立川談春のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
立川談春(1966年~)は、高校を中退して17歳で7代目(自称5代目)立川談志に入門、1988年に二ツ目、1997年に真打に昇進した、落語立川流所属の落語家。
本書は、文芸評論家の福田和也氏の勧めにより、季刊文芸誌「エンタクシー」に2005~07年に連載されたエッセイ「談春のセイシュン」を改題の上、2008年に出版されたもの(2015年文庫化)で、講談社エッセイ賞(2008年)を受賞した。また、2015年にはTBSテレビでドラマも放映された(談春役は二宮和也)。
私は、ノンフィクションやエッセイを好んで読み、今般、過去に評判になった本で未読のもの(各種のノンフィクション賞やエッセイ賞の受賞作を含む)を、新古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。
本書は、著者が、高校を中退し、新聞配達所で働きながら、斡旋された下宿から家元(談志)宅に通う修業時代、築地の魚河岸に修業に出されたときの経験、兄弟弟子の談々(故・朝寝坊のらく)、関西(故・立川文都)、志らく等との付き合い、高田文夫との交流、二ツ目昇進試験とお披露目会、志らくとの昇進に関わる相克、人間国宝・桂米朝と柳家小さんの稽古、国立演芸場で開かれた「真打トライアル」の舞台裏等が、談志の様々なエピソードとともに綴られており、落語に特段の関心があるわけではなく、落語(家)の世界についての知識もなかった私にとっても、実に面白く、あっという間に読み切った。
その面白さの理由はいくつかあると思われるが、一つは、落語(家)の世界が、武道や茶道と似た所謂「道」の世界であり(この事実には少々驚いた)、そうした理不尽さをも持つ厳しい世界で著者が味わった苦悩や葛藤が赤裸々に描かれており、知らず知らずのうちに引き込まれてしまうのである。
そして、もう一つは、著者が過去を振り返り、当時の感情を率直に綴るとともに、連載執筆時には自らが40歳前後になり、談志の弟子に対する気持ちにも想像が及ぶ、重層的な記述になっていることだろう。
立川談春の半生記にして、(厳しい)落語家の世界を描いた、ときに笑い、ときに泣けるエッセイ集である。
(2022年12月了) -
Posted by ブクログ
立川談春さん
学生時代、ぼくはずいぶん談志さんの落語やラジオを聴いていた。どんな問題があろうとも明るく前向きに語ることがとても気持ちが良かった。談志さんのラジオは、ぼくの応援歌だった。
お前に嫉妬とは何かを教えてやる
己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱味を口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんだ。一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし人間はなかなかそれができない。嫉妬している方が楽だからな。芸人なんぞそういう輩の固まりみたいなもんだ。だがそんなことで状況は何も変わらない。よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う
ぼくは、100万部の人間になるぞー
子供たちに愛を伝える小説を書くんだ! -
Posted by ブクログ
友人に勧められて読んだ。
落語に興味はあるものの、知っている落語家は笑点メンバーだけ。
立川談志は存在は知っているものの、最盛期は知らない世代の私。
でも、勝手に懐かしい気持ちになりました。
記憶に残ったのは
「立川談志の凄さは、次の1点に尽きる。相手の進歩に合わせながら教える。」
わたしにとって、これはとても難しい、と言う記憶がある。
ちょっと下の後輩くらいならまだしも、経験が大きく違う新入社員なんかは、年齢を重ねると自分が新入社員だったの時の記憶がなくなっていくので、相手のレベルを想定するのが難しかった。自分の思考回路を説明できる部下ばかりとは限らないし。
私にはすごく難しかった。
そういう事を思い出し、今現在心が楽なのは、後進を育てるという事をお役御免になったことがとても大きいなと。
もう一つ記憶に残ったのは、最終章の小さん師匠と談志師匠の話。
涙は出なかったが、涙腺がピクピクした。
師弟とは、結局つながっているものなのだ。
私の人生には、談春さんにとっての談志さんのような唯一無二の師匠はいない。
でも、複数の目上の方の言葉や仕事の進め方が脳に焼き付いている。
その組み合わせで、自分はできている。
と、思いを馳せた。
師匠と弟子について考えさせられ、自分の師匠(というか上司)たち弟子(というか後輩)たちとの思い出を引き出される、
そんな一冊だった。
私の好きな笑点メンバー、三遊亭小遊三師匠が出てきたのも嬉しかった。
いないな〜い、、、アラン・ドロン! -
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
17歳で天才・立川談志に入門。「上の者が白いと云えば黒いもんでも白い」世界での前座修業が始まる。三日遅れの弟弟子は半年で廃業。なぜか築地市場で修業を命じられ、一門の新年会では兄弟子たちがトランプ博打を開帳し、談志のお供でハワイに行けばオネーサンに追いかけられる…。様々なドタバタ、試練を乗り越え、談春は仲間とともに二ツ目昇進を目指す!笑って泣いて胸に沁みる、破天荒な名エッセイ、待望の文庫化!「今、最もチケットの取れない落語家」の異名を持つ立川談春のオリジンがここに!2008年講談社エッセイ賞受賞作品。