清水唯一朗のレビュー一覧

  • 原敬 「平民宰相」の虚像と実像

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    原敬の評伝。新聞記者、外務官僚を経て政党政治家に。政党政治家のイメージが強かったが、まだ人事制度が流動的だった時代とはいえ1895年に39歳で外務次官になる程の能吏だったようである。
    第一次西園寺内閣で内相として、元老山縣有朋に郡制廃止を挑むも敗北する。だが、山縣に勝負を挑んだことで、原は官僚ではなく政党人としてのイメージを獲得する転換点となった。
    ライバル松田正久の死もあり、政友会を完全に掌握すると寺内正毅の後を受けて総理大臣に就任。外相、陸海相以外の閣僚は全て政友会から出す「初の本格的政党内閣」であった。原の総理大臣就任は地元盛岡の人にとっては戊辰戦争の賊軍の汚名を返上するものとしても歓迎

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    2025年10月14日
  • 原敬 「平民宰相」の虚像と実像

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    功績は大きいが、欲もあり、目的のためには手段を択ばないところもあるマキャベリアンで、でも理想もある。
    とても複雑で魅力的な人物だと思った。

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    2022年06月01日
  • 2050年の入試問題

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    現役SFC教員と卒業生による、SFCの入試をめぐる議論。入試だけでなく大学の在り方も議論されている。やはり大学は入試なのだ。1990年の開学以来、AO入試などの斬新な取り組みを先行させてきたキャンパスだし、社会のリーダーを数多く輩出してきた実績は言うまでもないが、30年を経て、新たなフェーズに移行しなければならないという意思を感じる(これは、中に居ても感じる)。普通の組織であれば、眉間に皺を寄せて真剣な議論を行うテーマだろうが、この本では「高校の先生を推薦人にし、生徒の入学後の実績に応じて、推薦枠を変動させる」とか「はみ出す人を取るために、これまで逮捕されなかったギリギリのことをアピールさせる

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    2022年04月03日
  • 原敬 「平民宰相」の虚像と実像

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    小説みたいで、原敬が死ぬ直前からの描写には涙が止まらなかった。
    本を読む前は平民宰相という印象しかなかったけれど、とてもグローバルな人間で、日本を考えて、着々と総理になっていく様子は、彼は日本のトップになるべくしてなったんだ、と痛感した。
    同時に、明治から大正にかけてのギラギラした時代が伝わってきて、あの情熱がある時代は失われた30年と言われる世代に生まれた私としては羨ましくなってしまった。

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    2022年02月28日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    明治から大正初期の官僚と国の成り立ちについての書籍。

    儒学理念に裏付けられて前例踏襲・変わらないことが求められた時代において、人々が如何に伝統を変えていったかが描かれている。
    そのきっかけとして大きな役割を担ったのが洋学である。1870年に洋学教育機関として設立された大学南校(東京大学の前身)での学び、留学を通して得られる知見の重要性がある。本書では大学で学ぶ学生の闊達な雰囲気が描かれているが、読んでいて大変心地よいものがある。また、1882年には伊藤博文が憲法調査団にて諸外国の制度や知見を吸収して日本の制度改善につなげている。

    現在の日本は前例踏襲に縛られ、新しいことに挑戦できていないの

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    2021年05月27日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    明治期から大正にかけての政治家、行政官など、人に焦点を当てて、その変遷について述べられた本。極めて精緻な研究に基づいている。特に、明治維新からの歴史の流れに沿って政治・行政の体制を明確に示していること、人材育成について詳しく調査されていること、中央と地方との関連性についても述べられていること、政治家と官僚との関係の分析が精緻なことなど、その分析・研究は深く、勉強になることが多かった。すばらしい研究書である。
    「伝統的な世界で生きる者にとって、藩を捨て、藩主を捨てて新政府に仕えることは背信行為と映る。新政府の官僚たちは能力ではなく、その軽い行動ゆえに地位を得たという否定的な見方が嫉妬と羨望が深

