絶対に負けない投資は、投資しないことです、って身も蓋もないてアドバイスをされます、この本。
ネトゲ廃人から株式投資で会社四季報の大株主欄に何度も名前が登場するほどの資産を築き上げあげた個人投資家の星・片山明の「勝つ投資」と、
徹底した企業分析に基づく精緻な運用で「不敗の投資家」の異名をとるファンド
...続きを読むマネージャー小松原さんの「負けない投資」。それぞれのスタイルの投資哲学を1冊で比較した一冊です。
変に両者を比較するような構成にしていないことで、二人の違いがより分かりやすくなっている点が面白い。
例えば投資とは切っても切り離せないリスクに対する考え方。
片山氏はリスク分散を重視せず、ハイリスク・ハイリターンを狙って勝てる銘柄に集中します。これは勝てる!という自信のある銘柄に相応のリスクを払ってでも投資するスタイルです。
一方で小松原氏は分散効果重視。セクターの異なる銘柄をポートフェリオに組み込むことでリスクを低減することを狙っています。
両者ともに言ってるように、どちらが正解、というわけではなく、個人の立場とか、性格とかにあったスタイルの投資をすることです、
そもそも二人はかたや自分自身のお金を運用する個人投資家、かたや顧客のお金を運用する機関投資家。リスクを許容できる立場が異なります。
さらに、二人とも言っているように、勝てない時は投資をしない、ということも何より大切だったりする。
「冷酷かもしれませんが、投資に向いていない性格の人というのは現実に存在すると思います。ただ、そういう人はスポーツやアートの分野に向いているかもしれないし、起業やビジネスで才覚を発揮するかもしれません。たまたま投資に向いていなかったというだけで、他に分野に目を向ければいいことです。」(片山氏)
個人投資家の星にやんわりと身も蓋もないことを言われています。
いろんな投資スタイルがあるのだから、まとまったお金が入って浮かれて投資して大失敗(定年で退職金を手にしたお年寄りが証券会社の口車に乗る典型例)する前に、自分をよく知っておくことが大切ですよ、ってことを示唆する一冊です。