平尾誠二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ラグビー日本代表監督や神戸製鋼のGMを歴任した故平尾誠二さんのリーダー論。
特別なことが書かれているかと思ったら、人として当たり前にやらなければいけないことが書かれている。専門性、人間力を高めること、一貫性、馴れない群れない、部下と上司の関係等納得することが多い。
納得することが多いということは、リーダーとして、人としての理想的な人間になることが大事だということ。しかし、当たり前のことを当たり前にやることが難しく、常に心がけなければいけないと感じた。
最後に、求心力を高めるポイントが4つ、まとめ的に書かれていた。そのなかの最後に「怒ると怖いこと」、なんとも人間味あるポイントだなと思った。
本を読みながら、客観的に自分をみたり、尊敬する上司などを想像しながら、求心力がある理想的なリーダーとはなにか、自分はここに書かれているリーダーとして振る舞えているのかを確認させてくれる1冊です。 -
Posted by ブクログ
理不尽に勝つ
著:平尾 誠二
紙版
おもしろかった 人とはやっぱり情であって、決して理ではないことを本書は語ってくれる
世の中には、理不尽なことは当たり前のようにあって、それを乗り越えるためには、視点を変えろということをいっています。
理不尽を経験し、それを乗り越えることで人は鍛えられ、成長するというのが本書の主張です。
気になったのは、以下です。
・世の中は、理不尽であふれている
一生懸命やっているのに、どうして報われないのであろうか
よかれと思ってしたことなのに、なぜわかってくれないのだろう
・上司からは現場を無視しているとしか思えないような無理な要求をされたり、意に添わない仕事をさせられたりすることが多々あるにもかかわらず、こちらのリクエストはさまざまな理由をつけて拒否される。そのくせ、リスクと責任は押しつけられる。部下は指示をしなければ動かず、動いてもなかなか自分の望む通りには動いてくれない
・あらかじめいっておけば、理不尽な体験をすることは決して無駄にはならない。それどころか、確実に人間を鍛えてくれる。強くしてくれる。理不尽を経験すればするほど、人は強くなる。
・世の中はフェアであるはずがない。
そもそもこの世野中は決して公平でも公正でもない。フェアではないのだ
世の中は公平である、なんて、幻想にすぎない
さらにいえば、人間は生まれながらに理不尽を背負っている。決して平等には生まれてこないからだ
・人間は無力、であり、現状を受け入れるしかない、ということ、そのうえで、気持ちを切り替えるしかない、ということだ
・つい人のせいにしたくなるけれど、それでは何もかわらない。責任を他人に求めても、それで社会が変わるわけではない。状況を変えるには、自分自身が変わるしか、自分自身で変えていくしかないのである
・理不尽が大きければ大きいほど、それに打ち克ち、乗り越えた時の喜び、達成感は大きくなる
・率先垂範、つまり自分の態度で見本を見せるだけではなく、どうすれば言葉の力をもって部内をまとめていくことができるかをいつも考えていた
・人間の感情から発する問題は、いくら理屈で問い詰めていっても、解決しない。
・外にいる敵と戦わなくてはいけないのに、ほんとうの敵は、内にいた、ということはまれではないのだ。むしろ、それがふつうなのである
・現実として、理不尽な目にあっているのは、決して、自分だけではない。
自分とはケースが違っているだけで、みんな、多かれ少なかれ同じような目にあっている。
おれだけが、恵まれていないわけではないんだ
・そうか!つらいのはおれだけじゃないんだ
・こいつらにくらべれば、おれなんかなんでもない
・あれだけ、きついことに耐えたのだから、絶対に神様は俺を見放さない
努力は絶対に嘘をつかない
・思い通りにならない原因が自分にあった場合、つまり、単に自分の努力がたりなかったり、甘えや自分勝手な自己正当化によって自分が悪くないと思い込んでしまうようなケースだ
・ある選手が伸びるか伸びないかを見分ける時に、私は次のことをひとつの大きな判断材料としている、それは、上手くいかなかったときに、その原因を人のせいにするかどうか、ということだ
・要は目の向け方なのだ。同じ事態に直面しても、どこに目が向くかで、考え方や解決法はかわってくる
・いい時は悲観的、わるい時は、楽観的
・重要なのは、運と愛嬌、そして、素直さ、だ
・そうか、おれはいやなことから逃げていただけなんだ
その瞬間、パッとスイッチが切り変わったのを鮮明に覚えている
強制的にやらされているのではなく、自分からやろうとしたからなんだ
いってみれば、義務ではなく、権利としてやるようになったのだ
・高い目標を達成するためには、自己を厳しく律し、何かを犠牲にしなければならない
・実力や運だけでは足りない、日本一にふさわしい、格、とも呼べるべきものが必要なのだと、当時から信じていた
・周りが文句を言えないくらいのことを自分がする
・リーダが備えるべき条件は、媚びない、キレない、維持をはらない
・妥協と、折り合いは、同じような意味とされるけれど、私にいわせればこのふたつは絶対に違う
妥協が、現実に甘んじることだとすれば、折り合いをつけるとは、次に進むための準備だ
妥協はさらなる妥協を呼ぶけれど、折り合いはそうはならない、新たなスタートなのだ
・本質的論理と、状況的論理、という2つの思考法をつねにもつことだ
本質的論理:物事をどんどんと突きつめて考えていく思考法
状況的論理:周りの空気を読みながら、状況に合わせて思考を展開していく思考法
・今やれることを全力でやれば神様ががごほうびをくれる、道は拓ける
理屈抜きにひとつのことに没頭することは決して無駄にはならない
・まあ、なんとかなるだろう、という楽観的な目論見
ならなかったらしかたがない、という一種の諦観
結局私には、その二つがあっただけという気がする
・破れかぶれにはなるな、何とかなるさは、死んでもいいということではない
・現実を冷静に見据え、徹底的に考えれば、戦略が描ける
・敵に勝つための3つのファクター、①戦力、②戦略、③戦闘
・何としても勝ってやる、絶対に達成してやる、そういう強い気持ちがなければ、勝つことはできない
・練習の密度が高まったということが大きかったと思う、集中力があきらかにあがった、時間を無駄にしたくないから、みんな課題に貪欲に取り組んだ
・クリティカル・モーメント:勝敗をわけるような重要な一瞬のことだ。真剣に練習をすれば、クリティカル・モーメントを見極められるようになる
・One for All , All for One :各自の目的を実現しようとすることで、チームの勝利に結びつくようにすること
・この試合に、おれはすべてを賭けて臨んでいるんだ。おれの感じた通り、思った通りにやる!