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    2018年11月04日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    幕末維新時代から大正デモクラシーまでの官僚たちの像に迫った本。制度史と当時の人々の考えの両面を丁寧に調べあげていて素晴らしい。維新時代にかき集めた、維新雄藩のお偉方や各藩の士族たちの官僚組織から、伊藤博文をはじめ広く頭脳を集めるとして官僚登用試験を開始するとともに大学を普及させて官僚養成校とした時代、大学が普及するとともに
    学士官僚が官僚政治家として国政を支えた時代、そして1890年に帝国議会が幕開けし徐々に官僚や学生が政党政治家としての道を模索していく時代と、時代の流れがよく描かれている。それぞれの時代が移り変わっていく時の旧勢力と新製力の摩擦、時代の移り変わりを機敏にとらえていく学生の回顧

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    2014年08月03日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    「坂の上の雲」の官僚版であると同時に、近代日本の成立の過程を詳細に学ぶことができる。今現在の日本の官僚制度が今後どうなっていくべきかを考えるための基礎知識。

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    2014年07月19日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    終章を含め全部で7章構成(1.維新の時代ー誰が統治を担うのか、2.明治政府の人材育成ー身分の超克、3.立憲の時代ー1870年代〜80年代、4.帝国憲法制定前後ー高等教育の確立、5.憲政の時代ー1890年代〜1910年代、6.大正デモクラシー下の人材育成、終章 統治と官僚の創出)の本書は、近代日本を支えてきた官僚に焦点を当てて、人材と時代の相互関係をコンパクトに叙述している。類書が少ないだけに非常に有用であろう。

    時代と人材のダイナミクスの向こうには、3つの構造、すなわち制度としての民主主義、集団としての官僚、個人としての自己達成という3つが存在していると著者はいう。中でも公議輿論の達成(民主

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    2013年10月24日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    慶應義塾大学総合政策学部准教授(日本政治外交史)の清水唯一朗(1974-)による明治・大正期の官僚育成・任用制度の成立過程。

    【構成】
    第1章維新の時代-誰が統治を担うのか
     1 明治国家の誕生-行政機関の樹立
     2 藩士から官僚へ
     3 維新官僚の登場-旧秩序を飛び出した人材
     4 公議輿論と人事一新
    第2章明治政府の人材育成
     1 立国の人材登用策-身分の超克
     2 大学南校貢進生-全国から集まったエリートたち
     3 大学生たちの留学
    第3章立憲の時代-1870年代~80年代
     1 維新官僚の台頭-総合調整と分担管理
     2 岩倉遣外使節団と制度調整
     3 明治十四年の政変
     4 内閣制度

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    2013年07月08日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    明治維新より大正デモクラシーに至るまでの政治史を官僚制度、
    ひいては官僚個々人にスポットを当て紹介する一冊。
    多くの人物のエピソードが披露される傍ら、制度の解説もわかりやすく、
    明治初期に政治のしくみや大学のしくみをいかに構築するか
    悩み実現する試みは、これまでになく興味をそそり面白く読み込めた。
    筆者の語り口もあり、さながらドラマのような盛り上がりを見せる点も
    飽きさせない一因か。
    今につながる制度に込められた狙いや、それ故に生じた矛盾など、
    非常に興味深い。

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    2013年05月26日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    明治政府誕生から大正デモクラシーまでの官僚史。幕末の志士たちを中心とした維新官僚から藩閥官僚、帝国大学を卒業し立憲主義を近代国家の理念として捉える学士官僚への世代交代は政党政治の発展に大きな影響を与える。桂園内閣期の相次ぐ政権交代により官僚は党派性を帯びるようになり、遂には官僚出身者が党人として政党内閣の下で閣僚を務めるに至る。

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    2025年01月25日
  • 原敬 「平民宰相」の虚像と実像

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    初の本格的政党内閣、平民宰相、暗殺された総理大臣と、歴史的に有名で、日本の近代史では必ず登場する原敬。そのわりには、その個性が分かりにくい人なのではないでしょうか。本書では「原敬」について、生い立ちから、最後までを辿ることで、その魅力と業績を知ることができます。それによって、「本格的政党内閣」や「平民宰相」が当時の社会や世界に与えたインパクトの大きさを知ることができます。現代では見られない、将来を見据えた行動と、その結実としての総理大臣。国を考えての様々な行動が、昭和天皇含めて、戦後の日本にもつながる重要な影響を与えた人であることを教えられます。賛否の否もあった人であるゆえに、その人間的な苦し

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    2022年05月12日
  • 原敬 「平民宰相」の虚像と実像

