【感想・ネタバレ】傲慢な援助のレビュー

あらすじ

貧困には(1)極端な貧困が存在する悲劇と(2)先進国の援助が現地に届いていない悲劇がある。本書は第2の悲劇を検証し、現地の人の生活を本当に改善する新しい援助の形を模索する。

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Posted by ブクログ

傲慢な援助。ウィリアム・イースタリー先生の著書。貧困国、貧困状態にある貧しい人たちへの援助は正しいやり方でしないと何の問題解決にもつながらないし、自分勝手で自己中心的な傲慢な自己満足、傲慢な援助にしかならない。せっかくの援助が、単なる傲慢な自己満足、傲慢な援助に終わらないためにするべきことをきちんとしないと。

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2019年07月19日

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「人はインセンティブに反応する」という基本原則に沿った論になっている。過去の援助について、明解に失敗の原因を分析している。さらにMDGsもその延長線上にあるとし、そのディレクターでもあるサックスを批判しているが、これも説得力がある。MDGsを批判的、客観的に見るためにも有用。共同責任から各々特化した個別課題について責任を持てば成果も上がりやすい、そのようなサーチャーが援助の主役になるべきなのはごもっともだけど、そのサーチャーにどう資金を分配するかはプランナーが決めるしかないんじゃないかと思う。
サーチャーとプランナー、これプロフェッショナルとジェネラリストの議論よね。ジェネラリストがG8とかで、プロフェッショナルが援助機関やNGOや途上国各省庁だとすると、WHOなんかの国連の援助機関がジェネラリストとプロフェッショナルをつなぐ役割をすべきなのかね。半ジェネ、半プロというか。もちろんプロのプレイヤーとしての役割は果たしつつ。 後半には、欧米の植民地政策、冷戦における介入が、どれだけ途上国の経済に悪影響を与えてきたのかという分析もされていて、読み応えがある。痛いところを突いてるなーという印象。
これまで読んだ国際協力関連の本の中でも、かなり重要度の高い本。(細越)

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2012年10月07日

Posted by ブクログ

「人はインセンティブに反応する」という基本原則に沿った論になっている。過去の援助について、明解に失敗の原因を分析している。さらにMDGsもその延長線上にあるとし、そのディレクターでもあるサックスを批判しているが、これも説得力がある。MDGsを批判的、客観的に見るためにも有用。共同責任から各々特化した個別課題について責任を持てば成果も上がりやすい、そのようなサーチャーが援助の主役になるべきなのはごもっともだけど、そのサーチャーにどう資金を分配するかはプランナーが決めるしかないんじゃないかと思う。
サーチャーとプランナー、これプロフェッショナルとジェネラリストの議論よね。ジェネラリストがG8とかで、プロフェッショナルが援助機関やNGOや途上国各省庁だとすると、WHOなんかの国連の援助機関がジェネラリストとプロフェッショナルをつなぐ役割をすべきなのかね。半ジェネ、半プロというか。もちろんプロのプレイヤーとしての役割は果たしつつ。 後半には、欧米の植民地政策、冷戦における介入が、どれだけ途上国の経済に悪影響を与えてきたのかという分析もされていて、読み応えがある。痛いところを突いてるなーという印象。
これまで読んだ国際協力関連の本の中でも、かなり重要度の高い本。

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2012年06月27日

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ネタバレ

 本書全体を通じて、プランナーとサーチャーという立場が比較軸として語られる。
 プランナーとは、援助対象から離れた場所で、大所高所に立ち、課題の理想的な解決が可能だと考えている援助者のこと。サーチャーとは、援助対象のすぐそばにいて、全ての課題を解決することは不可能だが、今よりも少しだけ物事を良くするためには何をすれば良いかが分かっている援助者を指している。
 ちなみに、国連や世界銀行、先進国からの援助などは大部分がプランナーに属する。