・大切なのは理不尽を排除せず、乗り越えること
<結論>
・あらかじめ結果がわかっていることに人は興味を持てない。おもしろくないからだ
・やってみなければどうなるかわからないから、人はチャレンジできる
・うまくいった時喜べるし、失敗しても、次があるさと気持ちを切り替えることができる
・なんとかなるさ、という気持ちさえ忘れなければ、むしろ楽しいことなのだ
・理不尽を理不尽と思わない人間がやっぱり一番強いのだ
目次
はじめに
第1章 理不尽によって人は鍛えられる
第2章 リーダーとして理不尽な状況をいかに乗り越えるか
第3章 理不尽をどのように与えるか
第4章 理不尽は、決してなくならない
第5章 ひとりでは無理でも、チームであれば乗り越えられる
第6章 孤独に耐えてこそ、乗り越えられる
第7章 理不尽が人を成長させる
おわりに
ISBN:9784569801650
出版社:PHP研究所
判型:4-6
ページ数:232ページ
定価:1300円(本体)
2012年05月01日第1版第1刷発行 -
Posted by ブクログ
(2013/4/10)
伏見工業3年で高校日本一、同志社大学で学生日本選手権3連覇、神鋼で社会人、日本選手権7連覇と、
ラグビー界で常に華やかな位置にいた平尾誠二氏。
なんとキャプテンをした国内試合で負けたのは同志社VS新日鉄釜石の日本選手権一試合だけという。凄い。
そんな平尾も、若くしてラグビー日本代表監督となり、改革を試みるも既得権益を持つ諸先輩に阻まれ、
中途半端な状態で1999年のワールドカップに臨み、3戦全敗。
華やかなラグビー経歴がここで止まり、以後は神鋼のGMなど務めるものの、ラグビー界では必ずしも日の当たる場所にいない。
そんな平尾氏が昨年著したこの本、日本ラグビー協会でも特にとりあげないほど。
注目度は低かったが、手にとって読んでみた。
結論。素晴らしい本。
常に日本ラグビーの最高峰にいた男が、いかに厳しくラグビーに向き合ってきたか、
そしてその男から見て、いかに今の世の中の風潮がおかしいかを、的確に表している。
嘆いている。
理不尽をなくそうとするのはおかしいと。
スパイラルアップする理不尽の中で人は成長するのだと。
目次がそれを端的に表している。
第1章 理不尽によって人は鍛えられる
第2章 リーダーとして理不尽な状況をいかに乗り越えるか
第3章 理不尽をどのように与えるか
第4章 理不尽は、決してなくならない
第5章 ひとりでは無理でも、チームであれば乗り越えられる
第6章 孤独に耐えてこそ、乗り越えられる
第7章 理不尽が人を成長させる
「嫌いな人間は星一徹」から始まる。
平尾といえば、いつも冷静で、合理的で、、、というイメージがあり、
そのイメージ通りなのが「嫌いな人間は星一徹」なわけだが、
その平尾をして、理不尽が大事、というのだ。
世の中そんなもの。環境を一番いいものにするなんてできっこない。
なにかしら制約がある環境でなにかをしなくてはいけない。
それが今は何かというと環境のせい。
社長がワンマンだから、上司があほだから、部下が無能だから、、、
言いだしたらきりがない。
その中で自分がどうするか、だ。どこまでできるか、だ。
それを今は、環境が悪ければ国のせいにして、国が対応できなければ金を巻きあげる、
みたいなことが横行している。補償金として。役人もそれを仕事として生きているところがある。
税金を使う権限のような形で。
そんなことをして世の中が回るわけがない。
人間同志が生きる中でそれぞれのエゴがぶつかり、最高の環境なんて作れるわけがない。
その中でどう自立し生きていくか、なのだ。
そこに税金が介在してもうまくいくわけがない。
(だから私は減税賛成、小さな政府賛成、医療費削減年金削減賛成です。といってアメリカがいいというわけではないからややこしいが
もう何もできない老人を高額医療費で生かし、さらに年金を与える、というのは、納税する側から考えれば不合理すぎる
年収数百万で病気もできず結婚もできず子供も産めずにいる若者が、上記の見知らぬ者のために税金を払うというのは、
社会モラル的にもおかしい)
著者の趣旨とは少し外れたが、
生きていく上で理不尽はつきもの。
それをどう乗り越え、自立するか。コヴィーの世界でもある。
平尾氏という超一流の人間が訴えるこの本、非常に共感する。
もっと多くの人に読んでもらいたい。 -
Posted by ブクログ
(2007/2/28)
ひやー、まってました、ラグビーのスーパースター、平尾誠二の本。
タイトルは「リーダー」なんていれて、いかにもビジネスマンに読んでほしいという感じの本だが、中身は天才平尾の頭の中を見せてくれていて、ラグビーファンにはたまりません。
平尾は子供のときから、頭の中にもう一人の自分がいたとか。
