中垣俊之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
粘菌は賢く動いているようにみえる。人間も賢く動いているようにみえるが、そうとも言えないらしい。生き物の知性とはなんだろうと考えるヒントになりそうな本。
粘菌は考えるのか。理系向きの内容で文系の自分には取っ付きにくい内容だった。粘菌が迷路を解いているようにみえるが、実はこれは単純な生体反応で機械的に動いているに過ぎない。タイトルは「考える粘菌」だが、考えないことを前提に説明しているように思う(粘菌に脳はないので当たり前だが)。粘菌の動きを簡単なモデル方程式に置き換えて解説することで、知性があるようにみえる動きの仕組みを一つ一つ解き明かしていく。人間にとっての知性と生き物にとっての知性は別物だと考えさせられた。
個人的に物足りなかったのは、研究室の中での実験に終始していることだ。ダーウィンのミミズの研究を読むと、ミミズが一年間にどれほど土を耕しているかを計算することで、地球全体の豊かな土壌をミミズがつくっていることがわかる。生物は自然の中で進化してきたのだから、自然から分けてしまうと、その魅力は分からないと思う。それでも研究室の世界に触れられたことは面白かった。
冒頭の手間暇かけて育てた粘菌よりゴミ箱の中の粘菌の方が活き活きしていたことや、あとがきの「intelligence」の東洋と西洋の考え方の違いは考えさせられる話だった。粘菌のような単純な生き物でも分からないことだらけなんだなぁ。