091209 by東女ms.terumi 高価 結論だけでも
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「援助はなぜ、貧しい国の人々を幸せにすることに失敗し続けてきたのか?」
ここに2種類の「貧困の悲劇」がある。
1つ目は、貧困が人々を苦しめているという悲劇。
2つ目は、莫大な援助をつぎ込みながらも、それでも貧困はなくなっていな
...続きを読むいという悲劇。
いったいどのようにしたら、貧しい国の人たちを幸せにすることができるのか。
援助を増やせばいいのか、援助のやり方を変えないと駄目なのか。
本書は、善意にあふれた先進国からの援助のうち、たった数パーセントしか本当に必要な人に届いておらず、これまで経済成長に成功してきた国は、援助をそれほど受け入れてはいない国である、という現実をまず冷静に分析する。そのうえで、本当に有効な援助とは何か、どんな援助のやり方が、本当にそれを欲している人々のもとに届けることができるのかについて、これまでの援助のやり方とは異なる援助を提案する、いわば、論争の書である。
経済発展とは自助努力であり、援助はそれを側面支援する、という意味で、著者は援助は必要だと考えている。だが、先進社会にいる官僚が「貧困を一挙に解消する」などというビッグプランを立ててもうまくいかないと主張する。そうではなく、本当に援助を必要としている人々の近くにいて、常に彼らの声を聞き、需要を探し出し、うまくいくやり方を見つけ出すのに長けている人たち、そう、まさにマーケット・リサーチャーのような人たちこそが、マラリア汚染地域に住む子どもたちにマラリアによる死亡を半減させる1つ数セントの薬を、確実に届けることができるのだ。
2つ目の悲劇がなくなれば、私たち先進国の援助は、確実に、第1の悲劇をも救うことができるだろう。
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スナップショット アマレッチ一〇歳 3
第1章「プランナー(Planners)」対「サーチャー(Searchers)」 5
スナップショット ガーナ今昔 40
第1部 なぜプランナーによる援助は発展をもたらさないのか 45
第2章 ビッグ・プッシュの伝説 47
スナップショット 十代の医療補助者 69
スナップショット グラミン銀行の秘密の歴史 70
第3章 市場はプランニングできない 75
スナップショット 貧困に対するシェル財団のビジネス的アプローチ 128
スナップショット ビジネスを行う上での改善 130
第4章プランナーと悪漢
スナップショット フェラ・クティ 184
スナップショット ニューヨーク大学教授レナード・ウォンチコン 185
第2部「白人の責務」を行動に移す 189
第5章富者に市場あり、貧者に官僚あり 191
スナップショット 民間企業がインドの貧しい人々を助ける 238
第6章貧しい人々を救う 241
スナップショット 簡易水道 269
第7章癒しの人――勝利と悲劇 271
スナップショット 予防をめざす売春婦 301
第3部白人の軍隊 305
第8章植民地主義からポストモダン帝国主義へ 307
スナップショット ガーナのスワスモワ大学 351
スナップショット キングスフィールド教授、インドへ行く 352
第9章貧しい人々の社会に干渉する 357
スナップショット 貧しい人々に向き合う化学者 388
第4部 未来 391
第10章 自分の国の経済発展は自前の発想で 393
スナップショット クマウから来た三人のクラスメート 420
第11章 欧米流援助の将来 423/2.ドバック 439/8. 基本に立ち返ろう 441/9. あなたに何ができるか 442