怠けている自分を見つめるもう一人の自分がいて、これではいかんと一歩前進する。
すごいなぁ。
自分も、子供のとき、自分は誰だ?と突き詰めて何も判らないことがあった。
今も、パワハラに悩みながらもどこかさめてる自分がいる。
しかし、、、平尾さんのように、そこから自分を高めるというのはなかなか出来ない。
この本、さらにうれしいのは、平尾さんしか書けないエピソードがたくさんある。
高校日本一になった決勝で山口監督にかけられた言葉、
神鋼V3の際の奇跡のウイリアムスの逆転トライ・ゴールが、実は作戦通りの試合であったこととか、、、
昨年のジーコジャパンが敗れたことを、平尾監督率いた99年ワールドカップラグビーになぞらえたり。管理トルシエから自由ジーコに切り替えたが、選手が追いつかなかった。。それが似ているというのだ。
春口さんや清宮さんの話しも楽しいが、頂点を極めた男の話しは又格別である。
ご一読あれ! -
Posted by ブクログ
人は誰もがリーダーである
著:平尾 誠二
PHP新書 431
平尾誠二は間違いなく、カリスマ型のリーダだとおもう。押しもつよいし、何よりもかっこいい
それが証拠に本書の表紙も男が惚れるようないい男である。荒くれ者をまとめ上げて何連覇もできる男が何をいっても、そこはそうだと、素直に聞くしかないではないではないか
気になったのは、以下です
・型をつくって選手をそこに当てはめるのではなく、個々の技術と判断でゲームを組み立てていくことこそが真の強化と呼ぶべきものであり、そのためには、選手個々の力をベースアップさせる必要があるとジーコも私も信じていたわけだ
・すなわちフットボールというゲームでは、監督は選手をピッチに送りだしてしまえば、ひとつひとつのプレーについて細かく指示を出すことはできない
・その都度、選手たちがその状況に対応し、自分自身で適切な判断を下しながら、ゲームを進めていかなければ、最終的にゴールにたどりつくことは不可能である
■弱さを知って初めて「強い個」は生まれる
・そもそも自信と不安は表裏一体のものだと私は思っている。このふたつが本人の中で行ったり来たりしているのである
・これからは、こんなことは何回もあるだろう。そのたびにこうやっていつも逃げていたら、自分はずっと逃げ続けなければならなくなる。そんなことはできやしない。いつかは逃げられなくなるときが来る
・自分の弱さと向き合い、外から自分を見ている「もうひとりの自分」と対話することが大切だ
それを繰り返していくうちに、弱い自分をコントロールできるようになる
それが、セルフコントロールだとおもう
・だいたい、不安や弱さを感じなければ、人間はそうそう努力などできるものではない
・つねに最悪の状況も想定し、その場合の対策を考えておかなければならない
・不安で満たされることがないゆえに、つねに努力するし、より高みを目指そうとする
・考えてもしかたないことをいつまでも考えていれば、行動力は鈍くなるし、結果的に生産性が下がるのは必然である
・状況によっては問題を先送りしても構わないと思う
どうしても突破口が見つからないときは、あるいは緊急に解決を迫られていない問題なら、少し時間を経たあと、違う状況で考えて見る
それは逃げたことにはならない
・組織に必要不可欠な人間になるには、どのような存在になればいいのか
それは組織の、「内部」ではなく、「外部」で大きな力を発揮できる人間であれ、ということになる
・失敗を経験してこそ強くなれる
どうすれば、恥の意識から脱却できるのか
それはやはり、たとえ失敗したって恥ずかしくない、と思えるかどうかにかかっているだろう
失敗すること、ミスをすること自体は、決して、恥ずかしいこと、ではない
大切なのは、失敗を、恥、だと思わず、それを、次への糧、だと考えらえるかどうかなのだ
失敗や挫折を経験することで、自分の弱さや情けなさと正面から向き合うことが、人間が生きていく上では非常に大切であると私は考えている
・人からやらされるのではなく、自分で自分を律し、目標を達成することは、想像以上につらいものだ
困難や苦しさが伴うし、ときには高い壁にぶち当たることもあるだろう
人間は弱いものだから、どうしてもそこから逃げようとする
しかし、困難を自分の力で乗り越えなければ、強い個、の確立など望むべくもないのはいうまでもない
・視点を切り替えることで活路を見いだす
・苦しいのは自分だけじゃない
・壁にぶち当たって苦しんだり悩んだりしたとき、そこから逃げることなくやる気をかきたてるためには、置かれた状況を冷静に見つめ、悲観的にならずに、ポジティブに物事を捉えて、思考や目線を切り替える、ことが重要なカギになると思う
■部下の弱さを克服させ、強さを生み出すリーダー力
・モチベーションとは、あえて、日本語にすれば、動機づけ、という意味になる
