國分俊史のレビュー一覧
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日本政府、そして日本企業で働く私たちにとっても、2020年に出版された本の中でも最も重要な1冊なのではないか。
経済ツールを活用して地政学的国益を追求する手段とされるエコノミックステイトクラフト、そして株価や為替操作による経済活動の混乱、国内法の国際展開、政府首脳陣のスキャンダルによる信頼の失墜、身の回りの製品を武器に変えさせる戦争行為を志向する「超限戦」という非軍事の戦争行動コンセプトによって、今後想定される戦争形態が根本的に別のものとなっている今、安全保障の形も変化を余儀なくされている。
そうしたグローバルな安全保障環境の変化、そして今後起こりうる市場環境の変化に対して、ルール形成やそ -
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この本を読み始めて、大前提として「米中冷戦は2018年から始まっている」という認識に変わった。どこまで自分はお花畑な頭をしていたのか。。
以下学び
・安全保障における考え方の原則は「国防は経済に優先する」。合理で動く企業にとっては売上減など不利に働くことも多いが、かつての軍(国政)→民というテクノロジーの流れが逆転している中では、法規制の成立に先んじてルール作りに踏み出す必要がある。
・米国としては最低でも20年間というスパンで中国との覇権争いに突入したとの認識。ビジネスにおける時間軸とはズレがある。
・中国の一帯一路政策の根幹、AIIBに代表されるようにインフラを抑えることは国際関係・地政 -
Posted by ブクログ
ー 今までは解決不可能だった問題にも手が届くようになったわけだ。ルールのない世界やこれまでのルールが通用しない世界がどんどんと広がっているのだ。この新しい世界においては、ルールのある世界でのエキスパートである私たちの美徳は逆機能し、「持ち場・立場症候群」に転化してしまう。今までの習慣は裏を返せば、自分の目の前の課題以外には向き合わないということでもあるからだ。それゆえ、既存の枠組みでは本来は解けない問題も、自分の目の前の課題に疑小化してしまう。そんな緩小化のスキルが得意な、「課題矮小化先進国」になってしまったのだ。
その好例が、企業にとっての金科玉条でもある「お客様志向」だ。お客に寄り添い何 -
Posted by ブクログ
長年、製造業の競争戦略において、”標準化/デファクト化"は、競争優位をもたらす一つの類型として語られてきたが、より広範なルールメイキングが企業の活動にもたらすインパクトや、業績に与えるアウトカム、その組織体制の有り方などについてまとめられた一冊。
私自身は通信業界に従事していた人間として、通信政策におけるルールメイキングのメカニズムは理解しているつもりである。その中で、外資系のIT企業(Microsoft、Google、Qualcommなど)の活動の幅の広さや人材の層の厚さは、日本企業のそれとは比較にならなということを痛感する場面が多い。ルールに従うことが当たり前なのではなく、自発