佐藤靖のレビュー一覧
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宇宙博の予習用として購入。NASAの成り立ちから現在までのを組織としての変遷と、大きな計画(アポロ計画、スペースシャトル、国際宇宙ステーション、その他の無人宇宙探査)を切り口としてまとめた物。軍事とは一線を画すも、軍事の研究成果をバックボーンとして推進されてきた宇宙開発は、巨額の資金が動くことからも、当然政治の影響を受け、そしてまた、巨額の資金と大きな雇用を生み出すことから、政治へ影響を与えつつここまできたんだなあと。(SDIの基礎研究成果が、FAST,BETTER,CHEEPな一連の(小型)無人探査機計画のバックボーンとなっていたことは知らなかった。そして、冷戦終結の影響を大きく受け、目的を
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近代の科学技術の発展の歴史を振り返る一冊。
国家が膨大な人員と資金を集めることで科学技術の分野で大きな飛躍があった歴史がわかる。先進国が戦争を盛んに行なっていたころ、国家は膨大な資金と当時の叡智をかき集め、科学技術を軍事目的に活用している。その産物が現在の科学技術発展にも貢献している。そして、その鍵を握るのがアメリカ合衆国。この国の政府の方針がどの分野に集中して資金を投下するのかで、進歩の方向性も変わるということになる。
例えば宇宙開発では、当時の大統領ケネディが月に人類を送ると決断し、実行したことで大きく発展を遂げた。その後宇宙開発が右肩上がりに進展したわけではない。不幸なスペースシャトルの -
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第二次世界大戦からの現代科学技術史について。それはすなわち米国の科学技術史であり、冷戦終結後の米国一極体制とその後の米国、特に軍需の相対的力学低下による技術主導のグローバル&民間シフトが語られる。一方でレイチェルカーソン『沈黙の春』など、科学技術が招いた負の側面も取り上げている点がユニーク。
1991年以前は冷戦構造を基盤とした原子力・宇宙・コンピュータ領域における垂直統合型の複雑怪奇な体制だったものが、前提が崩れたのちモジュール的水平分散型に変遷し生命科学分野などに展開していったことは大変興味深い。いまや原子力は忌避され、宇宙はSpaceXなど民間企業が主導し、コンピュータはAI含め中印が -
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現代史とは科学技術の歴史であるってことがよくわかった。とりわけ現代に近づくにつれて、紹介される技術が具体的にどんなものなのかわからなくなるのがやばい...。勉強しないと。
203-4頁
「個別の技術の成立・展開の過程をみると、技術は社会的に構成されているようにみえる。しかし大きな時間的・空間的スケールでみると、技術は自律的に進化し社会を駆動しているように見える。(...)
しかし複雑な社会的環境のなかで人間が自らの意思で作り上げる個々の科学技術が、なぜマクロな視点では自律性を獲得するようにみえるのか。この点に関する定説はまだない。だが、一つの有力な説明は恒常的な軍事・経済面の競争が科学技術を -
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アポロ計画、スペースシャトル計画などの巨大プロジェクトを実現させてきたNASAの生い立ちを政治との関わりに視点を置いて辿るノンフィクションです。「宇宙の起源とは」などの知的好奇心の探究と「難病の克服・貧困の絶滅」などの身近な福祉の問題を天秤にかけた時、前者を世論が支持する時代背景であればこそ、莫大な予算を宇宙開発に向けることを世論が支持し、それを受けてNASAも月着陸という壮大なアポロ計画を達成することが
できました。一方、後者を世論が支持する現代では「有人火星探査」という目標を掲げても、人々の琴線には触れにくいのかも知れません。有人火星探査となれば、往復で3年~4年必要ですから、その途中でア