渡辺佑基のレビュー一覧
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バイオロギングでの動物の観察というのはこれまでと比較にならないほど行動がよくわかるということ。
動物の行動がどういうものか、その意味が何なのかを詳しく解き明かしてくれて、非常に面白い。特に睡眠の章は、昔から疑問だった動物の睡眠を見事に解き明かしてくれて、感動した。動物は生存のためにかなり無理をしていることがわかる。人間もしばしば深夜まで仕事して、休日に寝溜めするのも自然の摂理か。どの話も行動が合理的即ち自己利益のためにおこなわれるとわかり、極めてすっきりと理解できた。
ただ、最後の人間の進化の話は、証拠もなく、ハラリの真似のようで、この本にはそぐわない感じを受けた。閉経の理由のように証拠と理屈が合っていればいいが、人間は物語から協力を覚えたというのは、かなりあやふやな話のように思えた。 -
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鳥だけでなく、魚、チンパンジー、ペンギン、ヒヒその他多くの動物たちのさまざまな生態について研究している成果が実に示唆に富んでおり、ヒトも動物の繋がりの中で類させてくれるところが面白い。動物たちは必ず睡眠をするが、遠距離を数日かけて渡る鳥たちの睡眠は?片目ずつ閉じて、脳の半分を眠らせている!鳥やペンギン、アザラシそしてサメなどの魚の大群の先頭に立つ個体はリーダーシップがあるのか?実はリーダーシップとは関係なく、先頭は餌にありつき易いメリットの一方で、疲れるので絶えず入れ替わっているらしい。ヒヒは多数決で物事を決めている!動物科学は仮説、実験による実証からなる自然科学そのものだということが分かった。動物たちは知らず知らず、非常に最も合理的な行動を選んでいるのだ。閉経がヒトだけに起こることだとの説明もその「合理的」な選択の結果だという論証も説得力があった。
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バイオロギングという、生物の行動記録の調査手法で知ることが出来た研究内容を、著者の大学時代の経験談も踏まえて紹介、解説している書籍である。
ただ単に研究の体験談を紹介しているだけでなく、「バイオロギング」という研究手法がどのように発展してきたか、また「バイオロギング」の研究手法がどのような原理でどういったメリデメがあってということも解説しており、興味深く読むことが出来た。
バイオロギングで記録した映像などはたまにXでも紹介されたりしている中で、それを実施するためにどういった背景があるのかを知ることが出来、その点もよかった。
文庫書籍のあとがきに書籍タイトルの経緯が記載されているが、全般的にTさんに同意である。 -
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生き物が大好きなひとは、好奇心が旺盛で大好きだな〜こういう本、すごく好き
生物学(生態学)×物理学
多様性と、シンプルな法則性
バイオロギング
アホウドリは46日間で地球一周、イカ
ミズナギドリは8ノ字描きでずっと夏を過ごす
風や、潮目の温度、エサ探し
進化の収斂(しゅうれん)
途方もない
ワタリアホウドリ
体重10キロ、3メートル
心拍数変わらず空を飛ぶ
「意外なことに、鳥の普段の生活で重宝するのは遅く飛べる能力である。遅く飛べる鳥は速くも飛べるが、速く飛べる鳥が遅く飛べるとは限らない」
ハチドリ ホバリング
動物の代謝速度は体重の3/4乗に近い値に比例して増えていく
鳥はなぜ飛べるのか
滑走飛行と羽ばたき飛行
→翼の流線型、前からの空気を後方に送り出すとき少しだけ軌道を下にそらす -
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生き物がどのようにして生活しているのか、どのようにして泳いでいるのか、飛んでいるのか。直接に野生の生き物に機器を取り付けて観測するバイオロギングという手法を使った研究についての話をいろいろと書かれています。著者の仕事(国立極地研究所)の興味深いエピソードから、なぜその仕事をすることになったのかの人生の物語。南極などの特殊な場所での仕事の様子。著者の仕事にまつわる面白いエピソードに引き込まれるように読むことができました。もちろん、調査の結果から明らかになったことなど、本書の主題の部分も非常に刺激的で面白く、自身の身の回りの生き物に対しても親近感が増えたように感じました。
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2016年、北極の深海に生息する謎の巨大ザメ、ニシオンデンザメが400年も生きることがわかり、科学者たちの度肝を抜いた。このサメはなぜ、水温ゼロ度という過酷な環境で生き延びてこられたのか?そして地球上の生物はなぜこんなにも多様に進化したのか?気鋭の生物学者が世界各地でのフィールドワークを通じて、「体温」を手がかりに、生物の壮大なメカニズムに迫る!(裏袖)
凄い本。
専門の学者にとっては常識的なことかもしれないが、生物間の統一された指標(体温や代謝)や「時間の差異」など、驚くべき内容がてんこ盛り。
また、著者が実際に現地に赴いた際の話も大変魅力的で、『本の雑誌』で紹介されていた「高野秀行的」なる言葉も納得できた。
