吉村均のレビュー一覧

  • 日本人なら知っておきたい日本の伝統文化

    Posted by ブクログ

    本書は、日本人の伝統文化の本質を民俗学、宗教学、倫理学の視点から探り直した力作です。著者は、近代化の過程で見失われがちだった日本人の心のあり方や価値観に焦点を当て、その源流と変容を精力的に掘り起こしています。

    まず、柳田国男や折口信夫らの民俗学者の業績を手がかりに、神祭りや年中行事に息づく古代日本人の自然観、死生観を浮き彫りにしています。次に仏教の受容と展開を追うことで、神仏習合によって育まれた中世文化の独自性を析出しています。

    さらに、近世から近代への移行期に注目し、西欧の知の流入による伝統的価値観のゆがみや、明治期以降の国家主導による伝統文化の再構築過程を批判的に検証しています。

    0
    2024年04月04日
  • チベット仏教入門 ──自分を愛することから始める心の訓練

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この人の文章は誠実さを感じ、とても信頼できる方だと思った。また、チベット仏教について理解が進んだ。中沢新一の著書の引用があるのに、その名前を出さないことが気になった。オウム真理教事件と中沢新一の関係性に対する抗議なのかも知れないが、ここはしっかりと批判した上で、著作そのものの良い点を紹介して欲しかった気もする。
    日本でよくある般若心経批判に関しても、チベット版の理解なら納得できるので、チベット版がもっと普及した方がいいかも。

    0
    2019年02月11日
  • 空海に学ぶ仏教入門

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    一部、用語や考え方など難しい部分があった。他の本で勉強してからもう一度読みたいと思う。


    苦しみの原因は、世界が実体があると思っていること。

    瞑想中に空を経験すると、「私」「私の」から解放され、苦しみが消える。

    0
    2020年06月15日
  • 空海に学ぶ仏教入門

    Posted by ブクログ

    空海の主著『秘蔵宝鑰』『十住心論』の内容を引きながら、「十住心」についての説明を展開していきます。

    空海という人物の名前は知っていても、実際に空海の仏教がどのようなもので、真言宗がどういう教えを説いているかについては、何も知りませんでした。

    本書の「はじめに」で、"空海の十住心を学ぶことは、空海の教えを知るだけでなく、現在、西洋社会で関心を持たれている、心のあり方に苦しみの原因を見、心を変えていくことによって苦しみをなくしていくという仏教の発想法と、そのなかで様々な教えがどのような位置を占め、どのように役割を果たしているのかを学ぶことにもつながります"と書かれてあります

    0
    2019年04月13日
  • 空海に学ぶ仏教入門

    Posted by ブクログ

    空海の『秘蔵宝鑰』における十住心の階梯をたどりながら、大乗仏教の教説を空海がどのように受け取り、みずからの信仰する密教の立場へとつなげていったのかをわかりやすく解説している本です。

    ちくま新書では、すでに竹内信夫の『空海入門―弘仁のモダニスト』が刊行されていますが、竹内はマラルメやベルクソンを専門とするフランス文学者であり、独自の視点から空海の思想が論じられていました。本書は仏教学を専門とする著者による入門書で、とくに大乗仏教の正統として空海の密教を位置づけるようなかたちで説明がおこなわれています。

    0
    2018年06月24日