渡辺佑基のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ知らないことしかなくて、とっても面白かった。
物理を勉強したことがない私からしても、
終始分かりやすい言葉で説明してくれていたので
大体は理解できた(気がする)。
難しいことも、簡単に説明するのって大事だなぁ。
この本は、いろんな視点で読むことができた。
へぇ〜!って、人に話したくなるようなバイオロギングの仕組みや、動物の生態をどんどん知って楽しむもいいし、
ひとつのエッセイみたいに捉えて筆者の体験を楽しむもいいし、
個人的に、データ分析者の端くれとして
対象は全く異なるものの、分析の進め方ってこうだよなと共感したり勉強させてもらったりと、分析というものについて考えさせられたりと
色々と楽しんだ。
(物理については、これまでにもっと触れてくればもっとちゃんと理解できたかもと少し後悔と、物理への興味が少し湧いた)
文庫本にされた時点から既に6年、内容を書かれた時点からはもう12年経っているようなので
実際は更に情報のアップデートがあるんだろうなぁ。
書店で、「河出書房の社員さんが自費で買ってまで読んだ本」みたいなコーナーが作られていて、
そこに置いてあったこの本が
流石に気になって買った自分と、その本屋さんナイス! -
Posted by ブクログ
大変面白かった。
著者は、生き物に超小型計測器を装着し行動を観察するというバイオロギングの手法により、生態の研究を行う研究者。
他の本でけん玉1級を持っていると書いてあった。失礼ながらちょっと面白い研究者。
各章のタイトルが面白いので書くと、
第1章 サメは横に傾いて泳ぐ━怠ける
第2章 アザラシは一晩に4000回狩りをする━食べる
第3章 鳥は飛びながらまどろむ━眠る
第4章 閉経というミステリーー産む、育てる
第5章 ヒヒのあっぱれな民主政治━群れる
これらは全てバイオロギングの手法により発見されたもの。
一番印象的だったのは、第5章の群れるのテーマで、ヒトはなぜ血縁関係や損得勘定を越え、他人と協力し合うのか。それは「物語の力」だという。
えっ、どういうこと?
人の集まるところには必ず物語がある。
物語は、協力、平等、思いやりといった道徳性をかたる。これが、血縁を越えて人を結束させる不思議な力を持つ。
なんか壮大な話しになってきた。詳しくは本書の5章にて。
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Posted by ブクログ
めちゃ面白かった!!
”物理”という文字で敬遠した人は、思い直してほしい。そして、物理ちゅうても楽しくて面白い物理もあるんだと思ってもらえると良いな、と思う。
バイオロギングの話。とってもわかりやすく、面白いエピソードもちりばめられている。
鳥関係のバイオロギングについては、それなりに調べもしているし、身近ではあるんですが、こうして読むとやっぱりもすごく感動します。何が面白いって、やっぱり海洋生物。アカボウクジラは2992メートルを大きく超える潜水深度が記録!!アカボウクジラすごすぎる。
あとは、昔図鑑で呼んだ、マグロは時速80キロ、カジキは時速100キロというのが正しくない、ということの説明とか、いつも思うが、科学の進歩などで私が小学生の頃に習ったり読んだりした色々なことが、かなり塗り変わっているのをひしひしと感じた。
実際生活していると、アップデートしていない人が古すぎる情報を撒き散らしているのを見ることが多いので、色々と鵜呑みにしたらあかんなぁ、と思う。知ってることとか専門分野の場合は、まあ、やばいこと言うてはるわーってわかって聞いてますが、知らん分野だと、ほんと「へぇ〜」って思いますからねぇ -
Posted by ブクログ
「本書の目的をひとことで言うならば、体温という物理量がどのように生物の姿かたちや生き方を規定しているのか、昆虫にも哺乳類にも当てはまる大スケールの統一理論を構築することである。」
体温と代謝が生物の時間までも規定する、という壮大な話で、実際の観測やデータ採取の部分は「事実は小説より奇なり」で面白く、理論の部分もわかりやすかった。
結論としてうまくできすぎてるようにも思えて引っかかるけど、あくまでモデル構築なので、こんなものなのかな……。
マグロは止まると死ぬ、という言説を解説すると「マグロは泳ぎ続けることによって体温を高く保」っているうえ、「浮き袋が縮小または消失しており、体の密度が海水よりも大きいので、泳ぎ続けなければ沈んでしまう」とか、体積が大きいほど表面積が相対的に小さくなり、熱の慣性が大きくなるので、体の大きな動物は体温がそもそも変動しにくく、恒温動物として生きたほうがエネルギー効率的に有利、というお話とか、目から落とすための鱗の生産が追いつかない。
めちゃ面白かった! -
Posted by ブクログ
ネタバレ生物学はある種の生物の生態を深く研究する方向に行きがち。そんな中で生物全体を統一する法則はないのか?という目線でいろいろな生物を見るのが著者の目線。
1883年、動物の表面積当たりの代謝量は一定、というルプナーの法則が発表された。しかしいろいろな生物の数値をとってみると整合しない。(体重と表面積は3分の2乗の割合で増加するはずだが実際の計測値はそうならない)
1932年、クライバーは各種の動物の体重と代謝量を計算し並べてみると4分の3乗に比例することを発見した。(クライバーの法則)
1997年、ジェームズ・ブラウンは生物の形に着目した。血管の構造はどの生物でもほとんど同じで、大きな動物ほど心臓から出る最初の血管が太いため血管の分岐が多くなるだけである。血管を通る血液の量により代謝が決まってくることから体重と血液の量の関係を計算していくと4分の3乗という値にたどりついた。
次に温度計数という概念がある。温度の上下で代謝量が変わる、というものである。多くの動物が冬に動きが鈍くなり夏に活発に動くことでもわかる。
2001年、ジェームズ・ブラウンは化学の公式であるボルツマン・アレニウス公式を使い、いろいろな生物の体温を補正して計算する道を開いた。20度、という同一の体温で各種の動物を見た場合、「すべての」動物の代謝量は体重に比例することがわかった。
代謝により体温が維持され、体が大きくなることを考えれば、同じ大きさであれば体温の高い方が早く成長し、体温が同じであれば体の小さい方が早く成長する。
本のタイトルにある、北極の海にすむニシオンデンザメの体温は海水温と同じ0度。最終的には5-6メートルまで成長する。大きくて体温が低いことから成長はゆっくりで性的に成熟するまで150年かかる。
これをもとに各種の生物が成熟するまでの時間と代謝量をもとにそれぞれの生物の「時間」を計算することができる。この「世代時間」は体重の4分の1乗に比例する。ニシオンデンザメの時間は人間の47倍ゆっくりと進む。
人間でも子供の頃は時間がゆっくり進むイメージがあるがこれも子供と大人の体の大きさの違いから時間間隔の差がでてくることを導ける。
これらの論点を背景に著者が行うのはいろいろな生物の代謝量を測ることである。それはニシオンデンザメやホオジロザメやペンギンやバイカルアザラシに発信機を取り付けどのような活動を行っているのかを計測すること。
計測器をとりつけ自動切り離しを行い、信号を衛星経由キャッチすることでデータの入った計測器を回収する、という気の遠くなる作業。
それぞれの生物に計測器をつける作業だけでもスリリング。最後のバイカルアザラシの謎、「陸地に上がって眠る習性がないバイカルアザラシはいつどうやって眠っているのか」について、夜、水中で眠っているというをことつきとめる。水中で動きを止め、自然に沈んでいくときに睡眠をとりまた浮上して息継ぎをする、という行動を繰り返すことが判明した。
本書に収められている情報の豊富さ、体験の稀有さ、はすばらしい。