五味康祐のレビュー一覧

  • 薄桜記

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    ネタバレ

     忠臣蔵を扱っている作品らしいが、忠臣蔵自体の描写はあまりなく、隻腕となってしまった丹下典膳と堀部(中山)安兵衛との友情・交流がメインとなっている作品。

     丹下典膳が隻腕となってしまった理由も、武士としては格好よく、読んでいて感心してしまうほど、妻のこと・そして主君のことを考えての行動であった。また、堀部安兵衛との友情の仲にも、お互いを思いやる気持ちや忠義に生きようとする武士の本分が描かれており、読み応えのある作品であった。

     途中から出てきた、白竿組の長兵衛たちとの交流も人間味にあふれており、彼らと交流することになった最初の動機がどうであれ、このような関係になれることは正直羨ましい面もあった。


     ただ、作品が古い(?)こともあり読みづらいところや、会話の合間合間に史実が描かれたり、作者の言葉のようにも思える描写が差し込まれたりして、流れが止まってしまうこともあったのが残念だった。

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    2012年07月13日
  • P+D BOOKS 喪神・柳生連也斎

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    「喪神」
    短編単独で、しかも剣豪小説
    これは、芥川賞としてはかなり異例の作品である
    GHQ撤退により、日本が独立を果たしたばかりの時期で
    チャンバラ時代劇も解禁され始めていたから
    そのあたりの事情が絡んでいるのかもしれない
    だからってわけじゃないけど
    描写に限って言うなら
    中島敦「名人伝」などのほうが優れていると思う
    しかし親の仇討ちに失敗した主人公が、敵の情けで命を救われ
    弟子入りするという筋書きには
    敗戦国民の心情に訴えかけるものがあったはずだ
    そしてまたそれ以上に特筆すべきは
    上の世代が後進に道を譲る形で、自ら斬られるという結末だろう

    「秘剣」
    逐電した無二の親友を探し出し
    これを討つべしと命じられる剣士の話
    小太刀を用いて対手の小手を打ち
    指を切断する技を互いに得意としているのだが
    出世よりも、幼少の記憶を大事とするふたりにとって
    それはある意味、象徴的な技であったと言える

    「猿飛佐助の死」
    女に狂えば術が鈍るってんで
    真田のお姫様に惚れられながらも、これを無視してたんだが
    結局、最後は二条城へ侵入のさい
    槍で突かれて死んでしまう

    「寛永の剣士」
    居合術を用いる主人公が新免(宮本)武蔵と立ち合い
    終始追い込んでいくものの
    結局、武蔵の卑怯な手にかかって敗れる
    しかしそれで武蔵は、仕官の口を失うことになる
    初出がよくわからないのだけど
    力道山と木村政彦の「昭和の巌流島」とほぼ同時期らしい

    「櫻を斬る」
    寛永御前試合の一幕
    殺人剣の技くらべに芸術点も加味される
    剣士の修行描写がなかなか興味深い
    現代ならばインナーマッスル云々で片付けられかねないが…

    「二人の荒木又右衛門」
    鍵屋の辻の決闘に助太刀として加わった荒木又右衛門は
    四年後、旗本の陰謀によって毒殺された
    (そういう説もあるようです)
    しかし首実験のさい
    この荒木が偽者であったと判明する
    「寛永の剣士」にしてもそうだったが
    やはり自己犠牲賛美の傾向が強いようだ

    「柳生連也齋」
    太陽を背にする戦法といえば
    巌流島の武蔵が用いたことで知られている
    ここでは武蔵の教えを受けた剣士が、やはり太陽を背にして
    柳生連也齋の前に立ちはだかる
    わかるようでよくわからない話だった
    殺人スポーツの剣術において
    必勝パターンを崩された人の心理を書こうとしているが
    まあ失敗だろう

    「一刀齋は背番號6」
    現代を生きる剣士が読売巨人軍に見いだされ
    入団するという話
    まさしく元祖・侍ジャイアンツなのである
    しかしながら
    元はといえば植芝盛平との立合を目的とする上京であった
    しかも、山岡鉄舟の武士道講話を拝唱していたために
    教育勅語との関連で問題視され
    結局は、1シーズン
    ペナントレース後の日米野球を最後に、球界から去っていく

    「三番鍛冶」
    鎌倉時代のお話です
    綾小路の刀匠と呼ばれる刀鍛冶が都にあって
    関白から、わが就任記念に一振の太刀をと依頼されるのだけど
    これがどうしても上手く出来上がらない
    やっと出来たと思ったら、邪念を含んだ妖刀に仕上がっている
    なぜそんなことに…刀鍛冶は訝しんだ
    そして、娘と弟子のあいだにある恋心がその原因と直感する
    もとを正せば自分の功名心に起因する話なんだけどな
    芥川の芸術至上主義に対するアンチテーゼとも取れるが
    やはり残酷な結末だった

    「清兵衛の最期」
    清兵衛は、福島正則に仕える足軽だったが
    あることをきっかけに士分へと出世する
    しかし周囲からは成り上がり者と軽んじられ
    剣の技を磨いても、かえって嫉妬され
    女性関係も上手くいかず
    いろいろあって最期はまあ死ぬんだけど
    武士道は死ぬことと見つけたり、ってやつかな

