あらすじ
私たちが苦しみから離れることができないのは、欲望のままにものを追いかけ続ける心のあり方に原因がある。では心を変えるにはどうすればよいか――伝統仏教が説いてきたその教えの全体像を空海が簡明に示したのが「十住心」である。『般若心経』や『法華経』『華厳経』、倶舎や唯識、中観などの教えの伝統的な意味と相互関係、苦しみを滅する実践における役割などを、空海の著『秘蔵宝鑰』『十住心論』から明らかにする。本当の仏教の全体像を描き出す、画期的な仏教入門。
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Posted by ブクログ
一部、用語や考え方など難しい部分があった。他の本で勉強してからもう一度読みたいと思う。
苦しみの原因は、世界が実体があると思っていること。
瞑想中に空を経験すると、「私」「私の」から解放され、苦しみが消える。
Posted by ブクログ
空海の主著『秘蔵宝鑰』『十住心論』の内容を引きながら、「十住心」についての説明を展開していきます。
空海という人物の名前は知っていても、実際に空海の仏教がどのようなもので、真言宗がどういう教えを説いているかについては、何も知りませんでした。
本書の「はじめに」で、"空海の十住心を学ぶことは、空海の教えを知るだけでなく、現在、西洋社会で関心を持たれている、心のあり方に苦しみの原因を見、心を変えていくことによって苦しみをなくしていくという仏教の発想法と、そのなかで様々な教えがどのような位置を占め、どのように役割を果たしているのかを学ぶことにもつながります"と書かれてあります。
なので、知らない言葉・概念が多く読み進めるのは大変でしたが、じっくりと読んでいけば仏教(十住心)を基に現実での心の持ちようについても参考になる考えを学ぶことができると思います。
カントの純粋理性批判、ハイデガーの存在と時間、ヘーゲルの弁証法や止揚といった考えとも親和する考えがあるように思います。