小野寺時夫のレビュー一覧
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私もかねてからガンで死にたいと思っていたので読むのを楽しみにしてました。
第1章はがんについて知らないことが多くて読み応えがあったが、徐々に科学的な記述が減り、著者の印象や思いが多くなります。
しかし、私が日頃から思っていたこと(在宅ケアのこと以外)が言語化されており、終末時の取り扱いについて書面を残すときの参考になりそうでした。
家では死にたくないと思っているが、その可能性もあるだろうから、そこは向き合って知っていかないといけないと思った。
初期の肺がんの手術は成功したのに、合併症の間質性肺炎で69歳で退院後あっという間に亡くなった父、
甲状腺のガンで2019年に(おそらく)「広範囲郭清」 -
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たくさんのがん患者さんから学び、家族をがんで失い、自身もがんになった著者しか書けない事実がたくさん書かれていた。
日本の医療技術も医療機関のホスピタリティも、世界の中では優れたものだと勝手に思っていたけど、まだまだ至らない分野があるんだな。
日本人の死生観は未熟だと思い知らされた。
私の父もがんを患い、亡くなった。
がんとわかってからは元気なうちに身辺整理をして、それなりに行きたいところに行って、会いたい人に会って、紆余曲折はあったけど、最期は家族みんなに囲まれて自宅で息を引きとった。
本人はどう思ったか知らないけど、ピンピンコロリ(=突然死)よりも、幸せな死に方だったと思う。
私も、 -
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本書は2012年に出版された本の復刊。久坂部羊氏の序文、著者のご息女のあとがきが追加されている。
内容は目次の各章のタイトルの通りで、自分の認識と違和感はない。
あとがきによれば、2019年にがんで亡くなった著者は、この本に記したようには死ぬことができず、手術は行い、ホスピスには入らなかったが、抗がん剤治療は受けず、ぎりぎりまで自宅で過ごしたとのこと。
2012年当時と比べ、現在どの程度著者の主張しているような医療に近づいているのか、自分に引き寄せて考えるとそのあたりを知りたいと思う。
【目次】
序文 久坂部羊
はじめに
第1章 高度進行がんになったら、手術は受けません
第2章 抗がん剤治療 -
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在宅か入院か
1️⃣抗がん剤はほぼ効かない。効果を発揮するのは数十人に1人。
2️⃣数十人に1人、としか書けないのは、ガン患者が全て登録され、術後の生存率や抗がん剤の効果などがすぐ検証できるアメリカに対し日本にはそのような仕組みがないので医師の個人的な経験と勘に頼った抗がん剤治療が行われているため。
3️⃣特に終末期に抗がん剤治療を行うと患者の気力体力を削ぐ。
4️⃣治らないと確定し、医師と患者がこれ以上治療はしない、と意思確認できればあとはホスピスで痛み対策のみしながら最後の時間を有意義に過ごした方が良い。
5️⃣ならば在宅で看取りを、と考えたくなるが、肺がんなど呼吸器に癌がある場合の呼吸 -
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ネタバレポックリ死(心筋梗塞、くも膜下出血)は、発症時の痛みがひどい。
老衰死はそこに至るまでが苦しい。
がんであれば、死ぬまでに時間があって、痛みさえコントロールできれば心置きなく死を迎えられる。
がんになっても、手術は受けず、抗癌剤治療を受けず、ホスピスに入院する。
日本のがん治療は手術至上主義。
湿潤性のがんは常にがん細胞が流れ出ている。転移するのは当然。
手術するより、緩和ケアのほうが長生きする可能性がある。
がん手術に名医はいない。再発はがんの性質や進行度で決まる。
抗癌剤は、白血病、睾丸がんなど一部。
ホスピスで亡くなるのはがん死の5%程度。在宅ホスピスも選択肢。
モルヒネは天の恵み。
が -
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多くの医師ががんで死にたいと考えるというのはよく耳にしてきたが、人生の後始末をして死んでいけると言う意味では私も事故死や突然死よりはがんの方がいいかな。
本書は2012年に書かれた本の新装版ということで、がんの免疫療法等などは今は少し進んで一部保険適用もされているようだけど、高度進行がんに対して筆者の提唱することには概ね賛成だし、自分がもしがんに罹ったとしても、無闇に手術や抗がん剤治療で貴重な時間を無駄にしたくないと思った。
そして、一番大事なのは適切な疼痛管理で、これがホスピス以外の病院でも行われてほしいし、本人が望むなら薬による鎮静も躊躇することなく踏み込んでほしい。
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ある程度以上、進行したがんには、延命治療よりも苦痛緩和のはるかに重要。にもかかわらず、医師はひたすら無益で害の多い治療を続け、患者はその効果に期待しながら苦しみ、自分の命、自分の死と向き合うこともできないまま亡くなっていくことが多い。これが日本のがん治療の実態。がんの放置療法については、既に近藤先生が多数の著作物を残しているが、小野寺氏の説は、近藤氏の尖った部分をほどよく丸めた感じ。その分、安心して読める。例えば、初期がんについては、それが命とりになるのかどうかについて区別はできず、早期の発見に対しては、切除や放射線治療を施した方が安全としている。百害あって一利なしの過剰な手術。意外に効かない