すなわち、行動を起こすための源泉となる意欲のことである
・人はとうてい実現不可能だと思える目標に対しては、そうそう努力できるものではない
逆にいえば、もう少しがんばったら、達成できる、という感触があるからこそ、やってやろうじゃないか、と思えるのである
・それでは、コーチングの本質とは何か
それは、モチベーション、にあると私は考えている
・やる気を起こさせるには、マイナスに落ち込んだ自信を、ゼロの状態に戻してやることが必要なのである
・人間というものは、悪いところを指摘して、ここを直せ、と言っても、なかなか主体的に努力できるものではない
だからこそ、本人のいちばんいい部分をグンと引き上げてやるのがいちばんよい方法だと思うのである
・臨場感を感じたうえで、さらにもう一歩踏み込んで、この人間は何を求めているのか、を察する力、すなわち、洞察力を指導者は持たなければならない
・コーチングにおいて、もっとも大切なのは、やる気をさせることだ
・コーチの役割とは、分かりやすく言えば、ゼロの状態をプラスにしてやる、ことである
・強制させて何かをやらせるときに大切なのは、結果を出させる、ということなのだ
やればできる、という実感を味わわせなければならない
■人は生まれながらにしてリーダーである
・こうした時代において、求められるリーダーの資質とは何か
それは、一言で言えば、キャパシティであると私は思う
すなわち、異質なものやいびつなもの、対立するものを排除するのではなく、取り込んでいく力のことである
・たとえ、上司であっても、人間として信頼できなければ、ついていこうとは思わないはずだ
そして、信頼関係を築くために、最も大切なのは、相手の話をよく聞くことである
・間合い つまり人と自分との距離、物事と自分との距離感のことである
人には、自分を活かす間合い、自分が行かされる間合いがある
あまり対象に近づきすぎては、身動きがとれなくなってしまうし、離れすぎると影響力が及ばない
自分にも周囲にも適切な距離があるのだ
・監督や、管理者になるということは、群れから出ることである
・結論をいえば、自分の立ち位置は自分で探すしかない
・リーダーは孤立を恐れてはいけない
だが、組織としての目標を共有させ、個々を連帯させることは絶対に必要だ
・リーダーの立場にある人間は、フォロワーの管理にはできるかぎり力を使わないほうがいい
なぜなら、リーダーの本来の仕事とは、組織の外、すなわち、競争相手と闘うことであるからだ
■強い組織は成熟した個人の集まりから生まれる
・アクティブコミットメント、自発的連係とでもいおうか
チームにコミットしようとする意欲、チームとしてまとまろうとする気持ちのことである
ただし、ここが肝心なのだが、それは強制されたのでは意味がない
個々の内側から滲み出るこのでなければならない
・そもそも、私は、組織内の人間の目標を無理やり一致させる必要はないと思っている
要は、それぞれの目標を達成することが結果として組織としての目標達成につながればいいのだ
■個人と組織の力を最大限に活かす戦略とは
・ゲームの本質を見誤っては、勝つことは非常に難しくなる
戦略と立てるときには、ラグビーならラグビー、野球なら野球というゲームにおける、競争相手との構図をまず認識しておくことが重要になる
・戦略と立てる際、もうひとつ大切なのは、自分たちの強みと弱みとを正しく認識することである
・何か一点でいいから、相手を上回る強みを身につけ、そこから活路を見いだすことが絶対に必要だ
いわば、一点突破、全面展開、だ
・相手がほっとした瞬間を見逃さず、一気呵成に攻めるのである
目次
はじめに
第1章 弱さを知って初めて「強い個」は生まれる
第2章 部下の弱さを克服させ、強さを生み出すリーダー力
第3章 人は生まれながらにしてリーダーである
第4章 強い組織は成熟した個人の集まりから生まれる
第5章 個人と組織の力を最大限に活かす戦略とは
おわりに
ISBN:9784569656427
出版社:PHP研究所
判型:新書
ページ数:192ページ
定価:700円(本体)
2006年11月29日第1版第1刷
2007年12月11日第1版第4刷 -
Posted by ブクログ
求心力
第三のリーダーシップ
著:平尾 誠二
PHP新書 975
わかりやすい、おもしろかった
第一のリーダ―シップ 支配・強権型リーダーシップ
強いリーダーが戦略を描き、フォローは一糸乱れず従う
⇒フォロワーが自主的に考え、判断し、行動する機会を奪うことに
第二のリーダーシップ サーバント・リーダーシップ
リーダが組織のメンバーに奉仕し、支援しながら目標達成に導く
⇒リーダがフォロワーに近づきすぎて、フラット化し、友達同士のような関係へ
⇒その結果、緊張感が失われ、組織が弱体化してしまった
第一のリーダ―シップにもどるか?⇒ No!
