただろうが、保証なき社会の中で貧困にあえぎ、死んでいった人も膨大な数に上るのでしょう。
    搾取するものもいれば、されるものもあり。いじめるものもあれば、いじめられるものもあり。そして誰もが等しく貧しくて、生きて行くのがようやくの土地もあったわけです。
    もっと学ぼうと思いました。

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    2016年07月03日
  • 日本残酷物語 3

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    漂流して無人島にたどり着き、20年もの年月をそこで過ごした人々の話には驚嘆。
    キリシタン弾圧、身分制度、勤王と朝敵。どこを読んでも、表題にある「残酷」が重くのしかかってくる内容でした。

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    2016年03月19日
  • 日本残酷物語 2

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    忘れられた土地。
    島に生きる人々と、山にうずもれた世界と、北辺の土地。

    島にしても、山にしても、北辺の土地にしても、よくもまあそのような場所で生きてきたのだと驚くような描写が続きます。
    山に関しては、私の先祖の話も出てきて、興味深く拝読。
    知ってはいたけれど、やはり先祖は里に暮らす人々からすれば得体の知れぬ、疎ましい存在だったようです。

    昭和も終わり、平成も27年。
    本書に書かれていることは、外国のことであるかのように、描写されていることを頭に描くことが難しい。

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    2015年11月01日
  • 日本残酷物語 1

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    以前から気になりつつ、ようやく読めました。

    日本、というものが、分かるようで分からない。
    この本を読めば、一端でも掴めるかと思ったけれど、余計に混乱してしまったかもしれない。
    読み終わったばかりで、頭の中で処理されるのに時間がかかりそうです。

    ただ、読む価値はある。と、自信を持って言える一冊でもありました。

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    2015年09月15日
  • 日本残酷物語 1

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    「逝きし世の面影」へのカウンターとして。
    炭鉱と女衒、後半のこの二つが印象深い。前者は人を人とも思わない労働環境に逞しく生きる女性が、後者はこれまでとは逆に人を使う側のある意味立志伝的な面白さがあった。
    読むのに時間がかかりすぎたが、その分考えることも多く得るものもあった。

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    2015年01月08日
  • 日本残酷物語 1

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    「昔の日本は牧歌的で良い時代だった」「最近の世の中はイヤな事件が増えている」という考えの対極にある事実・歴史を口承で記述している。

    初版は1959年に刊行された。宮本常一、山本周五郎などの複数の執筆者が、日本全国の市井の辛苦に満ちた人生をヒアリングした記述。

    各地方の方言で語られる、窮民、殺戮、略奪、乞食、堕胎、鉱山で働く女性、遊女、女衒、飢饉などに関するストーリーは迫力がある。

    とりわけ、盲目の馬喰の一代記「土佐檮原の乞食」、山梨の上野原の「おせいばあさんの話」、明治時代のシンガポールを本拠地に活動していた「女衒 村岡伊平治伝」は面白い。

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    2014年08月07日
  • 日本残酷物語 1

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    気が滅入って読むのが辛い本でしたが、決して遠くない日本の現実物語でした。忘れてはいけないと思います。

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    2013年08月06日
  • 日本残酷物語 1

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    日本は昭和の高度成長期が訪れるまでは、ほとんどのときが貧しかったのだ。それゆえ、数々の悲劇が産まれていた。天災や飢饉や流行病があれば、多くの人々は自殺か狂うか仏に縋るしかなかったのだろう。そんななかでも、強く悲しく生きた女性たちがいた。どんなに虐げられても、騙されても生き延びた。そのような話が「はたらく女たち」「遊女」「天草女」の段に鮮明に記されている。現代社会は経済的にはある程度豊かになったが、その反面、人や社会の絆がどんどん弱くなっている。これからどのような社会が待ち受けているのだろうか。

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    2011年08月17日