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    初の本格的な政党内閣を実現した「平民宰相」原敬の評伝。原は、粘り強い現実主義者として、傑出した政治家だったと再認識した。また、年齢を重ねるにつけ、円熟していく様がよくわかった。現代の、特に野党の政治家にも参考になる点が多いと感じた。

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    2021年11月30日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    江戸末期、明治、大正の各時代の官僚の動態がいきいきと描いた良書だろう。十分な史料に基づき官僚という集団の特質をあぶり出し、その際重要な役割を演じたのが、立身出世の登竜門である旧制の高等学校・帝大、さらには私大を含めたその他の大学という高等教育機関という見方もできよう。この視点を持ちながら本書を読んだ。第2章では実際に大学の生活の描写も多く、勤勉さだけではないやんちゃぶりも書かれており、現代に通ずる大学生の生態がよくわかった。今日、大学のヒドゥン・カリキュラムの効用より正課における授業内外学習時間が話題になるが、時代を問わずに、ある程度時間的余裕は必要だと感じた。そうした余裕があった上での、試験

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    2017年09月18日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    所謂文系と理系を分けたのはここにあるのか〜と。結局統治は儒教ベースで、それは武士が学ぶもので、政治の仕組みは海外からの輸入だから全部翻訳もの。技術みたいな実学は下士が学ぶものっていうことなんだろう。だから理系っていうのは下々の者が学ぶものっていう位置づけなんだろうな。。

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    2013年09月18日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    近代化によって急遽必要となった国家統治のしくみ。試行錯誤の維新期から,制度が確立する大正デモクラシー期まで,官僚を軸にしてその変遷をたどっていく。
    行政を立ち上げていった維新官僚,藩閥官僚から,専門知識を活かし実務を支える学士官僚への世代交代,大学・高等文官試験といった人材登用制度の移り変わり,政治や政党との関係,有名無名個々の官僚の立身出世エピソードなど,読みどころが満載でなかなか良かった。この後の昭和も含めた官僚通史,それほど専門的でなければ読んでみたいかも。

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    2013年08月15日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    ネタバレ

    明治維新後、新政府の急務は近代国家を支える官僚の確保・育成だった。当初は旧幕臣、藩閥出身者が集められたが、高等教育の確立後、全国の有能な人材が集まり、官僚は「立身出世」の一つの到達点となる。本書は、官僚の誕生から学歴エリートたちが次官に上り詰める時代まで、官僚の人材・役割・実態を明らかにする。激動の近代日本の中、官僚たちの活躍・苦悩と制度の変遷を追うことによって、日本の統治内部を描き出す。
     第一章 維新の時代 誰が統地を担うのか 
     第二章 明治政府の人材育成
     第三章 立憲の時代
     第四章 帝国憲法制定前後
     第五章 憲政の時代
     第六章 大正デモクラシー下の人材育成
     終 

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    2013年08月13日
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ

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    明治・大正と、近代国家を作り上げた官僚たちを、彼らの生い立ちから丁寧に見ていく本です。明治期は、夢溢れた若者たちの頑張る様子を読むのが楽しかったです。また、だんだん点数至上主義になっていくところは、現在にも通じるものがありました。官僚、と一言でくくるには、個性豊かな面々。そして、政治との絡み。とても読みごたえのある新書でした。
    著者の清水さんは、小さい頃のご近所さん。今後のご活躍を期待しております。

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    2013年05月09日
  • 原敬 「平民宰相」の虚像と実像

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     1856年(安政3)賊軍南部藩の家老格の次男として生まれ、明治9年20歳にして司法省法学校に入校するも12年退校処分に、同年11月郵便報知新聞社に入社、15年4月大阪の大東日報に入社したが同年10月退社、帰京後11月には外務省御用掛に。19年にはパリ公使館書記官としてパリ着任、22年帰国後農商務省勤務に、大臣の陸奥宗光に出会う。25年3月陸奥とともに辞職するも8月には外務省に復帰し通商局長、日清戦争後の28年には次官に。29年6月在朝鮮特命全権公使と、官界の階段を上りつめる。
     公使を退き次の途は、30年9月大阪毎日新聞社に編集総理として入社、31年9月には社長に。33年11月同社退社、立憲

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    2024年12月22日