そこで、
第三のリーダーシップ 巻き込み型リーダーシップ
おのれの求心力をもとに周囲の人間を巻き込むリーダーシップ
この平尾氏が提唱する、第三のリーダー・シップの啓蒙書が本書である
気になったのは、以下です。
■「コミュニケーションを多くとればいい」は間違いである
・コミュニケーションが密になるほど、関係性が深まる は、単なる間違い
⇒コミュニケーションを密に取りすぎていると、肝心なときに、伝えたいことが伝わらない
⇒ふだんはあまりしゃべらなくても、たまに発するひとことが聞く者の心をとらえる
・コミュニケーションがなぜ必要なのか
⇒おたがいの意思の疎通を図ること
⇒話す側に話したいこと、話すべきことがあって、聞く側には聞く態勢が整ってこそ、初めて可能になり、意味をもつ
・会議やミーティングをする理由は
⇒重要な情報を頭にたたき込み、共有したり、懸案事項についておたがいの意見をぶつけあうため
⇒読んで知るだけでなく、理解し、行動を起こすように仕向けるため
・言葉で伝えるより、見る力、感じる力を身につけることのほうが、コミュニケーションを多くとるより大切
⇒相手の表情、態度、雰囲気からその人がどういう状況にあるのか、何を考えているのかを読み取り、感じる
・自分を客観視してみる、客観視できないと、
⇒自分の発する言葉がどのように受け取られるか、どれだけの影響力を持つのかが理解できず、適切な対応ができなくなる
・意味のない言葉を連発するくらいなら、口数は少なくても、より深く考え、熟成させた言葉を発するほうが、よほど、相手の心に訴えることができる
・ホンネとタテマエを使い分ける
⇒使い分けでしかるべきである
・直接話すだけに、いいコミュニケーションを築くためには、お互いにその場の雰囲気をつかむ必要がある
話す側:その場の情報を採り入れ、考慮した上で話をする
聞く側:話す側の態度や発する熱量などから、向き合うためのしかるべき態勢を整える
■緊張感の喪失が組織を弱体化させる
・親しき仲にも礼儀あり、上司と部下のあいだにはおのずと超えてはならない一線がある
・チームとして行動する以上、守るべきルール、秩序が必要だ
一方でルールや秩序にがんじがらめに縛られてしまっていては、やはりチームは機能しない
自分の存在がたんなる歯車のひとつとしてしか感じられなければ、やりがいを得られないし、モチベーションも下がってしまう
・これ以上どちらかに行き過ぎてはいけない
そのリミットに気づかなければならないのである
リミットを超えないよう、うまくとどめておくことがチームを機能するために重要である
・すぐれたパフォーマンスをするためには、適度な緊張感が絶対に必要なのだ
・コミュニケーションは、量より質
⇒コミュニケーションのとりすぎは、緊張感を奪うと、いうことが大きな理由だ
・ある程度のハードルを設定し、それをクリアできればほめ、できなかったら、きちんと叱らなければならない
・自分ががんばって困難を乗り越えた経験が、その後の糧となり、強烈な体験として頭に刻みこまれる
・パワハラの難しさは、明確な基準がないことだ
・リーダーの強い意志、何よりも大切なのは、「これはなんとしてもやり遂げる」という意思だ
・相手に対する敬意を忘れてはいけない
フォロワーはリーダーの下僕ではなく、組織としての目標を達成するためのパートナーである
その意味では、立場と役割と責任が違うだけで、対等といってもいい
・叱責された原因を自分自身で考え、足りないものは何か、どうすればよくなるのか、試行錯誤するはずだ
それがその人間の成長を促すことになる
フォロワーにそう感じさせる力が、求心力、なのである
■強い組織をつくる三つのキーワード+α
・強い組織をつくるためには、3つのキーワードがある
①戦力、すなわち人である
②戦略、どうやって勝つのかという道筋、ストーリーである
③戦術 掲げた戦略のもとで、どこで、誰が、何をするか、ということを具体的に示すこと
・戦略には、必ず狂いが生じる
うまくいかないことがあって当然だと思え
リーダーは、ときには自分が立てたストーリーを変更しなければならない
状況に応じて、修正していかなければならない
・ゲームには、勝敗を分けるポイントとなる瞬間、というものが存在する
それを、クリティカル・モーメントという
・勝つために絶対に欠かせないもの
戦闘意欲、根性といってもいい
どんな状況に追い込まれたとしても、最後まで自分の責任を果たす
そういう強い気持ちのことである
それが +α の部分になる
■求心力が戦闘意欲を呼ぶ
・おれは、何が何でもこの目標を達成したいんだ
そういう気持ちを持つことだ
・リーダーの強い意思は、周囲を巻き込み、自信をも生むのである
・理論家は近く、情熱家は、遠く
自分自身を理の人間と考えている人は、自分の声よりも、心のふるえが相手に伝わっているのかを意識することが大切であり
情熱の人間と考えている人は、客観性をもって自分の声を聞くことを心がけたほうがいい、という意味である
・周囲から注目され、期待される ことが行動に大きな影響を与えるのは、人間も変わらない
・期待しているとは口にしながらも、期待しすぎてもいけない
・リーダーこそ、目の粗いフィルターを持て
・物事がうまく進んでいるときは、あれこれ言う必要はない
放っておいても構わない
というより、そうすべきだと私は考えている
うまくいかなくなったとき、壁にぶつかったときこそが私の出番、ということになる
・リーダーには、大局観が必要だということだ
■求心力は人間力
・人間力を高めること
人間として愛され、尊敬され、信頼されていれば、どこの会社に属していようと、いかなる肩書をもっていようと関係ない
・専門性を高めること
リーダーと呼ばれる立場にある者は、専門性をつねに高めていく努力を怠ってはならない
専門性はなんらかの裏付けが必要になる
リアリティを感じさせることが重要になる
・美学をもつ
リーダーには美学が必要である
強さだけではない、格 というべきものが必要だ それが私の美学だ
■神戸復活の陰にあった南ア人の求心力
・正しい人間を使わないチームはだめだ
正しい人間とは、練習を休まず、一所懸命やる
自分の課題に対し、前向きに日々取り組んでいるという意味である
そういう選手を使わないで、無視するようなチームは方向性が間違っている
