小笠原啓のレビュー一覧
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本としてはよくまとまっていると思う。
この頃の日経ビジネスはまだ取材力と編集力が高かったと思う。
東芝の粉飾は会社体質を考えるといずれ起こっていた事と感じる。ウエスチングハウスの件が時期を早めただけと。
慢性的に不正が続くのは、日本の人材の流動性が低いうえと感じる。会社に言われたことを不正と分かっても断れない。
日本企業の国際競争力が一気に落ちたのは、日本の企業人は世界の事情が分からないのと、政治がこのころからゴミクズレベルで日本の競争力向上に何も寄与できてないってことだろう。中国からしたらこの時期に東芝だけでなくシャープ、サンヨー等いろいろバーゲンブライスで買えてお買い得だったろう。それが -
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ネタバレ始めに甘く見てると後々痛い目にあうというお話。痛い目に合うのが組織の下層のほうがひどくなるというのが私のような庶民が読むとなんとも切ない気持ちになってしまいます。
まったく経営上層部の判断の甘さ、間違いは何に由来しているのでしょうね。事業部ごとの弱みを見せれない権力闘争の綱引きだったのか、みんなで空気を読んでしまったのか。そのあたりも知りたいです。
「チャレンジ」自体は最初はただのストレッチゴールだったんだと思います。それがどこから「仏作って魂入れず」なのか、「親の心子知らず」なのか形骸化というか変質してしまったんですね。
人減らしのリストラは怖いですね。リストラされた人もそうですが、リストラ -
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ジャーナリストによる、東芝粉飾決算について暴いた本。情報源は定かではないが、部内へのアンケート、取材、内部告発などによって明らかになったデータを基に、時系列に状況を追っている。調査報告書等の公表文書のみならず、首脳陣の間で取り交わされたメールまで載せて、事実の裏づけとしているなど、かなり周到な調査の基、くわしい分析が行われている。東芝の粉飾について、あるいは経営体質について、かなり理解できた。学術的に全般を纏める部分があってもよかったと思う。
「(土光敏夫)一般社員は、これまでより3倍頭を使え、重役は10倍働く、私はそれ以上に働く」p98 -
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たぶん、私は東芝の組織にいたら、上司の指示で不正に手を染めていたと思います。
この本には、当事者達の生々しい会話やメールが載っていますが、
まぁ、こういうメールとか書くだろうなって思います。
罵倒雑言なんて、ちょっと昔なら、当たり前にありました。
組織の命令や上司の命令に背くことは、日本の企業文化では、当たり前ですが、タブーです。
仮に論理的整合性をしっかり持っていたとしてもです。
均一性が非常に高い組織や社会で、そのようなことをやったら、
すぐに居場所がなくなります。
専門知識を持たない、新卒の学生が、大企業に入り、生き残っていく道は、
組織にドップリ染まり、その組織の文化を受け入れ(否 -
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2006年のウエスチングハウス買収は、ニュースでも大きく取り上げられていたためよく覚えている。当時は地球温暖化抑制のために原発推進がかなりイケイケの状況だったように思うので、この時点での経営判断は買収金額以外(これはニュースでも叩かれていたように記憶している)は間違ってはいなかったと思う。しかし、東日本大震災以降は合理的な判断に欠けていたとしか思えない。確かに巨額を注ぎ込んだ事業であるため特別であることは仕方がないが、それが粉飾する理由には全くならない。東芝以前にも同様の粉飾で危機となった企業があった。それを東芝旧経営陣はどのように見ていたのであろうか。企業コンプライアンス以前の問題として東芝
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メーカー勤務者として興味があり、大学の同級生も何名か就職しているので興味を持ち購入。
やはり三菱重工の倍近い値段でウエスチングハウスを買ってしまったことが、不正会計への引金となったのか。それとも
もともと東芝には、社内カンパニーに事業撤退をちらつかせ「チャレンジ」目標の達成を強要、グループ内の隅々にまで蔓延するパワハラ地獄の素地となるような文化があったのか、よくわからない。
確実に言えることは日本の会社においてトップの不正を防ぐことは難しいということだろう。(社外取締役や委員会等設置会社なぞ屁の役にも立たないということ)
最近同級生が東芝の本社の部長になったと新聞で知ったが、この本を読んで -
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速読。
東芝の内情について不正会計の話を中心に進めた本。歴代社長と会長が不正会計を支持し、チンピラヤクザ顔負けのパワハラで部下や取引業者を追い込む始末。ヤクザのフロント企業やブラック宗教法人もビックリのクソっぷりである。
名門大学出身者がトップにいる名門企業でこんな始末なのだから人間とはなんとも愚かな生物である。世の中から悪行がなくなるはずがない。
名門という羊の皮を被った狼、いや狼にも失礼なほどの犯罪者集団が自身の犯行を認めずに今もぬくぬくと同じ企業で給料という名目で市民から金を盗んでいるような畜生どもが東芝である。
ただこれは東芝に限った話ではない。ライブドアの時もそうであった。果たして自 -
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カネボウが粉飾する際によく使っていた言葉の一つが、低稼働。不良在庫を子会社に押し付けながら都合よく回遊させる資産計上による循環取引。これに似たような企業内タームとして、東芝では、チャレンジという言葉を用いていた。到底無理な目標に対し、パワハラさながらに達成を迫り、いつしか不正を黙認を孕むワードと化した。粉飾せよ、とか不正しなさい、なんていう直截な物言いはあり得ないのだから、言葉は糊塗され、用いられるようになる。戦時中の全滅を玉砕に言い換えていたムードにも近い。しかし、不正を行うか否かに関わらず、仲間内には独特の言い回しがあるのであり、企業にも独特の言い回しというのがあるのは常である。この点に関
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日本を代表する不沈艦さえも数人の失策で容易く迷走し沈んでいく。次から次に暴かれる不正(不適切ではない)やお手盛りの第三者員会には不愉快を通り越して飽きれるばかりだ。
トップの不徳は語るべくもないが本書を読むと現場社員に罪がないわけではない。度々「チャレンジ」が取り上げられているが、高い目標を置き施策を考えるのはIT業界では定石である。仮にこの本がGoogle本なら礼賛された手法でさえあったかもしれない。東芝社員はこれを圧力でありパワハラであると受け止めながらも試行錯誤を会計上のテクニックで乗り切っている。上層部はそれを検証もせずに良しとする。著書は当然ながらトップの腐敗を糾弾し社員は被害者と