 なぜこのような比較軸が成立するのか。それは、プランナーによる援助が、ほとんど事態改善の役に立たないという悲しい現実があるからなのだ。
 プランナーからの援助は、非常に大規模だ。何百億円、何千億円という規模で、ポンポンと援助がなされる。数ドルあればワクチンが打てて多くの命が救えるというのであれば、これだけの規模の援助があれば何億人の命が救われたのだろうと思うかもしれないが、そう上手くはいっていない。そこに行き渡るまでの間に、援助金・物資がどこかに消えてしまうのだ。
 しかし、プランナーたちの多くは、援助効果の評価を行わない。ただ、多額の援助を行った時点で満足してしまう。この背景には、援助を実施するのが政府、ひいては議員であり、有権者にアピールできるのは、援助の成果ではなく援助をする行為自体だという現実がある。

 実際に多くの命を救っている援助者の多くは、サーチャーだ。
 例えば一人当たり1,500ドルのエイズ薬でわずかの人を延命する代わりに、コンドームを大量に配ることでエイズを予防する。学校でご飯を食べられるようにすることで、子どもたちの命を救うと共に将来の人材を育てる。女子トイレの個室を作ることで就学率を高める。
 そんな、現地から遠く離れた場所では思いつかない様な、現地の事情に合わせた小さな対応を積み重ねることで、前よりも確実に良い状況を生み出しているのだ。

 ではなぜ、この様な非効率なプランナー・アプローチは無くならないのだろう。それには、本書の原題である「THE WHITE MAN'S BURDEN(白人の責務)」という考え方が、影響を及ぼしているように見える。つまり、現地の人々は遅れていて、自分で課題を解決することはできないから、外から正しい解決策を与えてあげよう、という姿勢があるのだ。
 しかし、プランナーは認めたがらないし、評価をしていないから認識もしていないのだが、現実にはそんなことはない。むしろ、プランナーたちが支援したことで泥沼の政治状況に陥ったケースが多くあることは、歴史が証明している。多くの場合、外圧では物事はよくはならないのだ。自分たちで試行錯誤して、解決策を見出していかなければならない。

 それでは支援には意味がないのか。そんなことはない。現地の人々は、何もない中で現状をよりよくするための努力をしている。そんな人たちに資金・資材を提供することはできるのだ。そうすれば、改善のスピードはぐんと増していくはずだ。

 本書は四部構成であり、プランナーの失敗事例、プランナーとサーチャーの比較、植民地政策と現代の支援の類似性、今後のあり方、を見ていく構成になっている。
 第一部の英語訳が日本語になり切っていないところや、似たような議論が繰り返される部分もあり、なかなかに読みづらい気がするけれど、示唆される内容は、対外的な援助に留まらず、震災などの被災地援助にも共通して言えることではないかと思う。

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2012年01月26日

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ネタバレ

”自分がしたいと思っても、できないことはできない。自分ができることをせよ”byレオナルドダヴィンチ

「白人の責務」を掲げるプランナーと貧しい人々を助けるコベル具体的なやり方を探そうとするサーチャーの対比。フィードバックとアカウンタビリティ。

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2011年10月30日

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原題’White Man's Burden。白人の債務。俺ら白人偉いもんね,かわいそうな有色人種たち助けてあげなきゃね、ということか。たしかに傲慢だな。でも傲慢な援助と訳すと人種差別的な意味合いが全く分からなくなってしまう。


本書にある事実;援助資金や援助物質が中央政府に届いたとき、どこの国であれほとんど実際に必要な貧しい人に届くことはない。

そこから導きだされる結論;Big Plan, Big Pushは無意味である。

さらには;プランナーは失敗し,サーチャーが成功する。プランナーはたとえ問題の国にいなくても答えは分かっているとばかりに解決策を押し付ける。サーチャーは試行錯誤を繰り返して個々の問題に対する解決策を探ろうとする。