・ラクビーにはすぐれたアスリートが必要だけれども、それ以上にすばらしい人間であることが大切だ
・勝負に対する執念 戦力、戦略、戦術+戦闘意欲
・求心力をえるための4つの要素
①専門性
②人間性
③一貫性
④怒ったら怖い
目次
はじめに
第1章 「コミュニケーションを多くとればいい」は間違いである
第2章 緊張感の喪失が組織を弱体化させる
第3章 強い組織をつくる三つのキーワード+α
第4章 求心力が戦闘意欲を呼ぶ
第5章 求心力は人間力
第6章 神戸復活の陰にあった南ア人の求心力
おわりに
ISBN:9784569820927
出版社:PHP研究所
判型:新書
ページ数:205ページ
発売日:2015年03月30日 -
Posted by ブクログ
ネタバレ*理不尽な体験をすることは決して無駄にはならない。それどころか、確実に人間を鍛えてくれる。強くしてくれる。理不尽を経験すればするほど、人は強くなる。だから、もし自分がそういう状況に置かれているのならへこたれてはいけないし、若い人たちにも経験させたほうがいい。その壁を乗り越えた時、その人は必ず成長しているからだ。
*世の中はフェアであるはずがない。そもそもこの世の中は決して公平でも公正でもない。フェアではないのだ。必ずしも理屈が通らないどころか、通らないのがむしろふつうだ。世の中というものは、もともと理不尽なものなのだ。なぜなら、世の中をつくっているのが、もともと矛盾に満ちた人間であるからだ。
*理不尽に打ち克つのは喜びだ。
けれども、われわれはそれでも生きていかなければならない。前に進んでいかなかればならない。「世の中は思い通りにはならない」ということを言い訳にして、「だからおれの人生はこんなものさ」と思ってしまったら、これほどつまらなことはない。自分が恵まれないからといって、恵まれている人をうらやんだり、妬んだりしても、虚しさが募るだけだ。大切なのは、そんな境遇にあっても、いつも自分の夢を実現しようとすること、理想の人生にできるかぎり近づこうと努力するうことだろう。その過程にこそ、生きることの醍醐味というか、喜びもあると私は思っている。そして、それは必ずしも経済的な勝者になることだけを意味しないはずだ。
*人は理不尽を経験すればするほど、より大きな理不尽を体験すればするほど、鍛えられ、強くなれる。間違いなく成長する。そして、理不尽が大きければ大きいほど、それに打ち克ち、乗り越えた時の喜び、達成感は大きくなる。そう、理不尽な経験をするのは決して悪いことではない。ネガティブではなく、ポジティブにとらえれば、得るものは非常に大きい。理不尽な体験をすることは、人間が成長していくために必要なことであり、とくに子供のころに、若いうちに経験するべきなのだ。経験させるべきなのだ。
*それで翌日練習に出ると、それまでとはよることは変わらないのに、全然つらいと感じなくなった。どうしてなのか、その時はよくわからなかったけれど、あとからこういうことだとわかった。「先生から強制的にやらされているのではなく、自分から”やろう”としたからなんだ」いってみれば、「義務」ではなく「権利」としてラグビーをやるようになったのだ。そうなってからは、たとえ理不尽にみえる猛練習であっても、きついとは感じなくなっていた。
*「自分は不運だ」「恵まれていない」そう嘆いても、何も変わらない。今、自分が置かれいる環境のなかでできることを全力でやる以外、状況を変えることはできないのだ。だから、今やるべきことをしないで先のことを心配する、過去の失敗にとらわれて、今しなければならないことがおろそかになる。そういうのは大嫌いだと岡田さんは言って、こう、続けた。「だから、今やれることをともかく全力でやってみる。そうすると、不思議なもので、最後に神様がご褒美をくれる。道が拓けるんだよ。」
*批判というのは、みんな「あと出し」だ。失敗したり、うまくいかなかった時、メディアをはじめとする世の中はこう言って批判する。「ほら見ろ、あの時こうしておけばよかったんだ。どうしてしなかったんだ」そんなふうにあとから文句を言うのは誰でもできる。でも、やる前から結果がわかっている人間なんていない。信じることをするしかない。そして、結果さえ出れば、風向きは一八〇度変わっていく。
*繰り返しになるが、世の中は、社会というものは、自分の描いたストーリー通りに物事が進むことはめったにない。どこかで絶対に理不尽な状況にぶち当たる。その時、モノを言うのはやはり、意思の力だ。「やり遂げる」という気持ちの強さだ。本人にそれがあって初めて、仲間だって支えてくれるし、ストーリーを完成させることができるのではないだろうか。
*「自由」とは「時間」だといっていい。自分の意思で使える時間のことだ。日本人は、その使い方が下手だ、というより、理解していない。「自由」が永遠にあると思っている。なぜなら、日本人にとって、「自由」とは、西洋のように戦いのなかで文字通り命を賭けて勝ち取ってきたものではないからだ。それまでいわば全体主義でやってきたところに突然与えられたものだからだ。
*理不尽は人を鍛える。強いエネルギーを出させる。筋肉を強化するには、負荷をかけることが必要だ。重いものを持てば腕の筋肉は強くなるし、持たないでいれば衰える。毎日歩いていれば足腰は強くなるけれど、歩かなければ弱っていく。ハート、すなわち心も一緒だ。負荷をかければそれだけ強くなるし、かけなければ弱くなる。強くなれば、少々のことでへこたれなくなるし、弱まればちょっとしたことで落ち込み、現実から逃げようと考えてしまう。そして、負荷をかければかけるほど心は強くなり、より大きな厳しさや苦しさにも耐えられるようになっていく。「こんなこと、どうってことない。」そう思うことができる。たとえ歩けなくなっても、生きていくことはできる。でも、現実から逃げてしまえば、生きていくことは難しくなる。そして、負荷をかける方法はいくつかあるだろうけれども、理不尽は間違いなくそのひとつといえる。人は理不尽な経験をすればするほど、強くなるのは間違いないのだ。これが、理不尽が必要だと私がいう最大の理由だといっていい。
*理不尽を理不尽だと思わない人間が、やっぱりいちばん強いのだ。 -