    「小次郎参上」
    佐々木小次郎が富田勢源の弟子だった頃の話
    美濃国を訪れたさい
    齋藤義龍から、仕官の誘いを受けるのだが
    これを断ったことで、ひとつのいざこざに発展する
    正義の押し付けが邪剣を生み出すのか

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    2020年09月20日
  • 薄桜記

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    最後まで武士の誇りを持ち生きた 、丹下典膳。
    妻・千春との結ばれることのできなかった恋…
    本当に切なかったです。でも、その姿はとても素敵だと思います。

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    2014年09月28日
  • 薄桜記

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    丹下典膳と堀部安兵衛の心的な交流を虚構して描く。
    題材は陳腐かもしれない。だがさすがに時代小説の手練れだけあって、長編でも飽きさせない。不思議なリズムが支配している。

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    2018年10月14日
  • 薄桜記

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    今まで忠臣蔵ものは5~6冊読んだけど、これがおもしろかった!
    講談、その他のも少しずつ制覇していかないと、、、果たしてこの分野だけでも全制覇はきびしいなぁ。。。

    出来れば、映像化される前に見るべきだった!最近、しょうもない脚色が多すぎる!!

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    2013年11月14日
  • 薄桜記

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    本作に「忠臣蔵を描いて比類なし」といううたい文句が付いているのをみたことがありますが、本筋は、丹下典膳の物語であり、忠臣蔵(一連の赤穂騒動)はサイドストーリーになります。
    それでも、昭和40年代に書かれたものとは思えないくらい現代的な、騒動に対する考察の冴えは素晴らしいと思います。

    メインの丹下典膳の物語は、谷中七面社を舞台にして、桜の邂逅から雪の決闘に収束していく流れが本当にきれいで凄みを感じます。

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    2013年01月25日
  • 薄桜記

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    久しぶりに、凄みの利いた小説が読めて大変満足しています。元禄赤穂事件を軸に、相対する2人の、己の道に生きた武士の物語。序盤から中盤にかけては思いのほか展開がゆるやかで、ようやく弾みがついたかと思えば、そこから延々と『忠臣蔵』ではない赤穂事件のあらましと筆者の私見が1冊の本として成立するくらいに続くのですが、間延びして中だるみする事なく、これらの要素が見事に現実と虚構を融和させ、物語に深みを持たせています。ひっそり静まり返った夜に、お酒を片手にじっくり愉しむのが似合うハードボイルドな時代小説でした。

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    2012年09月17日
  • 薄桜記

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    真夏に本格的な時代小説が読みたくなって読み始める。ストーリーもそうだが、江戸の文化、風俗の記述が豊富で興味深かった。
    良い意味で古風な時代小説でした。今風じゃないので、人によっては退屈かも。

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    2012年09月02日
  • スポーツマン一刀斎

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    様々な文化人が登場する、まさに現代版伝奇小説。なんか時代小説より生き生きとした文体で、非常に面白かった。スポーツ小説とか初めてよみましたw

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    2011年12月23日
  • 薄桜記

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    討入りが主題ではなく、創作人物・丹下典膳の武士道を描く。虚構のアンチ忠臣蔵をもって、元禄 赤穂事件の真相に迫っているのが傑作だ。

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    2014年03月04日
  • 薄桜記

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    NHKドラマ薄桜記の原作。
    元禄赤穂事件の吉良方の付け人丹下典膳の物語。

    ドラマとは描かれ方が違う。
    ジェームズ三木の書き方のほうが好きだな。

    義を通す典膳がとにかくかっこいい。

    史実には実在しないらしいけど
    あとがき見ると著者は史料が少ないけどいるって書いてる。
    どっち。

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    2013年01月20日
  • 薄桜記

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    武芸の天才丹下典膳と堀部安兵衛が、言葉でなくこころで結ばれている様子が爽やかに思えた。物語も良かったが、赤穂事件の真相や浅野内匠頭が暗君であったという事を、様々な史料に基づいて書き上げている辺りに、作者の気迫を感じた。

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    2012年11月30日
  • 薄桜記

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    忠臣蔵外伝。吉良上野介の付け人であった不遇の剣客、隻腕の丹下典膳の物語。堀部安兵衛との友情、市井の白竿屋長兵衛らとの交流が泣かせる。非常に大好きな作品。

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    2012年07月07日
  • 薄桜記

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    堀部安兵衛と丹下典膳の交流と対決が主眼で、忠臣蔵がサイドストーリーで追いやられているぶん消化不良気味。悪くはないんだけど、やはり正面から忠臣蔵を書いてほしかった。なお解説が荒山徹でびっくり。いいこと書いてる(やっぱこの人、信用できる)

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    2011年09月20日
  • 柳生武芸帳 大合本

    購入済み

    原作小説が悪いのか漫画家か

    五味康祐氏の小説・柳生武芸帳は未完の大著らしく
    それらを劇画に仕切れているはずもないので
    この苦々しさは作画家の質に因るのであろう
    但馬守宗矩も柳生十兵衛三厳も幼子であろうと侍女だろうと謀殺する外道であり醜怪
    彼らが暗躍して暗殺まで引き受けていたというのは何らかの根拠あっての発想なのだろうか
    友矩も暗殺や歯を全部抜かれて女装までする宗冬も酷いものだった

    #じれったい #ダーク #ドロドロ

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    2026年02月08日