提案:「人はインセンティブに反応する」という人間の本性をいかした制度設計をせよ。

基本的に本書に賛成。課題は自分の活動の中にいかにフィードバックとアカウンタビリティを導入していくか。

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2010年01月06日

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ネタバレ

SDGsなど援助機関の掲げる目標それ自体は素晴らしい。だが実施にあたってはまずプランありきで現地の実態に合わないことも多く、しかも失敗から学ぶどころか、ひたすら同じことを繰り返す。民間企業ならばまずは自分たちのサービスを定着するためマーケットを分析して失敗すればアプローチを変えていくのに、と官僚主義的な援助への痛烈な批判は耳が痛いが的は射ていると思う。また日本をはじめいくつかの開発に成功した国のキーが何かだったのかをさまざまな角度で考察している。良くも悪くも政治の力の大きさを痛感する。

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2021年02月12日

Posted by ブクログ

貧困問題についての本。内容はタイトルから想像出来る。ジェフリーサックスの意見に真っ向から対立している。個人的にはイースタリーの意見に納得した。訳が少し固いが、内容は素晴らしく読みやすい本でした。

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2012年08月07日

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開発援助政策におけるユートピア的意見(つまり援助を増やせば貧困を撲滅できるという考え方)を否定しまくっている本。そうではなくて、今の制度を改めてもっと具体的なプランニングなどを取り入れるべきだと、著者のW.イースタリーは主張している。エビデンスを用いての議論なのでそれなりに説得力はあるが、やや強引かなというところもところどころある。しかしながら今後の援助政策を考えるうえで見逃してはならない視点を提供しており、価値のある本である。

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2011年01月14日

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世界銀行のエコノミストが、世界銀行の成功・失敗事例をもとに、経済援助は、プランナー(トップダウンで計画を立案・遂行する人)ではなく、サーチャー(ボトムアップで地域地域の実情にあわせて、活動を支援する人)が望まれると解説している。壮大なテーマをもとに途上国の政治・社会に介入し、さらに混乱に陥れる先進国のやり方を、猛烈に批判している。
ところどころ、単純な相関分析をおこなったりしているところが、論の安っぽさを感じさせてしまうが、それでも数字をふんだんに使い、施策の評価を丁寧に行ってくれているところは助かった。

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2010年05月05日

Posted by ブクログ

渋谷のお気に入りの本屋で
タイトルに引かれて購入。

2週間弱くらいかけて読みまシタ

自身も貧困国の支援に従事した筆者が
コレまでの「白人の責務」的支援は
効果が無かっったと批判

<従来>
・支援国のプランナーによる
・大規模でユートピア的支援計画
・現地の権力者を通した支援体制
・癒着を生みやすく、効果が出にくい
<これから>
・現地のサーチャーのフィードバックを反映した
・小規模でも市場主義型の支援
・現地の貧しい人に直接届く支援
・支援する人、される人の自律的行動を生み出す効果



という構造で、
これまでの史実を統計的に検証しつつ
フィードバック型支援を主張しマス

モノゴトをなるだけ多くのソクメンから見つめる
そのためには、非常に意義のあるオモシロィ一冊でした


それにしても、コノ「計画型」のモデルって
どっかのクニの権力・支配構造にそっくり(笑)

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2010年01月31日

Posted by ブクログ

原題は「白人の責務」
全てを解決する大規模なユートピア的なプラン、世情を上からコントロールしようとすることや、植民地化による分断、軍事介入による数々の失敗の事例を提示。問題解決は、その国の知識と意識を持つ当事者(サーチャー)が行うべきと言う。
援助の評価が効果ではなく支援した額でしか測れないことで、投入した金額自体が評価対象となり、結果ではなくインプット額に対するインセンティブしか持たなくなってしまう。