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先日、亡くなられた平尾氏の2015年の著作。理論と経験によるリーダーシップ論に大いに共感しました。これから、日本のスポーツ界を引っ張っていくべき人だっただけに、若くしての急逝があらためて残念です。
強権的なリーダーシップでは短期的には成果は出ても、メンバーの自主性、創造性が発揮されにくいので、トップを目指すチームにはなりにくい。メンバーをサポートすることが中心のサーバント的なリーダーシップでは、馴れ合いのチームになりやすい。リーダーはフォロワーをよく見て、その時その時において適切な距離感を保つ必要がある。そのうえで、フォロワーたちの多様性を活かし、一つの目標に向かって、チームをまとめるのに必要なのは、リーダーの求心力である。ではリーダーに求心力を生み出すものはなにか?リーダー自身の高い専門性、人間力、一貫性である。
ラグビーを通して生み出されたリーダーシップ論ですが、ビジネスの現場に身を置く者にとっても多くの示唆を与えてくれます。 -
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平尾監督の本はよく読みます。
リーダーの心構えとしてラグビーを通じて論じてあるのでとても参考になります。
不安やコンプレックスという負の要素は仕事につきものなので切り捨てるのではなくうまく付き合う必要があります。
そのためには視点を切り替え物事の捉え方を変えることが重要になります。
「勝ちたい」と考えるとプレッシャーに負けず選択肢が広がる。
それが「内発的モチベーション」につながります。
逆に「負けたくない」と考えると萎縮して自滅するパターンになります。
「外圧的モチベーション」はプレッシャーになります。
コーチングの要諦はヤル気にさせることにあります。
ただコーチする側が「ミッション」「ビジョン」「パッション」を持ってやらないと伝わらないです。
リーダーは常に「キャパシティ」がどれくらいあるか考える必要があります。
「大局的損得勘定」ができて初めてリーダーになれるというものです
まあ自分も含めて客観視しないといけないです。
「聞く力」を持つということは相手を知ろうという意思を持つことです。
常にアンテナは高く持つことと同じです。
逆に話すときは反射神経を持って臨機応変に。
その後チーム力が上がればアクティブコミットメント(自発的連携 )ができるようになって直感的連携が可能になるんでしょうね。
最終的にチームを引っ張るためリーダーは自身を鍛えて強い個である必要があります。
これはラグビーに通じますね。 -
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ネタバレ平尾誠二の本です。知ってる人も多いが、ラグビー界ではトップレベルの著名人。説明は不要かと。
著者の講演を聞いてきた。話はたいへん面白かった。でも中身は正直たいした内容ではない。でもラガーマンとして聞けばたいへん参考となるな。
決してラグビーのカリスマだからと言うわけではない。
中身がいい。
特に第一章『弱さを知って初めて強い個は生まれる』は、超共感。
特に、
・弱さ→強さ
・内的モチベーションと外的モチベーション、
・失敗をしてこそ、
などは、超超共感。
今さらって内容かもしれんが、7つの習慣なんかよりもよっぽど良く、ぜひ実践したいという気になった。 -
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日本ラグビー界の平尾氏の本。こういう類の本には2種類あると思う。ひとつは、色んな人の生き方を学び原理原則と説くもの。もう一つは、自分の人生から原理原則を導きだすもの。この本は後者。そして、圧倒的に後者のほうが良書が多い気がする。やはり自分の経験から、自分の言葉で語られる以上に響くものはない。一番心に残っとるのは、内発的モチベーションと外圧的モチベーションの話。自分の心から勝ちたいと思うか、外部環境からの何かしらの影響を受け、勝たなくてはいけない、負けてはいけないと思うか。これって似ているようで大きく違う。内発的モチベーションで仕事を取り組めれば、どれだけ楽しいじゃろうか。この本を読んで以来、今の自分はどうかと意識するようになった。
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本書の「理不尽は人を鍛える」という言葉が、今の時代だからこそ心に響きました。便利で快適になった世の中では、困難を乗り越える経験は確かに少なくなっているかもしれません。だからこそ、本書が教えてくれる理不尽な経験によって得られる効用は、より一層大きな意味を持つように思います。(京都先端科学大学工学部の川上浩司教授が説く「不便益」の考えにも似ているように感じられました。)
特に心に残ったのは、単なる根性論ではない具体的な心構えです。「いい時は悲観的に、悪い時は楽観的に」と自分を見つめる方法や、最悪の事態を覚悟することで生まれる「なんとかなるさ」という前向きな気持ちは、日々の仕事や暮らしの中でも役に立ちそうです。思い通りに転がらない楕円形のラグビーボールを「理不尽」に重ねる例え話も、予測できないからこそ「おもしろい」と捉え、困難に立ち向かう姿勢が人を成長させるのだと教えられました。
「教育」という観点で考えると、偶然の理不尽を乗り越えることによる成長は肌感としても納得できますが、意図的に理不尽を与えるとパワハラやいじめになりかねないので、他者に対して理不尽を設計することは難しいという点が大きなジレンマだと感じました。著者も「理不尽」の効用を繰り返し語りつつも、決して強要はしない点に配慮や遠慮が感じられて好感を持てます。
「理不尽」という言葉に対する印象が変わり、変化の多い毎日を、力強くしなやかに歩んでいくためのヒントをたくさんもらえるおすすめの一冊です。 -
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理不尽な体験をすることは決して無駄にはならない。
この世の中は決して公平でも公正でもない。フェアではない。
大切なのは、そんな境遇にあっても、いつも自分の夢を持ち続け、なんとかして理不尽な状況に打ち勝って夢を実現しようとすること、理想の人生にできる限り近づこうと努力すること。その過程に、生きることの醍醐味というか喜びもある。
