【感想・ネタバレ】日本人なら知っておきたい日本の伝統文化のレビュー

あらすじ

現代の私たちは日本の伝統文化をあまりにも知らない。それは明治時代に西洋の知識や技術を取り入れるためにつくられた学校教育や近代の学問が、日本の文学や歴史を私たちの心から切り離して論じてきたからだ。伝統的な日本人の心のあり方や死生観はどのようなものだったのか。いま私たちが伝統的と思っているものの多くが、いかにして明治に入ってからつくりだされてきたのか。民俗学や宗教学、倫理学等の観点から近代以降に日本人が見誤り、見失ってきたものを掘り起こす。

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Posted by ブクログ

本書は、日本人の伝統文化の本質を民俗学、宗教学、倫理学の視点から探り直した力作です。著者は、近代化の過程で見失われがちだった日本人の心のあり方や価値観に焦点を当て、その源流と変容を精力的に掘り起こしています。

まず、柳田国男や折口信夫らの民俗学者の業績を手がかりに、神祭りや年中行事に息づく古代日本人の自然観、死生観を浮き彫りにしています。次に仏教の受容と展開を追うことで、神仏習合によって育まれた中世文化の独自性を析出しています。

さらに、近世から近代への移行期に注目し、西欧の知の流入による伝統的価値観のゆがみや、明治期以降の国家主導による伝統文化の再構築過程を批判的に検証しています。

本書の特徴は、学問領域を越えた総合的なアプローチにあります。民俗学、宗教学、倫理学の成果を有機的に結び付けることで、日本文化の深層に息づく精神性の核心に迫ろうとしているのです。

一方で、そうした精神性の継承と創造的発展の重要性も力強く提起されています。伝統文化を単なる過去の遺物と見なすのではなく、現代に生かすべき生きた智恵として位置づけている点が高く評価できます。

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2024年04月04日

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