菊池英博のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレデフレ化での増税は経済を縮小させ、景気回復を遅らせることをアメリカの歴史を例に解説しています。
レーガン、父ブッシュ政権の市場原理主義型の税制で、低所得者に負担が重く高所得者ほど負担が軽い税制で経済を縮小させた。
次いで、クリントン大統領の時世での税制を改めて、高所得者への増税、法人税の引き上げ、中小企業に対する投資減税などの税制改革を実行し、積極財政で景気を進行させた。
しかし、その後のブッシュ政権でレーガン政権と同じ市場原理主義型に逆戻りして財政赤字を拡大させた。
つまり、今の日本がとるべき財政政策がクリントン政権と同じ積極的な政策であるにもかかわらず日本は消費税増税路線に -
Posted by ブクログ
平成金融恐慌の原因と収束までの経緯を詳細に書かれています。
あくまで、著者の経済アナリスト菊池英博の主張ですが、「構造改革」「郵政民営化」の問題や、金融恐慌の教訓をふまえて、これからどのように乗り越えれば良いかが分かります。
ここ10年間の金融改革を知りたい方にお薦めの1冊です。
金融問題については良く分からないという方は多いのではないでしょうか?
本書を読むと、日本は財政危機ではなく政策危機であることが分かります。
しかし、金融改革についての議論や改革を実行できる方は少ないと思います。
本書などにて、金融問題についての知識をつけ、現在の状況を理解し、議論できる方が増えなければな -
Posted by ブクログ
ネタバレケインジアン・反自由貿易の立場からの新自由主義批判。日本の財政状況に対し、通説に比して楽観的。筆者によれば、政府債務は、それ自体の額ではなく名目GDPに対する比率により大きさを計るべきとしている。つまり、緊縮財政により赤字債務そのものの縮小させることだけでなく、名目GDPを増大させる財政出動(とそれを支える緩やかな金融政策)も、巡りめぐって財政均衡化に資する政策であるということだ。筆者によれば、前者は歴史的に失敗してきたという(筆者は、大恐慌など極端な例を挙げている)。後者のみが、デフレ脱却と財政均衡化に資すると結論づけている。この考え方は、個人的には新鮮に感じた。
なお、政治的には反・脱アメ -
Posted by ブクログ
長く金融財政の世界にかかわってきた著者が、財政的な側面から、消費税増税論の欺瞞、日本の財政構造を解き明かし、今日の新自由主義経済、小さな政府論のあやまりをのべている。すでにアメリカではブッシュ政権時代の多くの誤りを修正し長期をみとおした政策をオバマ大統領は提起しているが・・アメリカは継続できるのか。日本においても長期的な政策面・財政論からしっかりした議論をたたかわせてもらいたい。社会保障と税の一体改革といいながら、社会保障はかえって悪くなるような政策が目白押し・・国民との乖離が大きいなかでの永田町の議論となって久しいようにおもうなかでの考えさせられる本 タイトルも衝撃的!
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Posted by ブクログ
新自由主義は1%の為の政策であって、国民窮乏化政策であるとする著者の分析は正しい。ただコロナ後の国家予算の爆発的な増加にも関わらず、ちっとも景気が良くならない所を見ると、残念ながら借金で総需要を無理やり作っても景気は良くならないことが証明されてしまった。これには2つの要因があるように思われる。
一つは超縁故社会の日本では、政府支出は限られたお友達の中にしか行き渡らず、かつそのお友達は揃いも揃ってお金持ちなので使われずに国外の資産に流出してしまうこと。そう、トリクルダウンは起こらないのだ。
もう一つは人口減少。経済のパイを大きくするには生産年齢人口の増加が不可欠であり、民間も政府もシュリンクする