先の『貧困の終焉』に反対はしているが、問題の正確な把握と、効果のフィードバックと測定、評価や改善が重要であると言う事は変わらない。現場の問題を知るためにより現場に権限を与えると言う事は正しいが、両面が必要なのだろう。変えたところで世界銀行の官僚か現地の政治家や官僚か村長か、規模の大小と言う違いだけでしかないのではないか。
インフラの維持と教育、より効果の高い援助方法の検討。現地のニーズの把握、実施を維持改善するインセンティブ、地道な仕事が結果的には必要。

成功例として日本も挙げられているが、あまり参考になる事例ではなかろう。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

091209 by東女ms.terumi 高価 結論だけでも
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「援助はなぜ、貧しい国の人々を幸せにすることに失敗し続けてきたのか?」

ここに2種類の「貧困の悲劇」がある。
1つ目は、貧困が人々を苦しめているという悲劇。
2つ目は、莫大な援助をつぎ込みながらも、それでも貧困はなくなっていないという悲劇。
いったいどのようにしたら、貧しい国の人たちを幸せにすることができるのか。
援助を増やせばいいのか、援助のやり方を変えないと駄目なのか。
本書は、善意にあふれた先進国からの援助のうち、たった数パーセントしか本当に必要な人に届いておらず、これまで経済成長に成功してきた国は、援助をそれほど受け入れてはいない国である、という現実をまず冷静に分析する。そのうえで、本当に有効な援助とは何か、どんな援助のやり方が、本当にそれを欲している人々のもとに届けることができるのかについて、これまでの援助のやり方とは異なる援助を提案する、いわば、論争の書である。
経済発展とは自助努力であり、援助はそれを側面支援する、という意味で、著者は援助は必要だと考えている。だが、先進社会にいる官僚が「貧困を一挙に解消する」などというビッグプランを立ててもうまくいかないと主張する。そうではなく、本当に援助を必要としている人々の近くにいて、常に彼らの声を聞き、需要を探し出し、うまくいくやり方を見つけ出すのに長けている人たち、そう、まさにマーケット・リサーチャーのような人たちこそが、マラリア汚染地域に住む子どもたちにマラリアによる死亡を半減させる1つ数セントの薬を、確実に届けることができるのだ。
2つ目の悲劇がなくなれば、私たち先進国の援助は、確実に、第1の悲劇をも救うことができるだろう。
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スナップショット アマレッチ一〇歳 3
第1章「プランナー(Planners)」対「サーチャー(Searchers)」 5
スナップショット ガーナ今昔 40
第1部 なぜプランナーによる援助は発展をもたらさないのか 45
第2章 ビッグ・プッシュの伝説 47
スナップショット 十代の医療補助者 69
スナップショット グラミン銀行の秘密の歴史 70
第3章 市場はプランニングできない 75
スナップショット 貧困に対するシェル財団のビジネス的アプローチ 128
スナップショット ビジネスを行う上での改善 130
第4章プランナーと悪漢
スナップショット フェラ・クティ 184
スナップショット ニューヨーク大学教授レナード・ウォンチコン 185
第2部「白人の責務」を行動に移す 189
第5章富者に市場あり、貧者に官僚あり 191
スナップショット 民間企業がインドの貧しい人々を助ける 238
第6章貧しい人々を救う 241
スナップショット 簡易水道 269
第7章癒しの人――勝利と悲劇 271
スナップショット 予防をめざす売春婦 301
第3部白人の軍隊 305
第8章植民地主義からポストモダン帝国主義へ 307
スナップショット ガーナのスワスモワ大学 351
スナップショット キングスフィールド教授、インドへ行く 352
第9章貧しい人々の社会に干渉する 357
スナップショット 貧しい人々に向き合う化学者 388
第4部 未来 391
第10章 自分の国の経済発展は自前の発想で 393
スナップショット クマウから来た三人のクラスメート 420
第11章 欧米流援助の将来 423/2.ドバック 439/8. 基本に立ち返ろう 441/9. あなたに何ができるか 442

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2009年12月09日

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