専門的かつ具体的な数字や公式は結構な割合で読み飛ばしてしまったけれど、補って余りある面白い本だ。 -
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本の雑誌今年のベスト10の中から。新書が入っているのが意外、っていうのもあって早速入手。同時に読んだミジンコ本とも共通する部分が多く、同じく生物学だから当たり前なのかもしれないけど、でもそのあたりは興味深かった。体の大きさと体温から、それぞれの種における生物時間が推測できる、ってのは大いに納得。内容はもう忘れたけど、おそらく”ゾウの時間~”にも同様のことが書かれていたのでせう。ただ難点は、件のミジンコ本もそうだったけど、本作にしてもやはり、ピークは読み始め、ってこと。最初のニシオンデンザメの章が一番面白く、以降は繰り返しが目立ってくることもあり、どうしてもトーンダウンしてしまう。そこでふと思ったんだけど、新書って、はじめにとおわりにに加え、最初の章を読めば、たいていは事足りるんじゃないか?これ、意外に重要な発見かも。
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近年何かと話題の400歳のサメを中心に、生物の温度について詳しく述べられています。
知識として得られた情報は大変興味深いものばかりでした。そして、内容は専門的でありながら、素人の私でも十分理解ができるほどわかりやすかったです。
また、この本は研究内容を淡々と記すだけでなく、筆者が研究を行う際に生じたアクシデントや笑い話もたくさん述べられています。
そのため、学術書が苦手な人も気楽に読めるかと思います。
反対に「しっかり生物学を学びたいんだ」という人には合間の笑い話は不要に感じるかと思います。
今まで出会えなかったこの文書構成を私は気に入りました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自然界で生き抜こうとする野生動物の驚くべき生態を、最新の研究手法「バイオロギング」で解き明かす。
バイオロギングとはなんぞや? とまずは興味が湧く。
対象動物に超小型センサーやカメラを装着し、自然の中での活動を記録するものと知れば、あぁなるほどとすぐ理解できる。その手の画像も近ごろSNSでよく上がってくる。この手法で、動物たちの知られざる日常が次々と明かされていることは容易に想像がつく。
タイトルにあるように、グンカンドリが左右の脳を片方ずつ眠らせながら寝るというのも、昨今の脳波センサーのナセルワザ(その小型化も含め)。これなどは、自分も近年健康管理のためウェアラブルデバイスを身に着けて過ごすようになり、睡眠状態の評価は毎朝見るのが楽しみなくらいだ。よくもまあ、安価な腕時計程度で、レム睡眠や深い睡眠の度合いまで計測できるものと感心する(その信憑性はどうか、というのもあるが、体感的に大きく間違っていない気はする)。
動物に装着した機器類の回収も、再度、捕獲するのか? と思ったが、それは冒頭に解消される。
サメに装着した例であるが、タイマーが仕掛けれられており、時間と共に被検体から切り離され、海中から水面に浮きあがる。さらにはGPSセンサーも内蔵されており、その電波を追って回収する。
これって、〖ジュラシック・パーク〗の最新作でも、ライフルで血液採取用の注射器を恐竜に打ち込み、採血が済んだらシリンダがシュポンと空中に発射されパラシュートが開くという仕組みで、観ていて、よく考えたなと感心していたが、なんなら現実でも似たように手法がすでに現場で活用されているかもしれない。
そんなことも思った本書で紹介される数々のバイオロギングの驚くべき技術であった。あれこれ、膝を打った。
膝を打ったついでに、本書著者の、古色蒼然とした文書のクセはどうかしたほうがよい。というか、編集さんが筆入れしなかったものかな? 要らぬ修辞というか、筆者の悦に入った表現が散見されて興覚めする箇所がなきにしもあらず。
上記、「はたと膝を打ちたくなるような」とか、「はたと」とペアで使う固定された表現のオンパレード。尊敬する研究者の修辞に「爪の垢を煎じて飲みたい」。もう、筆先で表現が出てしまうのだろう。
研究に赴いた僻地の天候が思わしくなく、曇って雨が降っていたら、「鈍色の雲が垂れ込めて冷たい雨が降り」と、そこでは逆に文学作品かのような言葉を使う。
「世界の美酒佳肴」「誰もが寝静まる暁闇の中」、暁闇(ぎょうあん)なんて言葉、初めて聞いた。「畢竟、温暖化が進行する将来」って、畢竟、つい使いたくなるのは分かるが、要らないよね。「ここぞという瞬間に脱兎のごとく」って、これもあまりにも定型文のみならず、アザラシの習性を語る場面で「兎」を使うかね!? と思わずツッコミたくなった。
「くらげの神経細胞は体中に分散し、いっかな集中していない」、これなんぞは意味は取れるが、聞きなれない言葉だと「いっかな」を調べたら、山陰地方の方言だそうな(意味は、まったく、少しも +否定)。
おいおい、校正さん編集さん、ここは直させたほうがよかったのでは?(苦笑)
と、次々と明かされる動物の面白い生態の合間合間のこうした表現に、ひっかかってしまうのはマイナス点。要らぬ、著者の個人的体験もやや多すぎるか。平易な言葉、著者が酔いしれてない表現で、すんなりと読めるともっと良かったかな。
最後、ヒトの進化の特性として「物語の力」という〆には、拍手を送りたいと思う。
(という点で、この著者、そうとう文学寄りの人なのだろうな、というのも想像はついたが)