人間は無力であり、現状を受け入れるしかないということ、そのうえで気持ちを切り替えるしかない。過ぎ去った時間は戻らない。どんなにつらくても、現状を受け入れ、気持ちを切り替えて次に向かうしかない。状況を変えるには自分が変わるしか、自分自身で変えていくしかない。
あることをあきらめて、別の道や可能性を探すことは決して悪いことではない。でもたいがいの場合、また同じことを繰り返すのではないだろうか。どんなところにいっても、多かれ少なかれ理不尽な目に遭わされる。そこに人間が介在する限り、絶対に矛盾が生じるから。
野球じゃなくてラグビーを選んだ。その理不尽さにおもしろさを感じた。というのは後付けの理由で、当時はそこまで冷静に考えていたわけではない。本能的に感じとった。
サッカーは点を取るゲームなのに、手を使えない。理不尽。だからこそ、そのルールによってゲームとしてすごく面白くなっているし、ダイナミックにもなっている。もしかしたら、自分の人生も同じかもしれない。この理不尽さ、今の状況は、人生をより楽しくするためのものなのかもしれない。
ある選手が伸びるか伸びないか、それを見分ける時、私は次のことを一つの大きな判断材料としている。うまくいかなかったとき、その原因をひとのせいにするかどうか。人の責任にする選手は、どんなに才能を持っていたとしても、それ以上は伸びない。自分の責任を放棄しないで、どうすればそれを克服できるかを考える。
たとえ理不尽に見える状況であっても、自分にベクトルを向ければ、もしかしたら成長するチャンスかも。やりたい方向に近いことが全てできなくなるわけじゃない。そこでできることをどうやったら大きくできるか。それを考える。
他人に責任転嫁しようとしてないか?といったん落ち着くには?自分を客観視する。今は自分が人の話を聞こうと着てないな、とか。客観視するには?物事を多面的に見ること。そのためには好奇心。物事や問題の本質や実像を掴もうとすること。
笑顔は意外と重要だ。運と愛嬌、素直さ。人との関係性の構築のしやすさ。関係が深まる。笑顔を見せてくれた相手に対して、人はもう一言言葉を重ねる。それだけ話に厚みと深みが加わって、相手の理解度も深まる。互いの距離も自然と縮まる。
周りがだらけている。楽な方向に流されている。そんなときはどうする?周りが文句を言えないくらいのことを自分がする。実際の行動と態度で示す。他の人が認めざるを得ないパフォーマンスをする。
折り合いをつける。自分のしたいこと100%はやらせてもらえないかもしれないけど、ある程度はやらせて貰える、そこで折り合いをつける。
ここで突っ張っても仕方ないな、と思ったら、周りの空気を読みながら、状況に合わせて思考を展開していく。それならこれはどうだ、それならこれは、と状況を見ながら柔軟に変える。でも、信念のところは変わらない。
道を拓くためのいちばん大きな力となるのは、「なんとかなるさ」という精神。
あまり細かくプレーを決めずに、状況を見ながらここぞという場面でたくさんのオプションの中から最前と思われるプレーを選択するほうが、良い結果をもたらすことが多い。これしかない、と思い込んでいると、間違った時に修正するのが難しくなってしまう。後戻りもしにくくなる。なんとかなる、と思っていた方が、失敗してもショックもダメージも少ないし、すぐに気を取り直して別の選択ができる。
なんとかなるさ、は楽しいことに出会う可能性も高くなる。
戦略的なゲームメイクばかりしていると、それ以上伸びない。新たな力、可能性を引き出すことはできない。それまで勝ち負けだった価値基準に、おもしろいか、おもしろくないかという視点が加わったことで大きく飛躍した。
理不尽な仕打ちが、日本代表の闘争心に火をつけた。ワールドカップ前の国際試合で四連敗した時には選手たちも盛大に叩かれた。けれどこれが選手の闘争心に火をつけた。このままでは終われない。
あまりに外部から理不尽に圧力をかけられたことが、大きなブラックパワーを産むとともに、横の連帯を強める。
社会というものは、世の中というものは、そういうふうにできている。理不尽にできている。だとしたら、問題はおれのほうにある。おれのキャパシティが非常に小さいんだ。世の中に理不尽はつきものであると認め、現実を受け入れること。そもそま世の中はそういうもの。
「理不尽に勝て」世の中は理不尽を解消しようという方向に向かっている。理不尽をいわば病原菌とみなし、「無菌状態」におこうとしている。でも理不尽はいくら排除しようとしても、完全には無くならない。もともと矛盾を孕んだ人間で世の中が構成されている限り、絶対に無くならない。
若い人や子どもが人間として間違っていることをしていると映ったり、こうしなければいけないと感じた時には、理屈抜きに叱ったり、無理やりやらせることも時折必要だ。実際、そうやって鍛えられる部分は実に多い。
基本は、仕事のこととかは、理不尽なんだから笑って流そう。ただ、大切な人が人としてどうなんだという問題に巻き込まれている時は、怒るようになりたい。
親として私は、自分の子どもに対してこう考えている。人様に迷惑さえかけなければいい。
あとは、願わくば自分がやりたいことを見つけ、その実現に対して一生懸命努力できるようであれば、そしえ明日が来るのを楽しみに待てるようであれば、何もいうことはない。
自分の期待に応えられなかったと子どもに失望しているなら、どんなに自分が愛情を注いでいると信じていても、それは愛情ではない。自分本位の勝手な感情であり、エゴと呼ぶしかない。いい学校に行けなかった。大企業に入れなかったからと嘆くのは、いい成績と大きな会社を愛しているだけ。
最近の若者は、勝利への意欲がないと言われるが、スイッチが入っていないだけ。理不尽な状況を用意することで、眠っている遺伝子にスイッチが入り、もう一度本能を呼び覚ますことができる。
楕円形のラグビーボール。どっちに転ぶかわからない。楕円の方が面白いから。何が起こるかわからない。そういう予測不可能性が、よりゲームをエキサイティングに面白くしてくれる。何が起こるかわからないから、不確実だから人はワクワクする。理不尽を理不尽だと思わない人間が、いちばん強い。
虚心平気かな。