橋本忍のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
黒澤明監督作品で橋本忍が脚本に関わったものでは、
『生きる』『七人の侍』『蜘蛛巣城』『隠し砦の三悪人』『悪い奴ほどよく眠る』を
橋本忍が脚本に関わっていない黒澤作品は
『野良犬』『天国と地獄』『用心棒』、
黒澤作品ではない橋本忍脚本は
『砂の器』『八甲田山』
を見たことがあります。
その中では、『悪い奴ほどよく眠る』と『天国と地獄』が好きで、
黒澤映画の現代劇が好きなのかなーと思ってました。
製作年をはっきり把握しておらず、『生きる』は後期のものと思い込んでおりました。
どうやってあの名作映画の脚本を作り上げているのか興味がありましたが、
想像しないものでした。そもそも脚本作りについて全く -
Posted by ブクログ
ネタバレ稀代の脚本家、橋本忍が日本映画界の巨匠、黒澤明との葛藤を描く。
以下、まずは気になるところをつらつらと。
・黒澤明は閃きを掴む。
・脚本の善し悪しは誰もが手をぬきがちになる人物の彫り。黒澤明の脚本つくりの最大の特徴は手抜きしてはならないものは徹底的に手を抜かない。
・脚本直しは三流監督。
・黒澤明は芸術家へと変貌していった。
この本はいわば橋本忍が黒澤明との間に感じた自伝的書である。
作中に黒澤明が自伝はどんなものでも面白いと語っているが、全くその通りである。
人にはそれぞれの人生があり、ドラマがある。
それが面白くないはずはない。
感動する。
巨匠として日本映画界に君臨し続けるイメー -
Posted by ブクログ
ネタバレ黒澤明作品を見る中で、脚本への強烈なこだわりを知った。
脚本を書く、というか脚本家を巻き込んでホンを生もうとすること、さらにその手法を確立しようとすることが映画製作の一部であった、と。
それを脚本家の側から書いたのが、この本。
「ライター先行形」、「いきなり決定稿」なるほどなるほど。
ネットで知っただけの「侍の一日」という未完作についても。
で、面白いのはこの本の文体で、なかなかこってり味なのだ。
なんでも1918年生2018年没の作者が、2006年に発表したもの。
つまり80代後半。
日記の習慣がないという人なのに、あの時あの場面で誰がどうしたかを明確に描いている。
つまり多分盛ってる。
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Posted by ブクログ
トップレベルの脚本家や映画監督の視点を垣間見れる作品だ。本書は黒澤明監督と共同で多くの名作を世に送り出した脚本家の橋本忍氏が書いた本だ。
「複眼」というキーワードに惹かれて本書を手に取った。複眼についての説明が現れるのは以下の部分。
「黒沢組の共同脚本とは、同一シーンを複数の人間がそれぞれの眼(複眼)で書き、それらを編集し、混声合唱の脚本を作り上げるーそれが黒沢作品の最大の特質なのである」
想像していた「複眼の映像」ではなかったが、たしかに素晴らしい作品をつくるためには有効な手法だと思った。プロフェッショナルが集まって、分担して作品を作るのではなく、一つの箇所を同時にかつ別々に書いてみて、もっ