片山晃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「正解を外部に求めない」ことが、投資家として最初の一歩
投資本を読むたびに感じることがあります。「なぜ、同じテクニックでも人によって成功と失敗が分かれるのか」—という素朴な疑問です。
この本は、その理由を教えてくれました。
本書の最大の価値は、「万能な投資法は存在しない」という根本的な認識を与えてくれることです。個人投資家として150億円の資産を築いた片山晃氏と、機関投資家として常に市場を上回る成績を納めてきた小松原周氏—この二人が、全く異なるアプローチを提示しているという事実が、そのことを物語っています。
片山氏の「勝つ投資」について
市場が見落とした小型成長株に集中投資し、企業の成長ストーリーが変わらない限り保有し続ける。日常の中で「これからきそう」という想像力を磨き、その想像を信じ切る力。この方法論は、一見すると「素人的」に見えるかもしれません。でも実は、高度な分析というより「人生観」の問題なのです。
何に幸福を感じるのか。株価が日々変動する中で、どれだけ心を動かさずにいられるのか。時間的な余裕があるのか。こうした個人的な適性がすべてです。
小松原氏の「負けない投資」について
社長の資質、組織風土、セクター分散—細かな分析と継続的な監視を重ねて、「投資」と「投機」を徹底的に区別する。機関投資家としての責任感が、この堅実な手法を生み出しています。
ただし、これも同じ—実行するには「継続力」と「複数企業を同時に追いかける忍耐」が必要です。
改訂版の価値
初版から8年以上経過し、この改訂版ではコロナ禍を経験した後の「投資観の変化」が述べられています。パンデミック時、多くの企業の株価が暴落しました。そのとき、「人類の営みが続く限り、ホテルは必ず復活する」という未来を信じ切った投資家は、その後の上昇を手にできたと。
これは、テクニックではなく「思想」の話です。複雑に見える投資というものの本質—それは「未来を想像し、その想像を信じ抜く力」なのだということです。
読んで気づいたこと
何度も強調されるのが、「失敗から学ぶ態度」です。損失が出たとき、多くの人は「あのとき買わなければ良かった」と後悔します。でも本当に大事なのは、「なぜ失敗したのか」「リスクとリターンがどう変化したのか」を検証することです。
レビューも一通り確認しましたが、批判的な意見もありました。本書に「サブタイトルの『なぜあなたは日経平均が上がっているのに、勝てないのか?』の答えが明確にない」という指摘は、妥当だと思います。また、具体的な銘柄選定のプロセスを期待する読者には、「ここまでがわかると、あとは自分で考えてください」という本書のスタンスは物足りないかもしれません。
さらに現実的な課題として、「小松原氏のやり方は、相応の資金と時間的余裕がない個人には実行困難だ」というコメントも、的を射ていると思います。
結論
最後に一つ。私は普段新聞から情報を得ていることが多いアナログな人間です。情報は「フロー」と「ストック」の二つに分けられます。テレビやネットで毎日流れる情報が「フロー」で、書籍を通じて蓄積される知識が「ストック」です。
この本の価値は、単なる「フロー」情報(今月のおすすめ銘柄、など)ではなく、投資という行為を通じて「人生観」を問い直す「ストック」になり得る—という点にありますと思います。
読み終わったとき、あなたが得るのは「投資のテクニック」ではなく、「自分はどう生きるか」という問いに向き合う手がかりだと思うのです。 -
Posted by ブクログ
なぜお金持ちになりたいかを考えよう、という視点は新鮮。確かにそれを考えてから投資の世界に足を踏み入れることで、自身の投資戦略やゴールも大きく変わるだろう。
また、個別株の投資といえばなんとなくギャンブル的で、短期間でトレードを繰り返すものだという偏見を持っていた。しかし本書を読み、個別株投資といえど長期保有が基本であり、必要なのは自らの信念を信じる忍耐力であることを学んだ。
さらに、偏見続きにはなるが、個別株の投資はチャートとにらめっこし、相場の上下を常にウォッチする必要があるとも思っていた。確かにそのような側面もあるだろうが、それよりも必要なのは、企業の将来を描く想像力だった。決算資料を読み込み、まだ発見されていない企業の本質的な強みや、世の中の変化との化学反応などを探し出す事こそ、個別株投資の醍醐味だと学んだ。 -
Posted by ブクログ
・相場の局面ごとに勝てる投資法は変わる。自分のスタイルを見つけることが重要。そのために、様々な手法を試してみること。
・日常の中からトレンドを見つける。メガトレンドの流れに乗る。
・マクロデータはあまり重要ではない。機関投資家でも来月の相場を予想することは困難。
・やはり長期投資。短期で見ない。自分の判断を信じ抜くこと。信念と忍耐。
・まずは会社の組織を見る。社長の力量、オープンでフラットな組織かどうか。
・テクニカル分析は選定した株をより良い価格で株を取得するための手段で、株の購入自体の決め手にしてはいけない。
・会社の根底に流れている価値観を分散して投資する -
Posted by ブクログ
絶対に負けない投資は、投資しないことです、って身も蓋もないてアドバイスをされます、この本。
ネトゲ廃人から株式投資で会社四季報の大株主欄に何度も名前が登場するほどの資産を築き上げあげた個人投資家の星・片山明の「勝つ投資」と、
徹底した企業分析に基づく精緻な運用で「不敗の投資家」の異名をとるファンドマネージャー小松原さんの「負けない投資」。それぞれのスタイルの投資哲学を1冊で比較した一冊です。
変に両者を比較するような構成にしていないことで、二人の違いがより分かりやすくなっている点が面白い。
例えば投資とは切っても切り離せないリスクに対する考え方。
片山氏はリスク分散を重視せず、ハイリスク・ハイリターンを狙って勝てる銘柄に集中します。これは勝てる!という自信のある銘柄に相応のリスクを払ってでも投資するスタイルです。
一方で小松原氏は分散効果重視。セクターの異なる銘柄をポートフェリオに組み込むことでリスクを低減することを狙っています。
両者ともに言ってるように、どちらが正解、というわけではなく、個人の立場とか、性格とかにあったスタイルの投資をすることです、
そもそも二人はかたや自分自身のお金を運用する個人投資家、かたや顧客のお金を運用する機関投資家。リスクを許容できる立場が異なります。
さらに、二人とも言っているように、勝てない時は投資をしない、ということも何より大切だったりする。
「冷酷かもしれませんが、投資に向いていない性格の人というのは現実に存在すると思います。ただ、そういう人はスポーツやアートの分野に向いているかもしれないし、起業やビジネスで才覚を発揮するかもしれません。たまたま投資に向いていなかったというだけで、他に分野に目を向ければいいことです。」(片山氏)
個人投資家の星にやんわりと身も蓋もないことを言われています。
いろんな投資スタイルがあるのだから、まとまったお金が入って浮かれて投資して大失敗(定年で退職金を手にしたお年寄りが証券会社の口車に乗る典型例)する前に、自分をよく知っておくことが大切ですよ、ってことを示唆する一冊です。