安藤宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
近代日本小説の歴史をこれ以上なくコンパクトかつ鮮明にまとめた良書。日本の近代文学史に興味のある人なら、まず1冊目にこの本を選んで間違いということはないはず。
類書を読み比べたわけではないので比較はできないが、相当に読みやすくかつ面白い本だった。
小説の引用も豊富で、この類の概説書にありがちな退屈さは皆無といえる。ただ唯一の懸念としては、文学研究者らしく難しい語彙がしばしば出てくるので、気になる人は気になるかも。
内容面では、まず大正文壇の成立までは文句なく面白かった。
教科書や国語便覧で名前だけ知っていた文豪の系譜や問題意識が体系的に描かれていて、各時代の文学に見出せる大きな潮流や対立構 -
Posted by ブクログ
明治以降の近代小説の歴史を、コンパクトにまとめた概説書。元が放送大学の1,2年生中心の教養科目向けの教科書だけあって、分かりやすく小説史の流れが整理されていて素晴らしいですね。とりあえずコレ読めばバッチリって感じ。
注意としては、詩歌俳句と児童文学系は含まれてないので、そこらへんの文学史はまた別の本を探して勉強しないとダメですね。
今回、新装版刊行にあたって巻末に追加された、「近代日本文学」の成り立ち がこれまた良い。「文壇」の形成の経緯がわかりやすく纏められてて、我々が派閥的に理解している「文壇地図」がどういう要請によって形作られたものなのかが分かりやすく整理されてます。 -
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Posted by ブクログ
大学入試改革で「論理国語」と「文学国語」を分けていることから、文学は論理的ではないと国や経済界は思っているのではないかと感じる。
しかし、文学(小説)を解するためには徹底的に論理的に読む必要があり、文学に論理性がないとは到底いえない。また論理国語とされる試験問題からは、文章の意味は一義的に定まるという考えが読み取れるが、そもそも人間の用いる「ことば」というものは複雑で、文脈や時代の情勢を織り込まないことには意味が正確に取れず、また受け手側のスタンスによっても意味の取り方が変化しうる。
そのため、文学を取り出して囲い込むことは幾重にも間違った政策判断であるように思える。
以上が本書を読んだ感想で -
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Posted by ブクログ
恥ずかしながら太宰作品初読み。この本は児童書なのでルビもふってあるし、難しい表現や現在ではあまり使われないような言葉の解説が下段に乗っていて非常に解り易い太宰初心者でもとっつきやすい本でした。短編集が8編、読むまでは太宰と聞くと固いイメージだったのですがかなり砕けた表現で、ジャンルも様々。全体的に思ったのは言葉遣いなどは約80年前なので仕方ないが表現方法は普通に面白く読みやすく、それと創造性というよりは自分の経験を面白可笑しく創作した感じを受けました。短編なので長編はまた違った感じなのかもしれませんが。
初読みと言ったら語弊があるかもしれません、少し前に太宰版昔話の「お伽草紙」を軽く読んだ覚 -