リチャード・ウィッテルのレビュー一覧
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[無人革命]ヨム・キプール戦争、ユーゴスラビア内戦、そしてアフガニスタンとイラクにおける対テロ戦争を経て、今や軍事の構図を変えた感のあるドローンの歴史と、それに携わった人々の歩みを記した作品。傍流中の傍流だった技術や考え方がいかに革命をもたらしたかが詳述されています。著者は、国立航空宇宙博物館の研究員や「ダラスモーニングニュース」の記者を長年にわたり務めたリチャード・ウィッテル。訳者は、英語と独語の翻訳を多く手がける赤根洋子。原題は、『Predator: The Secret Origins of the Drone Revolution』。
無人機が本格的に実践投入されてからまだ日が浅い -
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現時点でドローンの定義は明確ではないが、本書ではプレデターとして知られる軍事作戦に用いる無人偵察機、無人攻撃機の発案から開発、採用、実用に至るまでを記したノンフィクションである。よく、ここまで実名を出したと思えるほど、多くの個人名が出てくる。
有人パイロットの集団である空軍には嫌われ、予算や軍官僚組織に阻まれ、開発には苦労してきたことが良く分かる。
まずは長時間飛行、偵察、遠距離リアルタイム操作、照準、ミサイル搭載と技術的に1歩1歩進んできたが、飛翔体としての進歩よりも、それを使いこなすための技術の進歩の方が大きいのが特徴である。そのなかでもソフトウェアの役割がかなり大きそうだ。
本書 -
Posted by ブクログ
米軍がアフガニスタンやイラクで運用している無人機「プレデター」がどのような経緯で開発されていったのかを辿るノンフィクションです。1980年代、敵情偵察は人工衛星と有人偵察機が主な手段でした。人工衛星は情報を得たい場所を連続して監視する事ができず、有人偵察機は常に撃墜されるリスクがありました。それを補う手段として無人偵察機が開発され、1990年代のボスニア紛争で大きな効果を挙げます。2000年代に入り、9.11テロを受けてアフガニスタンでの対テロ作戦でビンラディンを発見しながらも、攻撃する事ができなかった教訓から、無人機の武装化が進みます。テクノロジーの発達と国際情勢からの要請がタイミングよく合
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アメリカのテロとの戦いには無人機が多用されているのは皆様ご存知の通り。
本書はその無人機の開発史をテーマにしており、第四次中東戦争で苦戦したイスラエル空軍のニーズを満たす為、イスラエル人天才技術者エイブラハム・カレルが開発を始めたレーダー欺瞞用の囮が、やがて無人機プレデターの誕生とその実戦投入へ結び付いていった過程が解説されています。
色々と興味深い内容が多かったのですが、最も印象的だったのが、
・静止画像を高く評価していた軍偵察部門から受けた過小評価や空軍パイロットからの軽視、新技術の実用化に伴う法的課題の浮上等の文化的・法的な抵抗
・地球の裏側から人工衛星経由でコントロール可能になる -
Posted by ブクログ
民間での実用が先行して規制が後追いしているドローン。これだって
首相官邸屋上のヘリポートに誰も気づかないうちにドローンが停まって
いた事件がなければ、誰かが怪我をするまで考えなかったのだろうな。
アメリカでもホワイトハウスの敷地内に落下し、警戒態勢が敷かれた
のは記憶に新しい。
無人機ドローン。現在は民間での活用やそれに伴う規制がニュースに
なることが多いが、元を辿れば軍事技術の民間転用だ。
戦争はイノベーションの母である。こうして毎日のように利用している
インターネットも、害虫を退治する殺虫剤も、ドローン同様に軍事技術
の研究からの産物だものね。
搭乗するパイロッ -
Posted by ブクログ
祖国のために無人機の開発を始めたが国有企業イスラエル航空産業と利害が一致せず新たな拠点をアメリカに求めた天才エンジニアのエイブ・カレム。エール大学出身で自ら飛行機を操縦する冒険野郎にして逆張りで財をなした投資家のニール兄弟。ドローンの開発は米軍が主導したというよりも彼らイノベーターが推し進めたものだった。インターネットやGPSを開発したことでも知られる国防高等研究計画局DARPAが資金提供したとは言え、空軍はパイロットのいない航空機を重視せず、海軍と陸軍がバラバラに開発をしていた。
1989年冷戦の終結とともにブッシュ大統領は5年以内に640億ドルの軍事費削減を承認した。オスプレイなどの計画 -
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Posted by ブクログ
本書が扱っているドローンとは、昨今我が国のマスコミをにぎわしているクワッドコプター等のドローンのことではなく、広くUAVといわれているもののこと。
その着想から開発、実用化、そして、偵察用から攻撃用にと拡げられてきた開発史。
開発者の自由な発想を、形にしていく苦労。そして、航空宇宙産業、さらに軍産複合体のなかで開発費用を獲得し、開発実用化に進めていく経緯。さらに、その中で開発、運用にかかわる軍人、民間技術者の姿。
冷戦構造が崩れ、地域の民族紛争、そしてテロリストとの戦いと戦争の形が変化していくなかで、ドローンがどのように生まれ、そして武装されていくか、まさに現在を描いた記録である。本書は、ドロ -