あらすじ
私たちが苦しみから離れることができないのは、欲望のままにものを追いかけ続ける心のあり方に原因がある。では心を変えるにはどうすればよいか――伝統仏教が説いてきたその教えの全体像を空海が簡明に示したのが「十住心」である。『般若心経』や『法華経』『華厳経』、倶舎や唯識、中観などの教えの伝統的な意味と相互関係、苦しみを滅する実践における役割などを、空海の著『秘蔵宝鑰』『十住心論』から明らかにする。本当の仏教の全体像を描き出す、画期的な仏教入門。
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Posted by ブクログ
一部、用語や考え方など難しい部分があった。他の本で勉強してからもう一度読みたいと思う。
苦しみの原因は、世界が実体があると思っていること。
瞑想中に空を経験すると、「私」「私の」から解放され、苦しみが消える。
Posted by ブクログ
「宗教は、一つの正しい答えを信じるもの」。もしそんなイメージを持っているなら、この本は少し世界の見え方を変えてくれるかもしれません。
弘法大師生誕1250年記念の特別展「空海と真言の名宝」を見る前に読んだ一冊です。昔、司馬遼太郎の『空海の風景』を読んで、天才的で人間臭い空海に惹かれた記憶がありますが、本書では、その空海が仏教をどう理解し、体系化したのかが見えてきます。
特に面白かったのが、仏教は医学に似ているという説明でした。医師が患者の症状に合わせて処方を変えるように、仏教も相手の理解や苦しみに応じて異なる教えを説く。つまり、どれか一つだけが絶対に正しいというより、その人に合った教えがあるという発想です。
だからこそ仏教は複雑です。本来、僧侶はさまざまな教えを長い年月をかけて学び、それぞれがどこに位置づくのかを理解してきました。そこで空海が示したのが「十住心」です。人の心のあり方を十段階に整理することで、膨大な仏教思想の全体像を一つの見取り図として示した。その編集力に驚かされました。
さらに曼荼羅も、単なる宗教画ではなく、言葉だけでは捉えきれない密教の世界を目で理解するための仕組みだと分かると、展覧会を見る楽しみもぐっと増します。
一つの答えを押しつけるのではなく、人に応じて入口を変えながら、最後には全体を見渡そうとする。そこに、仏教のしなやかさと、空海という思想家のすごさを感じました。
空海を知る本でありながら、同時に「仏教とは何か」を俯瞰できる。展覧会の予習にも、仏教入門にも、とても良い一冊です。
Posted by ブクログ
空海の主著『秘蔵宝鑰』『十住心論』の内容を引きながら、「十住心」についての説明を展開していきます。
空海という人物の名前は知っていても、実際に空海の仏教がどのようなもので、真言宗がどういう教えを説いているかについては、何も知りませんでした。
本書の「はじめに」で、"空海の十住心を学ぶことは、空海の教えを知るだけでなく、現在、西洋社会で関心を持たれている、心のあり方に苦しみの原因を見、心を変えていくことによって苦しみをなくしていくという仏教の発想法と、そのなかで様々な教えがどのような位置を占め、どのように役割を果たしているのかを学ぶことにもつながります"と書かれてあります。
なので、知らない言葉・概念が多く読み進めるのは大変でしたが、じっくりと読んでいけば仏教(十住心)を基に現実での心の持ちようについても参考になる考えを学ぶことができると思います。
カントの純粋理性批判、ハイデガーの存在と時間、ヘーゲルの弁証法や止揚といった考えとも親和する考えがあるように思います。